micro LED のレーザースクレイピング

microLEDはサファイヤ基板上にドーピングをしながらGaN系半導体を成長させて作るのだと思います。GaNそのものは紫外線の領域に発光がありますが、Inを少し混ぜると青、Inをたくさん混ぜると緑(GaNと超格子を作って発光効率を上げる必要あり)、Euをドープすると赤(microLED応用で最近論文多数)となっています。作った後切り離してmicroLEDにしますが、通常の半導体用の回転ノコ(ダイサーdicer)では刃の厚みと素子の大きさがそう変わらないので無駄が多いです。ダイサーは日本のDiscoが高い世界シェアを持っています。 https://www.disco.co.jp/eg/solut…

micro LED の移送用高分子基板

micro LEDのチップ移送・ミクロン単位で狙って貼り付ける技術について、レーザーの会社COHERENTがyoutubeで装置を紹介しています。 https://www.youtube.com/watch?v=f7oe-BEhCzI 信越化学の装置は下記の図から見ると大きそうです(2階建ての家くらい?)。 https://www.shinetsu-microled.jp/product_multi_laser_lift_off_equipment.html 部材の特許を見つけました。 https://ipforce.jp/patent-jp-B9-6842404 微小な凹凸のある表面に粘着剤…

micro LED を色別に並べてディスプレイを作る技術

発光色の違うmicroLEDは異なる半導体でできています。半導体の結晶成長(化学気相成長、CVD)を使って作るので、色ごとに別々のウェファで作らないと事実上製造不可能です。そうなると異なるウェファ上の数十μmのLEDをディスプレイの画素として並べ替えなければならないのですが、これは難問です。最近東レと信越化学が製造装置を発表しました。信越化学はyoutubeに仕組みを載せています(とぎれとぎれで見にくいですが…) https://www.youtube.com/watch?v=m6aV9Bo–Mw レーザーでウエファ上の素子をバラバラに切り出すこと、高分子多層板に張り付けること、レ…

世界の研究所 micro LED 関係 (eLux 社ほか)

今週の世界の研究所は、アメリカのベンチャー企業 eLuxを取り上げます。 https://www.eluxdisplay.com/about ここはシャープアメリカのスピンアウトで、米国と台湾に研究設備を持っているマイクロLEDディスプレイの開発拠点です。設立は2016年で、シャープの経営が日本から台湾の鴻海(ホンハイ)に移ったタイミングですね。マイクロLEDは、50μm以下の赤青緑のLEDを並べて作るディスプレイです。液晶ディスプレイは白色光を液晶シャッターと色フィルターを使って要らない波長の光をさえぎって色を出しているため、各画素の映していない色に対応する発光の電力が無駄になってしまいます…

マネーの総量の膨張

今週はIMF(国際通貨基金)から始めたので、お金の話をしましょう。私なりの理解なので、間違っているかもしれません。技術の話と違って誤っても大きな危険はなく、皆さんが自分の経験から間違いを見つけるのも楽しみだと思うので、恐れず進めます。 現在のお金は紙幣や硬貨以外の、帳簿にしかない、いわゆる「マネー」が圧倒的に多いです。 https://data.imf.org/?sk=B83F71E8-61E3-4CF1-8CF3-6D7FE04D0930 に国別、年次別 monetary stock の詳細があります。 お金(金融)の大きな役割として、「信用創造」があります。 「発明をしたので工場を作りたい…

43番元素のテクネチウム

今日は43番元素のテクネチウムです。原子番号が小さい(Mnの下、Reの上)にもかかわらず安定同位体が存在しません(98Tcが430万年の半減期)。これは原子核理論の難問で、すっきりとした説明は難しいようです。原子核の液滴モデルに基づく半経験式 von Weizaecker model で正しく説明できない2つのうちの1つだそうです。 https://physics.stackexchange.com/questions/40960/why-is-technetium-unstable https://en.wikipedia.org/wiki/Semi-empirical_mass_formu…

世界の研究所 空飛ぶ自動車のJetson社(スウェーデン)

生物系の話が2週続いたので、今週はニュースに出ていた空飛ぶ自動車について調べましょう。世界の研究所は、スウェーデンのベンチャー企業 Jetson です。 https://www.jetsonaero.com/ 一人乗り、重量86kg, 搭載重量95kg(体格が良いと厳しい?)、2.48×1.50x1.03 m 時速102kmで20分飛行可能。出力88kWのリチウムイオン電池、充電1~2時間です。土地利用が密集している日本では使用は難しいかもしれませんが、実用性はありますね。 Jetson is a Swedish company with a mission to change the way…

高速液晶シャッターの最前線

液晶ディスプレイの電極を両方透明にすれば、液晶テレビと同じ原理で光を通したり遮ったりするシャッターができそうなのはわかるでしょうか。単純化した原理としては、液晶分子の向きによって透過する光の偏光面が回転することを利用します。電圧をかけると液晶分子の向きが変わるので、直交した偏光子(crossed Nicols クロスニコルという(2022-02-02修正済))の間で偏光が90度回ると透過、回らなければ非透過です。シャッターの開閉速度は、100方向から見ることができる3Dディスプレイを60枚/秒の動画にするには、1秒間に100(方向ごとに画像が変わる)×60(動画のコマ数)回の開閉が必要なので、…

いろいろな立体視デバイス

Oculus が作っている virtual reality goggleまたはsmart glassは立体視できるように両眼に視差を考慮した別々の画像を投影することと、見ている方向を認識するために姿勢センサーが備わっています。 立体視については下記に解説があります。 https://en.wikipedia.org/wiki/Stereoscopy ヘッドマウントディスプレイは下記 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%9E%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%87%E3%8…

仮想空間(VR)用のゴーグル型ディスプレイ

Meta Platform Inc.が買収した企業に、Oculus Technology があります。 ここは、立体視できるゴーグル型ディスプレイを開発しています。 https://www.oculus.com/?locale=ja_JP 接眼レンズが着いた双眼の液晶ディスプレイなのですが、きちんと作りこんでいるのだと思います。 スマホのアプリと安いゴーグルで試したことがありますが、動画を見ていたら乗り物酔いのようになりました。 Oculus Quest 2は評判がいいので、対策がされているのではないかと思います。技術的詳細を知りたかったのですが、CPUが速いのと、画素数が多いこと、音がステレ…