偶然を扱う数学的方法 確率微分方程式

偶然をきちんと扱うには、確率微分方程式(stochastic differential equations)を使う必要があります。これは、ブラウン運動の理論から発展したもので、確率的に値が変わる項が含まれます。保険、金融商品(デリバティブなど)の価格算定に応用可能です。電気的ノイズを扱うのにも使えます。統計力学の先の方に出てきます。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%BC%E9%81%8E%E7%A8%8B stochastic スト「キャ」スティック 確率論的な 「偶然」の訳はいろ…

都市伝説 百匹目の猿現象

ユング心理学のsynchronicityを敷衍(ふえん)すると、「百匹目の猿現象」のような都市伝説ができてしまうので要注意です。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BE%E5%8C%B9%E7%9B%AE%E3%81%AE%E7%8C%BF%E7%8F%BE%E8%B1%A1 これは、日本の小さい島の猿が芋を洗うことを覚えて、その数が増えていくと、他の島でも洗うようになったという話ですが、出典とされる論文には記載がなく、証拠のない「都市伝説」であるとされています。その題名の本も出ていますが、専門家から繰り返し否定されています。 一時期流行った「ミーム m…

世界の研究所 ユング研究所

今週の世界の研究所は、スイスの心理学研究所 C.G. Jung Institute (ユング研究所)を取り上げます。 https://en.wikipedia.org/wiki/C._G._Jung_Institute,_Z%C3%BCrich C.G. Jung(1875-1961)はS.Freud(フロイト, 1856-1939)の後から分析心理学を作った人です。最初はフロイトと共同研究をしていましたが、途中で袂(たもと)を分かっています。Jung研究所は、Jung自身が設立して所長をしていました。日本からも有名な学者が留学しています。専門家には怒られてしまうかもしれませんが、私の理解によ…

武士道 日本刀 = サムライの魂

今週の武士道は、The Sword, The Soul of The Samuri(第13章 日本刀:サムライの魂)からです。 …The question that concerns us most is, however: Did Bushido justify the promisucous use of the weapon? The answer is unequivocally, no! As it laid great stress on its proper use, so did it denounce and abhor its misuse. A dastar…

日本刀の焼刃土

日本刀の模様は「焼刃土」を塗る「土置き」によって人為的に作っていることを今回初めて知りました。 https://www.youtube.com/watch?v=NZ6gwcz_Flk 粘土、砥石の粉、墨の粉を混ぜたものを厚さを変えて塗る、調合や成分に秘伝がある、 乾燥後、加熱→急冷で焼き入れ。 塗が薄い部分には焼が入り、厚い部分には焼が入らない(成分によっては逆もありうる)。 詳しい解説は下記3つ目のように論文になっています。 焼き入れで水に入れたとき、水蒸気が発生すると冷却速度が遅くなる。薄く塗ったところは少し断熱して水蒸気発生を抑えつつ、粘土の隙間の毛管現象で水が少しずつ侵入して冷却速度が…

たたら製鉄

日本刀の材料である玉鋼(たまはがね)を作るのは「たたら」という日本で開発された低温製鉄プロセスです。 アニメ「もののけ姫」にも出てきます(下記サイトはbrowserによっては見にくいですが、スクロールを繰り返すと見やすくなるかもしれません)。 https://tetsunomichi.gr.jp/tales-about-tatara/princess-mononoke/ たたらの動画もいくつかyoutubeに上がっています。 https://www.youtube.com/watch?v=yvJGmLuhwzs 三昼夜かかるたいへんな重労働です。刀の需要に合わせて毎年冬に数回だけ行っているよう…

日本刀の作り方

日本刀の作り方については、下記が分かりやすいです。 https://www.youtube.com/watch?v=CgaUba0aSWQ ・玉鋼(たまはがね)は「たたら」で作ります(明日) ・玉鋼を叩いて割って、炭素量を目と手触りで見わけ、芯鉄(しんがね)と皮鉄(かわがね)2つに分類 ・温度を目で見て制御する ・何度も折り返す 皮鉄15回(2^15=32768層)、芯鉄8回(2^8=256層)の層状組織を作る ・「土置き」で模様を作る など、興味深い技が多いです。 この動画が43万回再生なのに対して、鉄を延ばして磨いただけの https://www.youtube.com/watch?v=x…

世界の研究所 島根大学次世代たたら協創センター

今週の世界の研究所は、ローカルですが、島根大学次世代たたら協創センターを取り上げます。 所長をOxford大学から招き(兼任)、近くに研究所(冶金研究所)がある日立金属(株)の研究者を教授(兼任)としている新しいタイプの研究所です。最新鋭の電子顕微鏡を数台購入しています(収差補正はついていませんが)。大学の先生方の力を生かすうまい仕掛けだと思います。 https://www.youtube.com/watch?v=41gqMD8wl_M 動画8分51秒から、Oxford大学では教授一人1.5億円/年、最低でも一人3000万円/年を企業から集めているとの発言があり、面白かったです。日本では企業か…

武士道 「仁」をどう訳すか

今週の「武士道」は、Education and Training of a Samurai(第十章 武士の教育及び訓練) からです。 The first point to observe in knightly pedagogics was to build up character, leaving in the shade the subtler faculties of prudence, intelligence, and dialectics. We have seen the important part aesthetic accomplishments played in hi…

重力波研究の先駆者

重力波検出の試みを行った先駆者として、Maryland大学の故Joseph Weber教授がいます。貧乏なため海軍の技術者として電子工学を勉強し、退役後に教授になりました。1952年にアインシュタインのA係数とB係数が光増幅と関係あるのではないか(レーザーの原理)?と提案して有名になりました。サバティカルで一般相対論を勉強して、数mのアルミニウムの円筒をピエゾでつないだ”Weber bar” を作って重力波を検出しようと試みました。検出したという報告を1969年以降にPhys. Rev. Lett.等に発表しましたが、複数個所で観測を行っても同時検出が得られず、また感度…