PETボトル分解酵素

テキサス大学オースチン校(Univ. Texas Austin) のグループによる https://news.utexas.edu/2022/04/27/plastic-eating-enzyme-could-eliminate-billions-of-tons-of-landfill-waste の元論文を読みました。 https://www.nature.com/articles/s41586-022-04599-z 面白く勉強になりました。欲しい情報をすぐ入手できるのは大学にいる利点ですね。 今日はいくつか一般に有用な豆知識をピックアップします。 ・PET(ポリエチレンテレフタラート)は…

世界の研究所 Biodegradable Research Institute

連休は終わりましたね。私は近場を歩き回って気分転換ができました。 今週の世界の研究所は、米国の”Biodegradable Research Institute” です。 https://bpiworld.org/ ニューヨークの中心部にあり、従業員100名あまり、生分解性プラスチックの認証を与える仕事をしている機関のようです。組織形態がよくわかりませんが、国の機関とのかかわりは書いていません。会員企業になるには$8000=100万円の年会費が必要なようですから、民間(営利企業?)ではないかと思いますが、NIST等公的機関も検定サービスなどには高額のお金を取ります。目の…

佐賀藩精錬方

佐賀藩は肥前藩とも言い、長崎の警護を担当していたことから外国の情報が入手しやすく、国防に危機感を持った10代藩主鍋島直正侯の命により研究所である「精錬方」が設立されました。日本赤十字を設立することとなる佐野常民を中心に、からくり儀右衛門こと田中久重(東芝の創業者の一人)ら、技術者を全国から招聘しました。佐賀藩は35.7万石で、全国の石高が3237万石(明治の最終統計なので直接比較は良くないですが)ですから、当時の日本のGDPの約100分の1です。俗に、藩の数は300諸侯といわれています。江戸時代は財政が独立で、地方分権色が強かったことがわかります(将軍家は全国の石高の半分を持った巨大な藩とみな…

世界の研究所「韮山反射炉」と「佐賀藩精錬方」

今週の世界の研究所は、世界遺産の一部でもある「韮山反射炉」と「佐賀藩精錬方」をとりあげます。 https://www.city.izunokuni.shizuoka.jp/bunka_bunkazai/manabi/bunkazai/hansyaro/ 戦国時代の1543年にポルトガルの脱走船(タイから)の漂着により種子島に鉄砲(火縄銃)が伝来してから、刀鍛冶による国産化(<1年)と武士による使用法研究で鉄砲は全国に普及しましたが、江戸幕府では実戦の必要がなくなり、4家(すぐ2家に減少)の世襲による鉄砲方が鉄砲術を武術の一種として維持しました。ところが、幕末に欧米諸国が来航するようになり、対抗…

機械翻訳の現状(3) DeepL

DeepLは2017年にサービスを開始したドイツ・ケルンのベンチャーです。性能の高さは関心を呼ぶようで、いろいろwebに解説があります。 まず本人から。各国語あるのが憎いです。 https://www.deepl.com/ja/blog/how-does-deepl-work いくつか理由があがっていますが、その中でも ニューラルネットワークのトポロジーが独自(数学者や情報科学者を擁する) 原文と翻訳をネットから探してきてそれを使って学習(他の大手は、翻訳に焦点を当てて探していない) の2つが理由のように見えます。 AIの会社の解析 https://ledge.ai/deepl/ 上記に加えて…

機械翻訳の現状(2)

最近、自動翻訳が非常によくなっています。有名なのはDeepL(ドイツの会社), Google翻訳(アメリカの会社), みらい翻訳(日本の会社, NTT系のようです)です。DeepLとGoogle翻訳は多言語対応です。これらのwebの翻訳サービス(無料)に、昨日の難しかった文章を入れてみます。web無料版は2000字、5000字などの字数制限があり、長い文章は小分けにして食わせるか、登録無料版か有料版(DeepLで0 or 750 or 2500円/月)を使うことになります。登録無料版はデータの秘匿性が保証されないそうです。 https://www.deepl.com/translator ht…

機械翻訳の現状(1)

USIP(米国・平和研究所)からどう話題を作ろうか考えましたが、素人国際政治学者はやめにして、平和のための意思疎通に役立つ(?)機械翻訳の話題にしましょう。私はYoutubeでいろいろな言葉の動画を見ているからか、Grammarly というソフトの宣伝がやたらに出てきます。ウクライナ発のソフトのようです。関連してアメリカの大学の英語の先生のコラムがありました。 https://dept.writing.wisc.edu/blog/revisiting-grammarly/comment-page-1/ けなしていますが、そこそこ使えるようです。私は冠詞をよく間違えるので、役立ちそうです。 使い…

有機フッ素化合物の合成法と他の用途(マスクなど)

今週はフッ素を含む有機分子について調べてきました。Justiceを読むのはお休みして続けます。パーフルオロエーテルの合成法その他、有機フッ素化合物について詳しく書いてあるサイトを見つけました。 https://www.fluorochemie.com/brief-introduction-of-pfpe-synthesis-methods.html こういう物質を作るのはどうするのだろうと思っていましたが、紫外線を使う方法もあるのですね。日本だとダイキン(上記サイトではDajin)とAGCがフッ素化学で有名です。 有機フッ素化合物でelectret(電荷や、揃った永久双極子が絶縁体にくるまれた…

呼吸できる液体

フッ化炭素(有機フッ素?)系の液体は酸素を溶かすので、哺乳類が中で生きていけるというデモがいくつかyoutubeにあがっています(1~2日以上はダメ、もしくは後で死ぬとの話もあります)。SFでは、宇宙旅行で加速度を高くするために酸素を溶かした液に人間が入って肺まで満たすという話もあります(巡航速度に達したら空気に戻さないと食事ができませんが)。密度が人体に近い液体中だと、加速度による疑似重力に対して浮力が働くので、影響がなくなります。空気が入っている肺が一番の問題になります。自分ではやりたくありませんね。息苦しい時の悪夢に出てきそうです。フッ化炭素系物質は密度がやや高い(フロリナートで1.8g…

フッ素系冷媒と地球温暖化

昨日のSolvay社のGalden(ガルデン)は、フッ化炭素系の冷媒です。化学的に安定、絶縁性(ガルテンは2.45mmで40kV)などの利点があり、電子産業としては冷媒や熱い気体によるはんだ付けに使われます。 フッ素系冷媒で有名なのは3M社のフロリナート(florinert, シェア50%)とノヴェック(novec シェア20%)、そしてSolvay社のガルデン(シェア30%)です。 https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2204/07/news060.html https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2…