世界の研究所 Fridtjof Nansen Institute (Norway)

今週の世界の研究所は、ノルウェーの Fridtjof Nansen Institute (フリチョフ・ナンセン研究所)です。 https://www.fni.no/?lang=en_GB 研究対象はちょっと変わっていて、環境、生物多様性、気候変動の他に海洋法、北極・ロシア政治について研究しているようです。北極とロシアはいろいろあります。北極点には陸地が無いですが、石油、天然ガス(一説では地球上の1/4)、鉱産資源が豊富だと言われていて、ロシアが2007年に北極点の海底(深さ4261m)に潜水艇でチタン製(!)の国旗を建てて排他的経済水域であると主張したことにより緊張が高まりました。2015年に…

企業会計 その6 無形固定資産と3つの会計制度

今週は予算申請書を書いていて余裕がありませんでしたが、あと1つで終わりです。突っ込みどころを深く考えたり、理論的な予測を計算したりするので、通常とは違う側面から研究が進みます(強制的に言語中枢と連想能力が活性化される副作用もあります。今週は私は饒舌になっていたのではないでしょうか)。 さて、企業会計は、固定資産の続きで、B/Sの左側にある「無形固定資産」を取り上げます。 https://biz.moneyforward.com/words/1693/ これは、特許権、鉱業権(採掘権、日本は商社などで重要)、のれん代などがあります。特許権や鉱業権は定額法による償却が行われますが、のれん代の償却は…

帝国南極横断探検隊

昨日の https://japan.googleblog.com/2012/07/blog-post_18.html で「シャクルトン隊の小屋」というのがあったと思います。映画などで知っている人もいるかもしれません。 Sir Ernest Henry Shackleton(1874-1922)は、アイルランドの探検家で、アムンセンによる南極点到達のあとを受けた南極大陸横断(南極点通過)の探検を企画しました。その途中で船が流氷に閉じ込められ破壊され遭難しましたが、隊員28人を率いて2年間かけて自力で全員の生還に成功した、というすごい人で、しばらく前に「リーダーの模範」として日本でもブームになりま…

世界の研究所 ミネソタ大学極地研究所

今週の世界の研究所はミネソタ大学極地研究所(The Polar Geospatial Center (PGC) at the University of Minnesota)です。 https://www.pgc.umn.edu/ 研究所といっても、遠隔観測等のデジタル情報を扱うサービスを専門にしているようです。 https://japan.googleblog.com/2012/07/blog-post_18.html 今週は極地探検家を取り上げようと思います。 spatial spaceの形容詞。スペイシャる「空間に関する」「場所の」 spacial これも 「空間的な」スペイシャる 辞書…

企業会計 その5 減価償却

今日の企業会計は、「減価償却(げんかしょうきゃく) depreciation」について解説します。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%9B%E4%BE%A1%E5%84%9F%E5%8D%B4 B/S(貸借対照表)には、左側(借方)に「固定資産」という項目があります。これは、工場の設備などを指します。「減価償却」は、固定資産が年々減っていく取り扱いです。具体的には、税金に関わってきます。固定資産は、個人では持ち家も該当しますが、所有するためには年々その分の税金(=固定資産税:家については評価額の1.4%を毎年)を払わなければならない、ということです。税は…

Haldane ギャップの最近の進展

今週は難しい話ばかりで申し訳ありませんが、続けます。昨日のSSHモデルはポリアセチレンの二重結合と単結合の切り替わりに隠れている数学(2×2の複素行列)の話でしたが、今日は一次元スピン系の話です。有名なのは「Haldaneギャップ」で、Haldeneはこの業績とは別の論文で2016年にノーベル賞を受賞しています。 スピン1を持った金属原子が一次元的に並んだ物質(例Y2BaNiO5)の磁化率が0Kでどうなるか「基底状態から励起状態へgapがあるかどうかは、0Kでの帯磁率が0になるか(gapあり)有限値になるか(gap無し)という明確な違いとなって現れる」。また、欠陥を入れて端の挙動をみる、という…

Su-Schriefer-Heegerモデルの直接観察

トポロジカル物質について解説を考えていますが、とっかかりはポリアセチレンのSu-Schriefer-Heeger(SSH)モデルがいいのではないかと思っています。 twitterで簡単な説明をしている人がいました。 https://mobile.twitter.com/q9ac/status/1293366479346233345 最近は分子を表面で重合させて作ってSTMで見ることができます。下記はニュースですが、元論文のデータは感動的です。一番下のリンクから論文に飛んで、右パネルのFiguresタブで縮小版が見えます(あまりよく見えませんが、角のリボン状につくったグラファイトの原子が1個1個…

結び目を記述する Jones 多項式

今週は数学と物理の間にある面白そうな話を紹介したいです。まず、結び目を記述するJones 多項式(1984)から。これは感動します。下記はまだ再生回数が少ないですが、早送りでスライドを見ていくと何となくわかると思います。 https://www.youtube.com/watch?v=T4gaa191hpY 量子論、統計力学、素粒子論と関係がつけられています。 日本語pdfでの解説は下記ですが、参考文献はリンク切れが多いです。なんでそうなるかの証明はちゃんと数学の本を読まないといけないようです。 https://www.mathsoc.jp/publication/tushin/1303/13…

世界の研究所 Abdus Salam International Center for Theoretical Physics 国際理論物理学研究センター

今週の世界の研究所は、イタリアのトリエステにあるAbdus Salam International Center for Theoretical Physicsを紹介します。ここは、素粒子理論でノーベル賞を取ったパキスタン出身のSalamの提案で設立されました。物理や数学の研究や賞の選考の他に高等教育が充実していない国の学生を選んで(年数人です、どうやって選ぶのでしょうか)他国の博士課程入学のための証明書を出す活動も行っています。 https://youtu.be/_9dPsxEE6Pk https://www.ictp.it/about-ictp/media-centr1e/news/202…

企業会計 その4 balance sheet (2)

今日の企業会計は、「貸借対照表 balance sheet, B/S」のつづきです。Polaroid社の http://getfilings.com/o0001047469-04-011980.html#di1376_item_8._financial_statements_and_supplementary_data の38ページを参照してください。 下の方のLiabilities and stockholders’ equity が「貸方」で、負債と株主資本です。経営の安定性の指標の一つが、「自己資本比率」で、自分のお金(自己資本、equity)を資本全体(=負債と自己資本の和…