今週の世界の研究所は、スイスの心理学研究所 C.G. Jung Institute (ユング研究所)を取り上げます。
https://en.wikipedia.org/wiki/C._G._Jung_Institute,_Z%C3%BCrich
C.G. Jung(1875-1961)はS.Freud(フロイト, 1856-1939)の後から分析心理学を作った人です。最初はフロイトと共同研究をしていましたが、途中で袂(たもと)を分かっています。Jung研究所は、Jung自身が設立して所長をしていました。日本からも有名な学者が留学しています。専門家には怒られてしまうかもしれませんが、私の理解によるJungの業績は下記です。
https://en.wikipedia.org/wiki/Carl_Jung
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%A6%E3%83%B3%E3%82%B0
-1. 人類共通の集合的無意識(=脳のハードウェアとOS)が持つ特定の思考の型(archetype)が存在する。Jungはこれを夢や神話の分析から導きました。現代小説の分析などにも使われます(執筆に使っている作家もいる?)。
例 Great/Benevolent Mother, Devourer, Wise Old Man, Hero/Self
-2. 偶然には意味があることもある(synchronicity 共時性、constellation)
-3. complex, anima/animus, persona, shadow,psychological types 等、治療にも重要な概念の確立と治療
2.はオカルトとみなされる要素もありますが、偶然を体験する側には心理学的に意味がある、と考えるとそんなに変ではありません。また、先週「今日の英語」で日本刀を解説していたらNHKの番組が偶然同じ話だった、というようなことは私も時々経験してきました。社会の情報にうねりがあって、入力が同じなのでと出力も似てくる、ということで説明は可能でしょう。おなじ性格傾向を持つ人が偶然何度も会う、なども起こり得ますね(私も外国の博物館で昔世話になった人に何十年かぶりにばったり会った経験があります)。「縁(えん、えにし)」という日本語の意味にも関連してきます。我々の商売だと、「天から降ってきた新しい着想」「偶然の現象を捕まえる」ということが重要になるので、この辺には関心を持ってきました。今週は「偶然」「運」について検討します。
benevolent 慈愛を持つ benevolence=「仁」
devourer デ「ヴァ」ウアラ 貪食者 がつがつ食べる人 ゲームにも出てきますね。
devour デ「ヴァ」ウア 意味が広いです。貪り食う、滅ぼす、むさぼり読む、食い入るように見つめる、熱心に聞き入る、夢中にさせる (レベル6)
anthropology 人類学
myth ミす 神話
archetype アーキタイプ、元型、類型
collective unconscious 集合的無意識
complex コンプレックス (心理学用語は、日常用語の「劣等感」よりも広い意味です)
psychoanalysis 精神分析学 (Freud)
analytical psychology 分析心理学 (Jung)
accident 偶然の出来事、事故 (←同じ言葉なのが興味深いですね)
(LDOCE)1 c.f. by accident = in a way that is not planned or intended
2 an event in which a car, train, plane etc is damaged and often someone is hurt
3 a situation in which someone is injured or something is damaged without anyone intending them to be
4 something that happens without anyone planning or intending it