世界の研究所 Howard Hughes Medical Institute

今週の世界の研究所は、米国の Howard Hughes Medical Institute です。本拠はメリーランド州ですが、いろいろなところにいる研究者を所員として雇って、巨額の予算をつける制度をとっています。財団形式ですが、資産は3兆円くらいあり、Micorsoftのビル&メリンダ・ゲイツ財団に次ぐ規模だそうです。研究と教育(小学校からポスドクまで)を支援するようです。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%92%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B…

コミックマーケットの運営は3000人のボランティアによる

コミックマーケット(コミケ)がどのように運営されているか、についての解説書が先週出版され、さっそく読みました。 https://www.amazon.co.jp/dp/4065300444 コロナ前3日で75万人の来場者、おそらく1日に20万人は来ているでしょう。今年の夏は密を避けるために9万人の入場制限が行われたそうです。動画がyoutubeにあります。 https://www.youtube.com/watch?v=HdDCEP_n5oc 地方都市1つ分の人が集まってくるイベントです。同人誌の即売会(一団体が長机半分のスペース)が主目的で、途中から「コスプレ」が自然発生して現在ではコスプレ…

世界の研究所 明治大学・東京国際マンガ図書館

今週の世界の研究所は、明治大学・東京国際マンガ図書館です。ここはまだ完成しておらず、先行して米沢嘉博記念図書館が開館しています。 https://www.meiji.ac.jp/manga/index.html 米沢嘉博氏は、今週末(12/30-31)に東京ビックサイトで第101回が開催される「コミックマーケット」の7~70回の代表を務め、来場75万人のイベントの基礎をつくりました。 https://www.meiji.ac.jp/manga/yonezawa_lib/profile.html https://www.comiket.co.jp/ 個人的には、大部分がボランティアで運営されるコ…

MITの公開講座は高い

MIT-CSAILのページを見ていたら、公開講座をいろいろやっていますね。 https://professional.mit.edu/course-catalog/designing-efficient-deep-learning-systems?utm_source=mit-csail&utm_medium=web&utm_campaign=sp-dls-2023 などは、深層学習のシステムのデザインの講習ですが、2日で$2500、日本で同等の講義をやるよりもだいぶ高いと思います。それを考えると大学の授業料は割安・・・ではないですね。。 下記は講演会ですが、面白そうです。一日…

コンピュータ科学の先駆者リスト、FFT

昨夜は月食でした。帰宅時は月が蝕から回復するところでしたが、地球の影の端が完全な黒ではなく、月面の広い範囲にわたって灰色に見えたのが不思議です。光の回り込みが起こっているようですが、どういう仕組みなのか、すぐにはわかりませんでした。考えてみます。 さて、「コンピュータ科学の先駆者リスト」というのがwikipediaにあります。「この人の業績はそれほど偉大か?」などと突っ込みが[ ]の中に入っていて、議論スペースへのリンクが貼られているのが面白いです。深層学習は入っていますが、量子コンピュータは入っていません。日本人は1934年のデジタル回路論(=0、1を扱うデジタルの基礎、NECの人)と、20…

百人一首(8) 時には月を見上げて昔を思いましょう 7 21 23 31 36 57 59 68 79 81 86

ときどき空を見上げていますか?上空に氷粒ができてきたためか、月が橙色っぽく見えるようになりましたね。今週金曜日の百人一首は、月に関するものを探してみたら、たくさんあり、傑作が多いです。日本人は月が好きなのかもしれません。他の言語の詩で月はどう扱われているか、調べてみたいです。(英訳はPeter Mcmillan, 文春文庫) 7 あまの原ふりさけ見ればかすがなるみ笠の山にいでし月かも 安倍仲麻呂 I gaze up at the sky and wonder / is that the same moon / that shone over Mount Mikasa / at Kasuga /…

スーパーおたくと今後の創薬の方向性

近代創薬の祖は、Paul Ehrlich と言われています。病原体のみを狙い撃つ「魔法の弾丸 magic bullet」を有機化学で絨毯爆撃で見つけようという、狂人と言われても仕方がない目論見に606番目の化合物で成功してノーベル賞をもらっています。私の宗教観では、正しいことは天が味方することもあるという例の一つです。スーパーおたくを許容するドイツの国民性恐るべしです。日本の文化も歴史的に自分の道を突き進む人に優しいです。頑張りましょう!(一緒にされると怒る人もいるかもしれません。失礼しました) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%82%A6%…

ノーベル化学賞

2022のノーベル化学賞は”about snapping molecules together” に与えられました。click chemistry(クリックケミストリー)は、複雑な分子に特定の官能基をつけておき、その反応だけが確実に起こることを利用して、副産物無しに狙った分子だけを共有結合で結合させる概念で、いずれ受賞するだろうと言われていました。Meldal教授が最初の汎用的な反応を発見し、Sharpless教授が体系化しました。Sharpless教授は2001年に野依教授と一緒にすでに受賞しているため、2回目受賞があるかどうか、という話題がありましたが、今回受賞しま…

ノーベル物理学賞

2022年のノーベル物理学賞は、「ベルの不等式」が成り立たないことを実験的に検証した3人に与えられました。 ベルの不等式は、量子化学では習わないですが、本格的な量子力学の教科書には出ています。「雨男と晴女が出会う確率の上限」というわかりやすい解説は下記。 https://xseek-qm.net/Bells_inequality.html 実験は「量子もつれ」が実際に起こり、通信の秘匿に使えることの証明にもなっています(2015年、Zeilingerら)。量子もつれは、量子コンピュータの動作原理なので、タイムリーな受賞ともいえるでしょう。量子コンピュータを提唱した人たちもいますが、その受賞はあ…

ノーベル医学生理学賞

2022年のノーベル医学生理学賞は、スウェーデン生まれ、ドイツMax Plank InstituteのSvante Paabo(ペーボ)博士に授与されました。DNA人類学の創始ということですが、成果はポピュラーサイエンスとして広く知られています。例えば本人による解説も和訳されています。 https://www.amazon.co.jp/dp/416390204X ネアンデルタール人と人間が交配した証拠がDNAから見つかったという報告が出たのは2010年ころで、衝撃的でした。アフリカ人はネアンデルタールと共通遺伝子がないのに、他の人種は1.5-2.1%あるということは、アフリカで誕生した現生人類…