テフロンの接着

最近テフロンの接着法がいろいろ開発されています。テフロンは表面エネルギーが極めて低いので、ほかの物質と界面を作って表面エネルギーを下げる必要がありません。したがって接着が難しいです。 https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/la981727s http://www.ptfecoatings.com/technology/surface-energy.php 昨日の産総研ビデオにありましたが、大気中の放電プラズマやレーザー、火炎を使ってテフロンの表面を酸化して、化学結合可能な官能基(COOHなど)を出すというのが一つの方法です。下記の3分40秒くらいから。 ht…

世界の研究所 産総研 接着・界面研究ラボ

今週の世界の研究所は、日本の産業技術総合研究所(産総研)の「接着・界面研究ラボ」を取り上げます。産総研は2300名の研究者を抱える日本の国立研究所組織の一つで、つくばを中心に、全国に特色を持った11の拠点があります。 https://www.aist.go.jp/aist_j/information/about_aist.html 接着・界面研究ラボはいろいろな部門の研究者が集まってできた小組織ですが、化学、分光、機械特性評価、シミュレーションなど様々な手法を「接着」という対象の解明に集中させています。名簿にあるのはリーダー級の人たちが多いので、おそらくその下の人たちも関与していて、それなりの…

You are not litening (13)最終章 現代人はちゃんと聞いてもらうことに飢えている

金曜日の読書 You are not listening は最終章 Conclusion です。教会の告解室の話から始まっています。私も学者仲間に外国の教会を案内してもらったことがありますが、小さい個室がたくさんありました。聖職者の人たちが心理カウンセラーの役割を果たしているのだと思います。この章にも聖職者はお互いに告解をしあっているという記述があり、この点も心理カウンセラーと似ていると思います(おそらく心理カウンセラーという職業が成立したときに参考にしたのでしょう)。告解を求める人の行列は最近どんどん長くなっているそうで、対応する聖職者は残業続きだそうです。現代人は「聞いてもらう」機会を欲す…

デザインパターン

最近プログラミングの勉強をして面白かったのは、「デザインパターン」です。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%B3_(%E3%82%BD%E3%83%95%E3%83%88%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A2) これは、いろいろな課題をプログラムに落とし込むときによく使う23個のパターンがある、というもので、1994年の著書によって有名になりました。著者の4人(Gamma, Helm, Johnson, Vliss…

オブジェクト指向

ソフトウェアの作法の教科書でおすすめなのは下記です。いろいろ悩んでいたことへの対処法が明快に説明してありました。我流で試してもいいが、壁に当たったら系統的に勉強しろ、というのは真理ですね。500ページ越えで分厚いですが重くはありません。私はなかなかまとまった本が書けなくて苦労しているので、この量を書ける能力はうらやましいです。 https://www.amazon.co.jp/dp/4048930591 https://www.amazon.co.jp/dp/489100455X https://www.amazon.co.jp/dp/4891004568 現代のプログラミングは「オブジェクト…

カプセル化

私がプログラミングを始めたのは高校生のときで、本と首っ引きではんだ付けして作ったマイコンで24個のスイッチをパチパチして0と1の命令セットである機械語や数値をメモリに直接書き込んでいました。不揮発記憶(その頃は磁気テープに音で入れていた-Star WarsのR2D2の声)が作れなかったため、電源を切るとそれまで入れた情報が消えてしまうので、200ステップ以上ある円周率の計算(メモリが許す最大桁、忘れましたが数百桁)がうまくいったときはとてもうれしかった覚えがあります。いま改めて勉強していて、情報工学の重要な概念の多くがそれよりもずっと前に提唱されているのに驚きました。私見では、重要なものの一つ…

世界の研究所 オンラインのコンピュータ講座

今週の世界の研究所は、オンラインのコンピュータ講座を取り上げます。当然、Udemyなどオンラインの教育企業があります。エンジニアたちが有料の解説動画を上げるプラットフォームです。無料ブログ(Qiita)→有料動画(Udemyなど)、という流れのエコシステムができています。 https://www.udemy.com 大学のオンライン集中講座もあります。 https://bootcamp.du.edu/ はUniversity of Denverという米国アリゾナ州の私大がやっています。3か月(週20時間)か半年(週9時間)のコースで、6科目×24回+マンツーマン指導ありで12000ドル=160…

You are not litening (12)第17章 聞くのをやめるべき時

金曜日の読書 You are not listening は17章(When to stop listening)です。あとはConclusion と Notes(「注」です。全体の30%ある)を残すだけですが、急ぐ必要はないので、次回にします。次回はこの本の構成の秘密と面白さの理由についても考えてみたいです。 17章はfake laughter 作り笑いについて著者が数年前に記事を執筆した時の経験から始まっています。笑いの研究者(文化人類学者?)のつまらない説明に辟易(へきえき)して聞くのを切り上げた話、ラジオの視聴者相談で「2回目のデートがうまくいかない」コーナーの話、「シカト」が武器にな…

Jingdiao(北京精彫集団)社の特許

高精度マシニングセンターで注目される中国のJingdiao(北京精彫集団)社の特許を調べると13件ありました。 https://goodip.io/iq/assignee/beijing-jingdiao-co-ltd 例えば下記は軸のぶれを測定して補正する方法です。 https://patents.google.com/patent/CN103419087A/zh https://patents.google.com/patent/CN103419087A/en 180度方向を回転して2回取り付けて偏差(角度差と中心偏差)を測定し、动平衡螺钉调整法(DeepLでは動的平衡ネジ調整法)で自動的…

精密加工と剛性

精密加工には装置や刃物の「剛性(ごうせい)」が重要です。「剛性」はたわんだり曲がったりしないこと、です。私は年代物の旋盤と安い卓上フライスを使って手で金属加工をしますが、刃物がふにゃふにゃする感覚があるときには表面が荒れ、精度が悪くなります。そういう時はどこかが緩んでいるので、締めなおしたりねじを交換したりします。下記、現場視点でうまくまとめたサイトがありました。 https://76works.com/cutting-basic-rigidity/ 振動(「ビビリ」という)を抑えることも重要で、鋳物(いもの)に含まれる炭素の粒が振動を吸収する、というのは知りませんでした。またエンドミルは棒に…