反応探索ソフトと海賊版サイトへの注意

反応探索には、出版社Elsevier のReaxysという有料のデータベースがよく使われます。これは、分子構造その他条件を入れると、関連文献を教えてくれます。この中身・しくみについては堅く秘密にされているそうです。IBMのroboRXNとは競合すると思います(IBMが文献情報を使っているかどうか不明。純粋に第一原理計算+AIだとあまり賢くないでしょう)。価格設定がどう変わるか、興味深いです。Reaxysは平成30年の産総研の契約情報が公開されていて年間1700万円余です。高いですね。 イスラエルの歴史学者ハラリ(Yuval Noah Harari)の本のどれか、多分”Homo De…

SMILES

IBM roboRXNでは、分子の記述にSMILES(simplified molecular-input line-entry system)という記法を使っています。これは、分子中の原子のつながり方を1次元の文字列で記述する方法で、1980年代に開発されました。現在、大部分はオープンソースですが(”RDKit”で探してみてください)、SMILESの考案者 David Weiningerに関しては追悼文が専門誌にあり、web公開されています。それによると、同氏は大学の人ではなく、会社→大学院で博士→自治体で環境中の化学物質の毒性を調べる→毒性データベースのためにSMI…

赤外線吸収塗料

ドットパターン技術には、可視光に透明かつ赤外線を吸収するインキも重要です。そこで、赤外線吸収塗料について紹介します。 無機物 LaB6,Cs_xWO3,In_2-xSn_xO_3 等は、断暑(寒)用の窓ガラスに使えます。 http://www.ohkuchielectronics.co.jp/ink.html https://www.nanotechexpo.jp/2019/main/nano_insight_japan/190108_sumitomo_metal_mining.html 認識用のドットパターンの印刷は、カーボン粒子(安い)か、有機物のほうがいいでしょう。カーボン粒子は可視光で…

紙面位置認識の特許

紙面に場所によって異なる細かいパターンを印刷して位置を認識させる基本アイデアは、スウェーデンのAnoto AB(アノト社)の創業者Crister Fahraeus 氏の博士論文(1996)で、その年に会社が設立され、その子会社がAnotoだそうです。同氏は今は、Angel投資家になっているようです。このアイデアは画期的ですね。日本ではAnoto ABが2001年に特許出願しています。 Anoto ABは、スウェーデンのルント(Lund)市で1999年に設立されたそうです。 ルントは古い町で、12世紀にできた聖堂が有名です。また、MAX Lab放射光があります。 https://www.anot…

紙をなぞると声が出るペン

今週は、最近よく見るようになった、ペンでなぞると紙面上の位置を認識する技術を紹介しましょう。 http://gridmark.co.jp/en/technologies 赤外線のみを吸収するインクで細かいドットパターンを描き、可視光を吸収するインクで人間が見る情報(絵や文字)を描くなど、面白いですね。 応用は下記が一番威力があると思います。ペンでなぞると音声が出ます。ディズニーの幼児教育キットにも使われています。(お母さんが声を録音と紐づいたシールを貼る) https://www.kumonshop.jp/ 普通のペンと合体して手帳の予定表を書いたときに日付を認識して自動で取り込むという応用例…

メトロノーム

月末から始まる「物性化学」講義の準備をしています。3年目の今年は、流れがだいたい固まったので教科書の骨子を作るべく、もがいています。1回目の力学系のところで「エントロピー生成最小原理」(I. Prigogine)の証明をどうするか考えているところです。例年証明せずに紹介だけしていますが、なんとか納得感を出したいと思います。添え字だらけの式はここには載せられないのですが、メトロノーム(下記、動画リンク)の話を一般化する方向で考えています。さて来週月曜日に間に合うかどうか。 https://www.youtube.com/watch?v=Aaxw4zbULMs https://www.youtub…

硬X線光学

硬X線は、中性子星(pulsar)やブラックホールの観察に使われます。高エネルギーの光にはレンズとして使える物質がありません。低エネルギーのX線には、すれすれ入射による反射(斜入射望遠鏡)を使う方法(1,2:X線回折装置の集光にも応用されています)があります。それが使えないほどの高エネルギー微弱光を見るため、いろいろな方法が考案されました。札幌出身の故 小田稔教授(3)による「すだれコリメータ」(4)が最初で、2次元版のcoded mask(5)があります。天文学、生物学に使われる極限の光学は半導体のナノリソグラフィ等にも応用可能で、勉強になります。 (1) http://astro-dic.…

弓曳童子

からくり人形は需要があるようで、いまでも製作を仕事にしている人がいます。 下記リンクをたどると、昨日の弓曳童子の製作過程等が説明されています。 http://hara-k.art.coocan.jp/ 図面付きの本も出ていますね。弓曳童子(下記のNo.5)はもうすぐ11月30日販売のようです。 https://www.amazon.co.jp/dp/4434195883 機械仕掛けの勉強をしたい場合は、下記がおすすめです。 https://www.amazon.co.jp/dp/4526077194 a craftsman 職人 craftsmanship 職人の技能、職人気質 billboa…

ロボット調理

web開催の研究会で下記の冒頭の動画を紹介されました。真の用途は料理ではなく、化学・生物実験に向いているのではないか、というのが大方の意見だと思います。価格によりますが、実験室の自動化は進んでいくでしょう。 http://www.moley.com 料理については既にお饅頭やパンの機械があります。量産か、多様化か、というところですね。下記は名前が面白いです。動画もよくできています。 https://www.rheon.com/jp/topics/page.php?id=503 (下記は音量注意、後半のパン生地をシートでつくるところはいい工夫ですね) https://www.youtube.co…

超小型加速器

以前、シンクロトロンなどの高周波加速器の交流電圧を1点だけにかけたらどうなるか考えたことがありますが、調べたらすでに実用化されていてがっかりしました。下記の会社はその技術を用いた超小型加速器製作でビジネスが成立していてすごいと思います。約30年前に私が長期インターンでアメリカDuPontの研究所にいたときに、この社長さん(当時、住友重機)の売込みのセミナーがあったのを覚えています(”Bench top synchrotron”という題でした)。超小型シンクロトロン(立命館大学にある放射光施設 Auroraなど)だけではなく、その後、タングステン微小ターゲット(μmサイズ…