世界の研究所 空飛ぶ自動車のJetson社(スウェーデン)

生物系の話が2週続いたので、今週はニュースに出ていた空飛ぶ自動車について調べましょう。世界の研究所は、スウェーデンのベンチャー企業 Jetson です。 https://www.jetsonaero.com/ 一人乗り、重量86kg, 搭載重量95kg(体格が良いと厳しい?)、2.48×1.50x1.03 m 時速102kmで20分飛行可能。出力88kWのリチウムイオン電池、充電1~2時間です。土地利用が密集している日本では使用は難しいかもしれませんが、実用性はありますね。 Jetson is a Swedish company with a mission to change the way…

Justice 第2章 功利主義(1)

金曜日はしばらくSandel教授のJusticeを読みます。今回と次回で第2章「功利主義」を解説する予定です。功利主義は、「最大多数の最大幸福」を掲げて「道徳を科学的に扱う」ことを主張します。すなわち、関係者の幸福(快)の総和から苦痛(苦)の総和を引いたものを最大にすべきであるという原理です。第2章では、功利主義が一筋縄ではいかない衝撃的な例がいくつも挙げられています。冒頭の例は朝から申し訳ありませんが下記でした。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%83%A7%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E5%8F…

膵島β細胞の増殖法

月曜日に紹介した、膵島β細胞の増殖法は、MYCL(L-Mycとも)という遺伝子の発現誘導を行うことでした。 MYCLや「発現誘導」は知らなかったので調べてみました。MYCLは下記サイトにあるように、DNAの転写を制御するタンパク質をコードしている「がん原遺伝子」だそうで、エラーが起こるとがんにつながるようです。下記サイトは静岡県の機関のものですが、勉強になりますね。 https://www.jcga-scc.jp/ja/gene/MYCL iPS細胞にも当初Myc遺伝子の仲間が使われていましたが、がん化の危険があるので使わない方法が開発されたそうです。「発現誘導」の方は猛烈に複雑で、今でも新事…

インシュリンの機能

インシュリンは51個のアミノ酸からなるペプチドです。大きさは2nmくらいでしょうか。塊のような形をしているので、液体中や細胞膜表面を移動しやすいのではないでしょうか。下記の真ん中あたりExploring Structureの”JSmol”タブを押すと3次元構造を動かせます(ちょっと時間がかかります)。 https://pdb101.rcsb.org/motm/14 インシュリンは細胞膜にある受容体と結合すると、細胞内シグナルタンパク質を変化させます(アミノ酸の-OHにリン酸PO4をくっつける)。その酵素チロシンキナーゼを活性化させるところからスタートするようです。 ht…

インシュリン

ランゲルハンスが彼の名前がついた膵島(isles of pancreas)を発見してから、その機能が分かるまでには52年かかっています。膵臓の主な機能は消化酵素を作ることですが、なぜかグルカゴンGlucagonとインシュリンInsulinという2つの血糖値調節ホルモンも出します。 https://www.terumo.co.jp/challengers/challengers/13.html ランゲルハンスの晩年の言葉「私には、これを解明する能力が欠けている」。フェルマーの「証明はできたが書く余白がない」に匹敵するドラマだと思います。 インシュリン Insulin は、「島 insula」を語…

世界の研究所 独・ランゲルハンス研究所 Paul Langerhans Institute Dresden

今週の世界の研究所は、Paul Langerhans Institute Dresden (独 ドレスデン工科大学付属の研究所)をとりあげます。 https://tu-dresden.de/med/mf/plid?set_language=en ランゲルハンス(1847-1888)は、解剖学に様々な細胞染色試薬が使われるようになった時期に活躍した学者で、結核で若くして亡くなりましたが、皮膚の免疫システムにかかわるランゲルハンス細胞と、糖尿病にかかわるすい臓のランゲルハンス島の発見に名前を残しています。 先週、東大医科研等のグループからランゲルハンス島のβ細胞の増殖に成功したというプレスリリース…

ATP合成酵素

生物系の分子動画で外せないのが ATP synthase でしょう。WEHI.tvとHarvard Univ.の動画がありました。 https://www.youtube.com/watch?v=OT5AXGS1aL8 https://www.youtube.com/watch?v=_GPDsQnnvrA この仕組みを推測した人とX線回折で証明した人は1997年のノーベル化学賞です。 https://www.nobelprize.org/prizes/chemistry/1997/press-release/ ATP synthase が働くミトコンドリアは、独自の遺伝子を持っていて共生細菌由…

アポトーシスの分子機構

WEHI.tvの動画の続き、今日はアポトーシス apoptosisです(つづり注意)。 https://www.youtube.com/watch?v=DR80Huxp4y8 https://www.youtube.com/watch?v=tzwaPWElklo ここに出てくる抗がん剤 venetoclax はスイスの製薬会社ロシュ(Roche)傘下のGenetech社の製品のようです。 https://en.wikipedia.org/wiki/Venetoclax 英語は昨日のassume の解説です。これは「仮定する」だけではわからない文章が出てきます。 LDOCEから 1 to thi…

ミトコンドリア中の電子輸送系、「まねする、ふりをする」の英語

WEHI.tvというyoutube チャンネルは昨日のオーストラリアの研究所が作っています。いろいろありますが、今日はミトコンドリアの中の電子輸送系を見ましょう。酵素の動きは分子動力学計算でしょうね。動きが硬いのと柔らかいのがあって面白いです。 https://www.youtube.com/watch?v=nmoLoiFakxY 日本語の図が http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/~bc1/Biochem/oxidphos.htm にあります。 最初の方にでてくるquinone はubiquinone = 最近のサプリにある Coenzyme Q10 でしょうか。昔々ユ…

世界の研究所 WEHI (オーストラリア Walter and Eliza Hall Institute of Medical Research)

今週は年度末行事や各種会議で時間が切迫することが予想されるので、youtube鑑賞で楽をしようと思います。世界の研究所は、細胞内現象の分子レベルの動画を多数公開している、オーストラリアのWEHI (Walter and Eliza Hall Institute of Medical Research)をとりあげます。 https://en.wikipedia.org/wiki/WEHI メルボルンにあって、1915設立、以前の所長(Sir Burnet)は免疫のクローン選択説でノーベル賞を取っています(1960)。動画というのは、例えば下記です。 https://www.youtube.com…