Engelbartの法則 能力の指数関数的上昇?

エンゲルバートの法則:「人類の能力は指数関数的に上昇する」という経験則 Engelbart’s law, the observation that the intrinsic rate of human performance is exponential, is named after him.  Bootstrapping effects = improved improvement 改良のやり方自体が改良されていくことにより、靴紐を自分で持ち上げて浮き上がるような(bootstrap, コンピュータの起動時の用語)飛躍的な向上現象が生じる、とEngelbardが提唱した。 h…

The mother of all demos 1968

1968年の”The Mother of All Demos”は、昨日のEngelbartが行ったもので、先駆性に驚かされます。 https://www.youtube.com/watch?v=B6rKUf9DWRI マウス、ワープロ(コピペ)、web、遠隔会議、遠隔の共同作業のような概念をデモンストレーションしています。 https://en.wikipedia.org/wiki/The_Mother_of_All_Demos によると The demonstration was highly influential and spawned similar proje…

コンピュータ マウスの発明

コンピュータのマウスの歴史は面白いです。 https://en.wikipedia.org/wiki/Computer_mouse 現在の形のマウスを発明したのはDouglas Engelbart(ダグラス エンゲルバート その時の所属はStanford Research Institute) 1963年 ネズミに似ているからマウスと名付けたのは Engelbardの同僚のBill Englishという人 1965年 特許は1967年で、マウスが大々的に使われる前の1987年に失効したため、特許料は入らなかったそうです。 Engelbartは人間に使いやすいコンピュータや集団的知性の研究の先駆…

世界の研究所 (Xerox) Palo Alto Research Center

今週の世界の研究所は、Palo Alto Research Center (PARC, 米国カリフォルニア州パロアルト)を取り上げます。 もともとは1970年にXEROX社(コピーの発明からできた企業です)が情報科学の応用展開のために設立しました。現在はXEROXの完全子会社だが独立して顧客の依頼で研究開発を行っているそうです。XEROX本業に近いレーザープリンターの他に、コンピューターマウス(Stanford Research Instituteが発明したものを取り入れた)、デスクトップの概念の開発で有名です。これらはAltoというパソコンのモデルに組み込まれており、それを見学したBill …

Hoffmann 純粋と不純、説教と予算

今週のHoffmannは、第7章Pure/Impureからです(次が第8章で最後です)。旧約聖書のエレミヤ書に、金属精錬を例えとして純粋さについての記述があるところから始めて、著者2人の対談(一人の記述が長いのでメールか書簡による対談)が進んでいきます。信仰は純粋なほうがよいと昔から言われてきたが、自然界は純粋なものが良いばかりではない。合金のほうが力学的性質に優れる、フェロモンは多くが多成分、高温超電導体のように格子欠陥(酸素欠損)が必要な場合もある。それに、人間で純粋さを追究すると民族純化という怖い歴史があった、自然界はエントロピー増大則により純粋なものが減っていくが、相分離によって同じも…

アレキサンドリア図書館

Internet Archiveのバックアップがエジプトのアレキサンドリア図書館に作られているそうです。 https://en.wikipedia.org/wiki/Bibliotheca_Alexandrina 2001年に1500年ぶりに再建された同図書館は、日本語ページもあります(内部はいろいろリンク切れです)。 行ってみたいです。 http://www.bibalex.jp/Japanese/psc/about/overview.htm https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B5%E3%83%B3…

歴史探偵のメッセージ

先日亡くなった歴史探偵・半藤一利氏の「昭和史(上下)」は歴史好きにはおすすめです。語りかける口調で、一部は読者代表のような形で編集者が質問して話が進んでいくので読みやすいです。昭和64年間の社会全体の動きが俯瞰できるので、未来を考えるのに役立つと思います。今はSNSで人が直接つながりすぎることの弊害が出てきていますが、ここ100年程、技術の進歩が激しく社会を揺すぶっている様子も読み方によっては分かると思います。 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210209/k10012858531000.html?utm_int=detail_contents_news-…

イギリス人の若い時の冒険

昔のイギリス人の冒険について。Winston Churchillは最近も映画になっています。ノーベル文学賞の対象になった「第二次世界大戦」は長いですが、活字が嫌いでなければ、若い時に一読をお勧めします。「方針を提示して皆をまとめる」「苦悩の中で決断する」というリーダーのだいじな責務について、参考になります。Churchillは貴族の家系ですが、早く父親が亡くなったため若い時にCuba, India, Sudan, South Africa等で軍人・従軍記者として戦闘の最前線で勤務したとのことです。現在の価値観では批判されるところもありますが、なかなかまねできない働きだと思います。Churchi…

Charles Darwinの仕事ぶり

進化論のダーウィン(Charles Darwin 1809-1882)の経歴と仕事ぶりは興味深いです。上流の医者の子供で食べるには困らなかったようですが、大学を2つ卒業していて、1831-1836(22才~27才)の間ビーグル号(HMS Beagle)の第二回の世界一周の探査に参加しています。(このころの?)イギリスの裕福な人は若い時に冒険をする文化のように見えます(いずれ取り上げます)。1859年に種の起源(On the Origin of Species)を出版しています。最晩年まで研究を続け、ミミズの研究(詳しい生態と土を作る役割の定量的研究、研究レポートの模範としてよく取り上げられます…

Hoffmann  キラリティが炭素四面体由来であることはファントホフが22才で指摘した

今週のHoffmanは第3章”You must not deviate to the right or the left”からです。分子のキラリティから始まって、権威と意見が対立した場合の振る舞いについて、Talmudとキラリティの研究史を使って説明しています。面白かったエピソードは、分子のキラリティが炭素の四面体からできているという論文をかいた若者たちを(van’t Hoffと Le Belが独立に提出)、権威(H.Kolbe、無機物から有機物を合成した業績および有機電解反応で有名)がけちょんけちょんに批判したことです。van’t Hoffは熱…