ギンゴケ、シモフリゴケ、砂の惑星

年のせいか、図鑑のように写真の多い本を見て心を休めることが多くなりました(いくつか先人のそのような記述を見たことがあります。若い時は「なんと暇な・・・」と思っていましたが、今はわかります。年齢とともに、ずっと根(こん)を詰めることが難しくなります)。最近見ている本は、大石善隆著(福井県立大の先生です)・コケはなぜに美しい(NHK出版)ですが、その中で、ギンゴケ(Bryum argenteum)やシモフリゴケ(Rhacomitirum lanuginosu)が面白いと思いました。下記は、個人のwebですが、顕微鏡写真がすばらしいです。 https://soyokaze2jp.blogspot.c…

銅を集めるホンモンジゴケ

ホンモンジゴケ(Scopelophila cataractae)という東京の池上本門寺で1934年に発見されたコケがあります。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%B3%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%82%B4%E3%82%B1 これは、寺や神社などの緑青のあるところに生える苔で、銅イオンをとりこんで細胞壁に貯める性質があります。銅以外の重金属イオンも集めて不活化するので、環境浄化の働きが期待され、研究がおこなわれています。これ以外にも重金属を貯める苔は数種類あるようです(copper moss 銅ゴケ と呼…

ゼニゴケのゲノム

ゼニゴケ(Marchantia polymorpha)の全ゲノムは2017年に解明されました。著者40名(!)の論文です。 https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2017-10-06-0 その他のコケの全ゲノムは未解明のようです。 ゼニコケが他の陸上植物(維管束植物)よりも少ないゲノムセットを持っていることから、藻類から進化した初期の状態をとどめていて、そこから他の陸上植物に進化したことが推測されています。陸上植物は倍数体の形成やそれを利用した育種(重複するコピーの一部が突然変異など)などにより複雑なゲノム(遺伝情報)を持つことが知られています。…

世界の研究所 MossTech (苔に関する virtual な研究所)

今週は「苔(こけ)、蘚苔類(せんたいるい)」について紹介します。moss research で検索したところ、デンマーク工科大学を中心に3大学+1研究所+4つの会社が作っているバーチャルな研究所 “MossTech”が見つかりました。 https://www.mosstech.eu/ まだできたばかりなのか、所員10人(7か国)、院生6人で、websiteと「苔を見る会」のイベントが主要な活動のようです。ターゲットは新しい遺伝子の探索や分子合成系の開発で、着眼点は面白いと思います。国際的な仲間でこういうvirtualな研究所がたくさんできると楽しいですね。 日本でも「苔…

新型脳磁計

金曜日は本を読むことにしていますが、今回は準備が間に合わないので、今週出てきた脳磁計の話のつづきです。 (「小説という表現形式の頼もしさは、マヨネーズをつくるほどの厳密さもないことである」司馬遼太郎、「今日の英語」は小説ではないですが、言い訳です。) 脳波測定では全体の活動しかわかりませんでしたが、脳のシナプスの電流が作る磁場を測定することでどこが活動しているかが頭蓋骨の外からわかります。 脳磁計は日本ではリコーが販売しています。 https://jp.ricoh.com/release/2018/0709_1.html 使用料は下記一時間740ドルです。fMRIよりは安いようです。 http…

拍子の脳による認識

音楽の拍子(ひょうし、beat)の脳による認識についても研究がおこなわれています。やはり、超伝導脳磁計(MEG)をつかってどこが働いているかを見ています。人間で実験するにはそれしかないでしょうね。一時期、日立が開発した光トモグラフィーが 流行っていましたが、感度が足りないのでしょう、脳磁計の独壇場のように見えます。この装置は恐ろしく高価だと思います。下記論文ではいろいろな拍子を聞かせて、周期的な刺激に感じる部分とその応答波形を見ています。反応する部分は耳の上の両側の側頭葉にあるみたいです。短調・長調の区別は前頭葉左側の言語中枢の一つ(音⇔単語、ブローカ野。もう一つはウェルニケ野で単語⇔意味。)…

短調と長調の認識

短調と長調はおそらく人類に普遍的に同様の感情をひき起こすと思います。 和音を聞くと納得できると思います。 https://autochords.com/ 脳のブローカ野 (Broca’s area,前頭葉左側にある言語中枢の1つ。イメージ⇔単語・文の機能)が長調と短調の認識の際に活動していることが脳磁計での計測から報告されています。 https://www.nature.com/articles/nn0501_540?foxtrotcallback=true https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%8…

映画音楽 John Willams

Julliard の卒業生の有名人は日本人を含めたくさんいますが、映画音楽作曲のJohn Williams(1932-)は よく知られた映画音楽をたくさん作っています。 Superman, Jaws, Close Encounters of the Third Kind, Star Wars, Indy Jones, Jurassic Park, Harry Potterなど、耳に残るよく知られた音を一人で作っていてびっくりします。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82…

世界の研究所 The Julliard School ジュリアード音楽院

今週の「世界の研究所」は、The Julliard School ジュリアード音楽院 を取り上げます。 https://www.juilliard.edu ここは、世界でも指折りの音楽・舞台芸術の学校で、アメリカのニューヨークにあります。皆さんが知っている有名な現代の演奏家・作曲家を多数輩出しています。 下記ビデオを見る限り、しっかり勉強できそうですね。生徒も教員もいい顔をしています。 https://www.youtube.com/watch?v=v1k_18-NOB0 ※ 研究所というよりも教育機関ですが、新しいことも当然教えているので、研究もしています。そろそろ研究所が尽きてくるので、徐…

武士道 大尾(たいび)

今週の「武士道」は、最終17章「武士道の将来 The future of Bushido」の末尾です。大尾(たいび)は本などの終わりを指す古い言葉です。 … Bushido as an independent code of ethics may vanish, but its power will not perish from the earth; its schools of material prowess or civic honor may be demolished, but its light and its glory will long survive their ruin…