機械学習による酵素の改変

昨日のPET加水分解酵素の論文にはアミノ酸の入れ替えの効果を機械学習で調べるのに MutCompute という自作AIを使ったと書いてあります。 https://mutcompute.com/ 3D convolutional neural network で、neighboring chemical microenvironment of amino acids を調べるということですが、なんのことかわかりませんね。 下記論文がアイデアの発端のようです(open accessで無料で読めます。 pdf)。 https://bmcbioinformatics.biomedcentral.com…

PETボトル分解酵素

テキサス大学オースチン校(Univ. Texas Austin) のグループによる https://news.utexas.edu/2022/04/27/plastic-eating-enzyme-could-eliminate-billions-of-tons-of-landfill-waste の元論文を読みました。 https://www.nature.com/articles/s41586-022-04599-z 面白く勉強になりました。欲しい情報をすぐ入手できるのは大学にいる利点ですね。 今日はいくつか一般に有用な豆知識をピックアップします。 ・PET(ポリエチレンテレフタラート)は…

世界の研究所 Biodegradable Research Institute

連休は終わりましたね。私は近場を歩き回って気分転換ができました。 今週の世界の研究所は、米国の”Biodegradable Research Institute” です。 https://bpiworld.org/ ニューヨークの中心部にあり、従業員100名あまり、生分解性プラスチックの認証を与える仕事をしている機関のようです。組織形態がよくわかりませんが、国の機関とのかかわりは書いていません。会員企業になるには$8000=100万円の年会費が必要なようですから、民間(営利企業?)ではないかと思いますが、NIST等公的機関も検定サービスなどには高額のお金を取ります。目の…

有機フッ素化合物の合成法と他の用途(マスクなど)

今週はフッ素を含む有機分子について調べてきました。Justiceを読むのはお休みして続けます。パーフルオロエーテルの合成法その他、有機フッ素化合物について詳しく書いてあるサイトを見つけました。 https://www.fluorochemie.com/brief-introduction-of-pfpe-synthesis-methods.html こういう物質を作るのはどうするのだろうと思っていましたが、紫外線を使う方法もあるのですね。日本だとダイキン(上記サイトではDajin)とAGCがフッ素化学で有名です。 有機フッ素化合物でelectret(電荷や、揃った永久双極子が絶縁体にくるまれた…

呼吸できる液体

フッ化炭素(有機フッ素?)系の液体は酸素を溶かすので、哺乳類が中で生きていけるというデモがいくつかyoutubeにあがっています(1~2日以上はダメ、もしくは後で死ぬとの話もあります)。SFでは、宇宙旅行で加速度を高くするために酸素を溶かした液に人間が入って肺まで満たすという話もあります(巡航速度に達したら空気に戻さないと食事ができませんが)。密度が人体に近い液体中だと、加速度による疑似重力に対して浮力が働くので、影響がなくなります。空気が入っている肺が一番の問題になります。自分ではやりたくありませんね。息苦しい時の悪夢に出てきそうです。フッ化炭素系物質は密度がやや高い(フロリナートで1.8g…

地球温暖化係数 global warming potential (GWP)

地球温暖化係数 は英語では global warming potential GWP値というようです。もう一つGTP global temperature potentialというのもあるそうですがモデル依存であまり使われていないそうです。 https://www.epa.gov/ghgemissions/understanding-global-warming-potentials 定義はCO2の1トンの大気放出を1とする値(放出1トンあたり)のようです。その物質による熱輻射の吸収効率と大気にとどまる時間の両方が関係します。一度放出したときに、そのあと20年とか100年とかの影響の総和で比較…

フッ素系冷媒と地球温暖化

昨日のSolvay社のGalden(ガルデン)は、フッ化炭素系の冷媒です。化学的に安定、絶縁性(ガルテンは2.45mmで40kV)などの利点があり、電子産業としては冷媒や熱い気体によるはんだ付けに使われます。 フッ素系冷媒で有名なのは3M社のフロリナート(florinert, シェア50%)とノヴェック(novec シェア20%)、そしてSolvay社のガルデン(シェア30%)です。 https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2204/07/news060.html https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2…

世界の研究所 ベルギー Solvay社

今週の世界の研究所は、ベルギーのSolvay社を取り上げます。日本を含む世界中に展開していて、研究所も各国にあります。炭酸ナトリウムのソルベー法(アンモニア・ソーダ法)を高校化学で習うと思いますが、発明者Ernest Solvay(1838-1922)が起こした会社です。ソルベーは23才のときに、現在も使われているあの芸術的な反応の組合わせを開発しました。Solvay社は化学会社の規模ランキングでは世界25位です(下記50位ランキングには日本勢は8社入っています。そのうち分析してみましょう)。 https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_largest_chem…

磁性微粒子による探傷技術

昨日 magnetic yokeを調べていたら、下記を見つけました。 https://www.youtube.com/watch?v=qpgcD5k1494 磁性微粒子(マグネタイト?)に蛍光塗料を吸着させています。 magnetic yokeや電流で磁場を発生させると、磁場の分布で内部の傷のところに磁性微粒子が集まるので傷が分かるという面白い技術です。対象は、鉄など強磁性体でないといけません。この技術を売っている会社はyoutubeに載せているだけでも何社かあるようです。効率の良いモータの設計には、複雑な構造の磁石や磁性体+コイル中の磁場を計算する必要があります。傷が磁場分布を変えることから…

Oxford Nanopore Technology社のDNAシーケンサと求人

月曜日にはDNAシーケンシングの話になるとは思わなかったのですが、直径数nm、厚さ数nmの穴をDNAが通過した時の電気抵抗変化の解析の現状が面白かったので紹介します。原理は、溶液中のイオンの透過が、穴を通っていくDNAの各塩基によって邪魔されるのですがその邪魔され方が違うこと利用するものです(電気抵抗が時間の関数として階段状に変化する)。DNAが通っていく速度はおそらく流体の圧力で制御しているのだと思います。信号は穴や流路、さらに膜が一つの塩基よりも厚いので、前後の塩基による影響もあるでしょう。これらによる「くせ」があるので、補正をどうするかが問題になります。昨日のyoutube解説では10-…