孫子 怒りの感情

今週の孫子は、第12章 火攻篇からです。怒りの感情に任せて戦うと取り返しがつかないことになる、と言っています。 怒りの制御法についてはセネカ(Lucius Annaeus Seneca;BC1-AD65)をはじめ多くの哲学者が取り上げています。 https://eigomeigen.com/anger.php 最近の本では「ヤクザ式 相手を制す最強の「怒り方」 (光文社新書) 」向谷匡史著 が面白いと思いました。怒りを抑えつけるのではなく、頭を使って溜飲を下げながら自分の利益に結び付ける方法が解説されています。親しい間でやると角がたちますが、ビジネスの交渉では有効かもしれません。 「主不可以怒…

反応探索ソフトと海賊版サイトへの注意

反応探索には、出版社Elsevier のReaxysという有料のデータベースがよく使われます。これは、分子構造その他条件を入れると、関連文献を教えてくれます。この中身・しくみについては堅く秘密にされているそうです。IBMのroboRXNとは競合すると思います(IBMが文献情報を使っているかどうか不明。純粋に第一原理計算+AIだとあまり賢くないでしょう)。価格設定がどう変わるか、興味深いです。Reaxysは平成30年の産総研の契約情報が公開されていて年間1700万円余です。高いですね。 イスラエルの歴史学者ハラリ(Yuval Noah Harari)の本のどれか、多分”Homo De…

SMILES

IBM roboRXNでは、分子の記述にSMILES(simplified molecular-input line-entry system)という記法を使っています。これは、分子中の原子のつながり方を1次元の文字列で記述する方法で、1980年代に開発されました。現在、大部分はオープンソースですが(”RDKit”で探してみてください)、SMILESの考案者 David Weiningerに関しては追悼文が専門誌にあり、web公開されています。それによると、同氏は大学の人ではなく、会社→大学院で博士→自治体で環境中の化学物質の毒性を調べる→毒性データベースのためにSMI…

受託合成サービス

ロボットを使わない委託合成サービス(人間が実験する)は、合成法の文献が分かっていれば1化合物100万円くらいからやってくれる会社があります。 https://www.ipros.jp/cg1/%E5%90%88%E6%88%90%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B9/ また、ペプチドなどは大学のバイオの研究室も外に委託することが多いと聞きます。 https://www.peptide.co.jp/custom/peptide_synthesis 一昨年の地震の停電で、せっかく購入したペプチドが全部だめになったと嘆いていた先生がいました。誰も補償してくれなかった…

世界の研究所 IBM AlmadenとIBM robo-RXN

今週の世界の研究所は、アメリカのシリコンバレー(San Jose サンノゼ市)にあるIBM Almaden研究所です。(画像が大きく、ネット接続が重いので注意) https://www.research.ibm.com/labs/almaden/ ここはFortran(プログラミング言語)、SQL(relational detabase言語)等の発祥地で、人工知能Watsonがある場所です。また、STMを使って原子を並べて文字を書くデモンストレーションで一世を風靡しました。インターネットから使える量子計算機IBM-Qがあるのもここかもしれません。 実際に存在するのはAlmadenではないかもし…

孫子 humint ヒューミント

今週の孫子は、13章用間篇(The use of spies)からです。人から情報をとることの重要性を説いています。現代で言う、情報機関におけるhumint (ヒューミント、human+intelligence)ですね。これまではhumintが重要とされてきましたが、ポストコロナの時代にどうなるかは興味深いです。 「故明君賢将、所以動而勝人、成功出於衆者、先知也。 先知者不可取於鬼神、不可象於事、不可駿於度。必取於人、知敵之情者也。」 Thus, what enables the wise sovereign and the good general to strike and conquer…

ゼオライト(3)

天然ゼオライトの処理工場の動画です。建材に使うだけあって、すごい量ですね。 https://www.youtube.com/watch?v=98IcrplgRB4 人工ゼオライトは有機界面活性剤のミセルで構造が決まりますが、天然ゼオライトの成因は不思議です。火山灰が湖に沈殿してから再加熱され、アルカリの作用の下、水熱反応が起こってできるといわれています。 https://www.mdpi.com/2076-3417/8/4/608 によると、粘土鉱物カオリンを600℃で焼いてからNaOH 5M水溶液とモル比8:1で混ぜて80℃24時間でzeolite A (4A, LTA)ができたとのこと。S…

ゼオライト(2)

ゼオライトの用途は、いわゆる分子ふるいとして特定の大きさ以下の分子を選択的に吸着させることが一つです。有機溶媒の手軽な乾燥法として、水分子が入る穴を持つゼオライト4Aを入れますね。ゼオライト4A は、3文字略号ではLTAです。 http://www.nakamura-gp.co.jp/business/nano_zeolite/4a3a5a.html (この会社は、工具の会社だと思っていましたが、新規事業でゼオライトを作っていますね。製法は昨日紹介した東大の瞬間加熱法に関連しているのではないかと思います) 二つ目は、洗剤のビルダーです。 https://ja.wikipedia.org/wik…

ゼオライト(1)

ときどき鉱物の話をしましょう。今週はゼオライト(日本語では沸石)です。 web上に構造データベースがあり便利です。3文字の略号で表すことになっています。ボタンを押すと構造や合成法が出ます。 https://asia.iza-structure.org/IZA-SC/ftc_table.php 作り方は、界面活性剤のミセルとSi, Alのアルコキシドを長時間寝かせてゾルゲルにして、焼き固めます。界面活性剤分子をうまく設計することで穴の大きさや形が変わります。長距離秩序を持つ結晶になるのは不思議ですが、数10μmサイズの単結晶は作られています(1)。市販品は数種類しかなく、自分で合成しなければなら…

世界の研究所 イナゴ対策(FAOとCIRAD)

今週の世界の研究所は、今年大発生したイナゴの研究をしているところを探しました。 若手研究者のベストセラー(「バッタを倒しにアフリカへ」)で日本では「モーリタニア国立サバクトビバッタ防除センター」が有名になりましたが、その研究所のweb site は見つかりませんでした。ただ、1.によると今年はMauritaniaでの被害は少なかったそうです。 蝗害の防除には国連のFAO (United Nations Food and Agricultural Organization; 2は責任者のインタビュー)が活躍しているようで、下記が詳しいです。フランスの機関CIRADがかかわっているためか、フランス…