オランダASMLと最近のリソグラフィ技術(2)

ArF液浸リソグラフィは、ArFレーザーを使った193nmの紫外線を使ってリソグラフィーします。ArFレーザーはエキシマーレーザーの一つです。エキシマーexcimerというのは、励起状態で安定な原子や分子の会合体です。ArFの場合は、ArとF2を混ぜて放電してできるArF*というエキシマーを使います。昔からあるHeNeレーザー(633nm)、HeCdレーザー(325nm)などはこれとは違い、Heは放電で励起されてNeやCdの原子にエネルギーを移す役割です。
希ガスが励起状態で化学結合を作って会合体になるのは面白いですね。
https://en.wikipedia.org/wiki/Excimer_laser

液浸というのは、屈折率の高い液体のなかで露光を行うためです。液体中の光の波長は屈折率に反比例するので、波長が短くなります。露光は、マスクを使って光をあたらないところと当たるところを作ります(現在は、干渉も使っている)。その時の光のボケは波長に比例しますので、波長を少しでも短くするのは小さいパターンを作るのに重要です。現在のところ超純水(屈折率1.33)を使っていると思います。もっと屈折率が大きい液体もあるので、将来はその超高純度体の供給も重要になるかもしれません。

屈折率の高い固体を使うsolid immersionという方法も分光計測では使われますが、リソグラフィで使わないのは傷を嫌うのと、冷却効果も期待しているのではないでしょうか

波長が長い光でも、複雑なマスクと特殊なレジスト(感光の閾値がある)を用意して干渉を使って露光させて細いパターンを作れますが、その間隔は波長程度なので、多数のマスクを使わないと回路が作れません。作りたいパターン程度の波長の光を使えば、その手間がいらないので低コストになります。明日はそのためのEUV光源の話をします。レジストは、日本が得意とするところです。EUV用は、どこがシェアをとるでしょうか。
https://www.tok.co.jp/products/semiconductor
https://www.chemicaldaily.co.jp/%E4%BD%8F%E5%8F%8B%E5%8C%96%E5%AD%A6%E3%80%81%EF%BD%85%EF%BD%95%EF%BD%96%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%82%B9%E3%83%88%E5%BC%B7%E5%8C%96%E3%80%81%E9%87%8F%E7%94%A3%E3%83%87%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%B9%E5%90%91/

immersion 浸漬
come to terms 合意に達する
land/strike/make a deal 交渉をまとめる
purchase order 注文書
price per unit 単価
estimate 概算見積書
quotation 最終的な見積書(拘束力がある) quote ともいう
quantity 数量
willingness 意思
constraint 拘束

物理用語
discharge 放電
Thomson scattering トムソン散乱(電子等に光が当たって光のエネルギーが少し低下して散乱されること。速度等が分かるので、プラズマ診断に使う)

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