Git

最近、git(ギット)を使うようになりました。便利な仕組みで、多数のファイルの同期や、共同作業の場合に威力を発揮します。 https://ja.wikipedia.org/wiki/Git 現在のgitの責任者は日本人(濱野氏)で、gitはLinuxの開発のためにLinus Torvalds氏を中心に作られたもののようです。下記インタビューは仕事ぶりの一端が書かれていて面白かったです。Linuxが社会に与えた影響は大きいと思います。なぜ彼の名前がついているかが分かる気がしました。 https://xtech.nikkei.com/it/article/COLUMN/20130418/47189…

ヘリウム資源

ヘリウムの値段が高騰して、日本物理学会が要望書を出したニュースは見たことがあるのではないでしょうか。 https://www.jps.or.jp/information/2019/12/helium.php ヘリウムは100%輸入です。主な産出地は、米国、カタール、アルジェリアと限られており、米国土地管理局が備蓄していたヘリウムの国外販売終了(2018年)や、中東の情勢不安定により、日本国内へのヘリウム輸入量が大幅に減少しています。価格がここ数年で4倍に上がりました。ヘリウム風船をほとんど見なくなりました。 輸入価格で1g 2円から8円になっています。1モルは4gなので、32円ということですね…

超伝導送電プロジェクト

3年生の講義で今年は超伝導を3回分やるつもりで、導入として応用の現状を調べました。 石狩市の直流送電プロジェクトは、1kmのケーブルで実証に成功しています。 http://benri.i-eris.tv/chodendo/chodendo05.html#channel 液体窒素で-196度にする。真空断熱。外は鋼管、内側はステンレス。超伝導ケーブルの太さは250mm。明らかに銅系高温超電導体を使っていますが、具体的に何を使っているかは書いてありません。 市販品には住友のBiSrCaCuO系を銀に埋め込んだもの、イオンビーム配向法(IBAD)でステンレス箔に蒸着した酸化物の上にPLDでつけたYB…

世界の研究所 ドイツ ヴァルター・マイスナー研究所

今週の世界の研究所は、ドイツの Walther-Meißner-Institut (WMI), Bayerische Akademie der Wissenschaften (バイエルン州科学アカデミー ヴァルター・マイスナー研究所)です。ここは、低温電子工学の研究所です。この分野は日本では各大学の研究室として散在して苦労しているところが多いようですが、ここはまとまっています。超伝導のマイスナー効果のマイスナーが初代所長、生誕100周年で「低温研究所」から名前を変えたようです。 https://www.wmi.badw.de/aboutus/portrait.htm 小さい研究所ですが、講義の…

ヒンデンブルク号の爆発

久しぶりに事故の分析です。講義で水素分子の回転ラマンを使って量子統計(フェルミオンとボゾン)を説明しました。雑談用に、ヒンデンブルク号の爆発について調べたところ、wikipediaは動画付きでした。web講義でリンクのみ示しましたが、見た学生には衝撃があったようです(感想から)。 https://en.wikipedia.org/wiki/Hindenburg_disaster_newsreel_footage 最近の説として: ・Alの船体にAlと酸化鉄を混ぜた塗料を使っていて、静電気による火花(static spark)でテルミット反応が起きたという説(焼夷性塗装仮説 incendiary…

スピン・統計理論

ボーズ粒子はスピンが整数、フェルミ粒子はスピンが半整数であることは習ったと思います。 講義の質問で、その理由が気になる人が多いようなので正月休みに調べました。 Pauliが相対論と場の量子論を組み合わせて導いたという話は聞いていましたが 現在もまだ議論があるようです。wikipediaによると微視的因果律、エネルギーの正値性を用いるWightmanの理論というのがあるそうですが、相互作用する場合はそれだけでは不足とのこと。 http://faculty.poly.edu/~jbain/Talks/ExpSSC.pdf  (pdfがダウンロードされます) がよくまとまっていると思います。この人は…

物質波の干渉実験

10年やった1年生向けの講義を若い先生に引き継ぐことになりました。これまでの質問をまとめていたところ、物質波の干渉で、C60分子が干渉するという教科書の記述に質問が集まっていました。これは、1999年の論文 https://www.nature.com/articles/44348 です。ボーズ粒子とフェルミ粒子の区別には使えないかと思って調べてみたら、下記に質問・回答があり、二重スリットによる干渉は使えないそうです。一粒子による自己干渉だから、だそうです。 https://physics.stackexchange.com/questions/249066/do-bosons-and-fer…

オランダASMLと最近のリソグラフィ技術(3)

リソグラフィにEUV光源を使えば、高価なマスクの枚数をUV光源に比べて10分の1以下に減らせます。マスク交換・位置合わせの手間もその分減るので生産性も上がります。 EUV光源は波長13.5nm程度の極端紫外線(extreme ultraviolet)というより軟X線で、ArFレーザー(193nm)よりも1桁以上短いです。 https://en.wikipedia.org/wiki/Extreme_ultraviolet_lithography 通常の物質は、いくら励起しても化学結合のエネルギーよりもずっと高いエネルギーを持つEUVの光を出すことはできません(化学結合が切れて壊れてしまう)。原子…

オランダASMLと最近のリソグラフィ技術(2)

ArF液浸リソグラフィは、ArFレーザーを使った193nmの紫外線を使ってリソグラフィーします。ArFレーザーはエキシマーレーザーの一つです。エキシマーexcimerというのは、励起状態で安定な原子や分子の会合体です。ArFの場合は、ArとF2を混ぜて放電してできるArF*というエキシマーを使います。昔からあるHeNeレーザー(633nm)、HeCdレーザー(325nm)などはこれとは違い、Heは放電で励起されてNeやCdの原子にエネルギーを移す役割です。 希ガスが励起状態で化学結合を作って会合体になるのは面白いですね。 https://en.wikipedia.org/wiki/Excime…

オランダASMLと最近のリソグラフィ技術(1)

オランダといえば、半導体装置メーカーのASMLは極端紫外光(EUV)でのリソグラフィ装置(7nm以下)を作れる唯一のメーカーで、2000年代になってからのArF液浸リソグラフィ以降、日本のニコンとキヤノンが持っていたリソグラフィ装置のシェアをほとんど奪ってしまいました。とりあえずニコンは古い特許のライセンス料をもらえたようです。 https://news.mynavi.jp/article/20190403-801385/ https://www.nikon.co.jp/news/2019/0123_01.htm ASMLは2013年にははArFレーザー光源(波長193nm)のCymer社(米…