armとintelのCPUの演算性能/消費電力の比較

arm社のCPUは低消費電力で携帯電話で大きなシェアをとっていますが、どのくらい低消費電力なのでしょうか。2014年の記事には下記があります。 https://www.androidauthority.com/arms-secret-recipe-for-power-efficient-processing-409850/ ベンチマーク値としては、我々が計算に使っているintel core i9-13900KSが「61970」なのに対し、arm cortex-A72 16core 2200MHz が「5470」なので、11倍の性能差があります。 https://www.cpubenchmark…

arm社のライバルはopen source RISC-V

arm社はトランジスタ30000個でできた32bitCPUの設計が携帯機器で広く使われることにより超優良企業になりました。30000個は驚くほど少ないという印象です。 現在のライバルと考えられているのは、UCBerkleyが発表したオープンソースRISC-V (Vはfive)です。これはライセンス料が無いので製品は安く作れますが、開発の動機づけが強くないため、超高性能を示す設計ができるとは考えにくいです。したがって、armの安価な古いプロセッサを置き換えるのではないかと考えらています。 https://ja.wikipedia.org/wiki/RISC-V RISC-Vは、Chiselという…

riscとcisc

arm社は、advanced risc machines の略です。 risc (リスク)とは、reduced instruction set computer で、対義語は cisc (シスク) complex instruction set computer です。 risc対cisc論争、というのが私が学生の時に盛り上がっていました。これらが何か、というのは下記がよくまとまっています。 https://edn.itmedia.co.jp/edn/articles/1404/07/news001.html ここでマイクロROM方式(ciscで使う)とランダムロジック方式(riscで使う)と…

筆跡鑑定の方法

下記、実際の鑑定のやり方が書いてあり面白かったです。こういう発信は営業活動として役に立ちますね。そのおかげで、机上で得られる情報が飛躍的に増えているわけです。 https://www.yjrc.jp/hisseki-kantei/ 江戸時代のように世襲の鑑定人が権威を保てる時代ではないので、カンと経験ではなく、客観的なやり方が必要になると思います。筆跡鑑定もいずれはAIが主役を務めるようになると予想しますが、まだだいぶ時間がかかると思います。AIは判断過程の説明が苦手なので、そこも悩みの種です。 客観性を出そうとする動きの一つとして、紙の表面の干渉画像から筆圧を算出して本物と偽物を見分けるとい…

英語の筆記体の変遷

昔中学校で習った英語の筆記体と、最近の手書き文字が違うのではないか、と疑問に思っていました。 映画などで見る古い字体も(主に傾きの角度が)違う気がしていましたが、何回か変遷があったようです。 1660~1850 round hand / roundhand ルネッサンスでできた書体のようです。 https://en.wikipedia.org/wiki/Round_hand 1850~1925 スペンサー式筆記体 Spencerian script  映画 Indiana Jones や Harry Potter などで見る手紙の字でしょうか。アメリカの標準だったそうです。 https://e…

筆跡鑑定はまだ人間がやるしかない

筆跡鑑定は、古美術の真贋にかかわるだけでなく、遺言書や脅迫状など裁判で扱われることもあるようです。筆跡鑑定人の一般社団法人が存在しますが、どのくらい組織されているかは不明です。 https://www.kcon-nemoto.com/organization/ 裁判で使う鑑定書は数十万円のようですが、下記のようにもめる例もあるようです。 https://www.kcon-nemoto.com/news/tokyoshinbun081129.html 英語でも業界人と思われるブログを見つけました。 https://forensicfield.blog/the-principles-and-the…

雑種強勢とハイブリッド作物

今週とりあげたメキシコの研究所は「トウモロコシ・小麦」という名前がついていました。トウモロコシはどうなっているでしょうか?実は、トウモロコシについては1930年代という早い段階で品種改良が完了していました。ここで使われたのが「一代雑種」です。米で言う「ハイブリッド米」に対応するものです。遺伝的に均一な「純系」を2つ掛け合わせた第一世代が「一代雑種 F1」で、概念はメンデルにさかのぼります。F1の生活力が強いという「雑種強勢」という現象があり、両親を上手く選べばよい作物が得られます。 https://kotobank.jp/word/%E4%B8%80%E4%BB%A3%E9%9B%91%E7%…

強弾性は合金と有機低分子結晶で見つかっている

超弾性(擬弾性)や形状記憶効果は、応力や温度によって結晶構造が不連続的にスイッチする場合に起こる現象で、まとめて「強弾性 ferroelasticity」と呼ばれます。「強 ferro」は強磁性や強誘電性と同じく、温度・圧力等に応じて自発的に対称性の変化が起こることを意味しています(ちなみに、中国語ではferroは鉄と訳すので、この言葉は「鉄弾性」になると思います)。金属結合は比較的等方的なので結晶構造に切り替え可能な多様性が生じやすいですが、共有結合は化学結合の方向性があるので強弾性向きではありません。分子結晶の分子間に働く分子間相互作用は、その複雑さとファンデルワールス力に方向依存性が少な…

超弾性(擬弾性)は金属結合の微妙なバランスで生じる

強弾性(擬弾性)合金は、形状記憶合金と密接な関係があります。 金属の結晶構造には面心立方、体心立方、六方最密などいろいろなものがありますが、どの構造になるかは、金属の自由電子が作る平面波と原子核の正電荷の周期性の微妙なバランスで決まります。これを利用して、温度変化や外部から変形させようとする力で結晶構造が相転移する合金を作ることができます。外部からの力(「応力(おうりょく)」と言います)によって各面のなす角が90°の結晶からそうでない結晶に相転移する合金があったとすると、応力に対応して結晶面の角度が変わって大きく変形しますが、応力がなくなると90°にもどるのでもとに戻ります。wikipedia…

超弾性(擬弾性)

金属線を曲げるところを考えましょう。ゆるく、すこしだけ曲げると元に戻りますが、急角度で大きく曲げるとまがったまま元に戻らなくなります。元に戻らる場合を弾性変形、もとに戻らない場合を塑性変形と言います。弾性変形の範囲(弾性限界)を超えると塑性変形が起こると考えることができます。超弾性(擬弾性)とは、ある種の物質を大変形しても塑性変形が起こらず、もとに戻る現象です。通常の弾性は、弾性限界まではフックの法則で変形に比例した力が働きますが、超弾性はフックの法則から外れます(大変形の場合、力は緩やかにしか増えない)。仕組みは原子レベルですが、説明は明日にして、先に応用を見ていきます。いちばんよく見る例は…