世界の研究所 GWEC (Global Wind Energy Council 世界風力エネルギー協会)

今週の世界の研究所は、風力発電の業界団体であるGWEC (Global Wind Energy Council)を取り上げます。業界団体なので、意見は割り引いて聞く必要がありますが、データは使えるでしょう。 風力の寄与は2020年の発電量の5.9%だそうです。 現在、風力発電設備の日本勢のシェアはほとんどありません。今週は風力発電の周辺について調べたいと思います。 今年の風力発電の年次報告書の説明が下記ですが、報告書も含め、背景の説明がないのでわかりにくいです(70分)。 https://www.youtube.com/watch?v=_dHABzVuWQU その中では、ベトナム、南アフリカが…

企業会計 その10 キャッシュフロー計算書(2)

今週の企業会計は、CF (Cash Flow Statement)の続きです。大津著「英語の決算書を読むスキル」に例が出ているBlockbuster社(米国、1985年に起業し2010年に倒産)のCFを見ましょう。 https://www.barchart.com/stocks/quotes/BLIAQ/cash-flow/annual Blockbuster社は、ビデオレンタルショップの会社(日本店舗はGeoに売却)で、ネットのオンデマンドが出る前は一世を風靡した業態でした。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%83%…

がんばれEAGLE炉褐炭水素化プロジェクト!

良い石炭はとりつくして減ってきているので、質の悪い石炭(褐炭:炭化が進んでいない)ものを利用したくなります。こういう絞った雑巾(ぞうきん)をさらに絞るような仕事は我々の国民性に向いていると思います。みみっちいと言われても胸を張って、豊かになりましょう。下記は経産省のプロジェクトです。 http://www.hystra.or.jp/project/ https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/kattansuisoproject.html どうやって褐炭から水素をつくるかというと、2002年から開発されてきたEAGLE炉技術を使…

石炭由来のコークスを使わない水素製鉄の各国の取り組み

昨日のドイツの2030年 CO2削減目標 1990年比-65%と日本の目標「2030年に2013年の-46%」のどちらが厳しいか比較するデータを見つけました。ドイツの目標は2013年比にすると-52%ですね。現在人口一人当たりのCO2排出は日・独ほぼ並んでいます。いずれにしても高い目標だと思います。 https://www.de-info.net/kiso/atomdata11.html 石炭は、今の使用量なら、まだ100年分はあるとのことですが、質の良い無煙炭や瀝青炭はとれなくなっています。 とくに、製鉄用のコークス(燃料兼還元剤)の消費量が大きいです(日本全体の14%のCO2を排出)。コー…

石炭火力発電の気になる動向

日本の発電における石炭の割合は27.6%(2020年)のようです。エネルギー源の多様性を確保するためにいろいろな資源を使う方針です。現在、風力は1%以下ですが、太陽光が8.5%まで増えているのに驚きました。 https://www.isep.or.jp/archives/library/13188 欧州では石炭火力発電が効率が低くCO2を多く出すことから、2038年までに禁止する方向で動いていて、その影響で天然ガスの消費量が増えて需給がひっ迫し、電力料金が上昇しているようです。このままいくと大規模停電の可能性もあるという警告もあります。特に原発を止めながら野心的なCO2削減目標(1990年の6…

世界の研究所 マックスプランク石炭研究所(Max-Planck-Institut für Kohlenforschung)

今週の世界の研究所は、今年のノーベル化学賞のProf. B. Listが在籍するドイツMax Plank 石炭研究所(Max-Planck-Institut für Kohlenforschung)です。Max Plank Gesellschaft 傘下の86の研究所の一つです。「石炭」とついていますが、有機および有機金属に関連した均一および不均一触媒の基礎研究を行う研究所になっているようです。石炭はほとんどやっていないのに、名前を変えないところが面白いですね。350人の従業員の半数が博士号を持っているかは博士課程学生とのことです。5つの研究部門があり、その長である5人(Board of Di…

企業会計 その9 キャッシュフロー計算書(1)

今週の企業会計は、B/S, P/L以外に重要なもう一つの財務指標であるC/F(スラッシュはどれもつけなくても可。キャッシュフロー計算書 Cash Flow Statement)を解説します。 現金(cash)は企業にとって血液のようなものであるとよく言われます。支払うべきお金が払えない状況(デフォルト)を6か月間に2回すると銀行取引が2年間できなくなるというルールのようです。個人でもクレジットカードの引き落とし残高が不足して催促期日または2回目の引き落としに不足があるとカード停止になるそうです。 https://www.tsr-net.co.jp/guide/knowledge/glossar…

世界の飛び地(4) セウタ、メリリャ、キプロス、アラスカ

飛び地は不自然なので紛争の原因(または結果)になり、解消される傾向にあるようです。 何百年も昔にできた場合は落ち着いています。 例:セウタ、メリリャ(メリジャ、モロッコにあるスペインの飛び地、セウタはジブラルタルの対岸) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%82%A6%E3%82%BF https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%A3 しかし、第二次大戦後の「外交の墓場」にあったりすると問題を抱えたまま膠着します。 例:キプロス(cupperの語源、島を分断する…

世界の飛び地(3) ジブラルタル

今週は世界の飛び地の遠足ですが、有名どころとしては、英領ジブラルタル(Gibraltar)があります。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%AB ここは、ヨーロッパとアフリカが接近しているところで、半島の背後はスペインです。the Rockという石灰岩の岩山でできていて、鍾乳洞もあります。 https://www.youtube.com/watch?v=WgHYADia45c 長ぼそい岩山の対岸はアフリカですね。 所属は ネアンデルタール人→・・・→フェニキア→ムスリ…

ノーベル経済学賞2021 自然実験

今年のノーベル経済学賞は、「自然実験 natural experiments」に与えられました。 https://www.nobelprize.org/prizes/economic-sciences/2021/press-release/ 経済学では実験ができませんが、実際に起こった、条件が異なる事象を比較することで、実験したのと同じように定量的な結果を導こうとする方法です。移民が社会に与える影響、最低賃金を変えるとどうなるか、教育が労働市場にもたらす効果などです。1990年代にそれまでの常識を覆す結果が得られたとのことです。疫学で使われた手法を経済学に応用したもののようですね。下記wiki…