本能の遺伝子レベルのコーディング

生物が刺激に対して応答するやり方には、生まれつきプログラムされているもの(本能)と、後天的に学習したものがあります。本能が遺伝子レベルでどのようにコードされているかについて、論文はあまり多くありませんが、いくつかタダで読める解説を見つけました。 https://www.cell.com/neuron/fulltext/S0896-6273(13)00927-6 によれば、神経細胞(neuron)に対するepigeneticsが重要であるとのことです。 epigenetics は日本語では「後成遺伝学」と訳すようですが、DNA塩基配列の変化をともなわないが、遺伝子発現の変化が細胞分裂後も継承され…

ハチの社会性は神経伝達に関係する遺伝子で決まっている

https://www.nature.com/articles/s41467-018-06824-8 を読んでみます。この論文は、”sweet bee”(コナナバチ?)の仲間の”L.albipes”という種には孤立した生活を送るハチと女王バチを中心とした巣をつくるハチの二種類があることに注目し、それぞれの遺伝子解析を行って違いを見たというものです。 その結果、”syx1a”という遺伝子のイントロンに7種類の一塩基変異(SNP)があり、変異の有無でsyx1aの発現頻度が異なるということがわかりました。syx1aはシナプス小胞…

突然変異がないと進化できない

3日お休みをいただきましたが、今日から復活します。 昆虫の進化について調べています。遺伝子と進化の関係については、「集団遺伝学」という分野があり、基本は遺伝子の変異は「分子進化の中立説」です(長い期間を考えると確率的に起こり、生存に不利な変異は残らないため重要性によって変異の起こる確率が違うように見える)。すでに何回か取り上げています。 https://www.sekaiken.com/?p=1744 https://www.sekaiken.com/?p=1168 で、そこに1回限りの歴史の物語がのっかっていると理解しています。植物は倍数化という面白い方法で遺伝子を大きく変えられますが ht…

昆虫は毒草を餌にするために遺伝子レベルであらゆる手を使っている

昨日紹介した論文は、ある種の蝶の幼虫について、突然変異によって植物が出す毒素を無効化できるようになった仕組みを解明しています。 この論文の本文は購読していないと読めませんが: https://www.science.org/content/article/how-monarch-butterfly-evolved-its-resistance-toxic-milkweed この論文で注目している植物(milkweed、日本語ではトウワタ)が出す毒素はcardinolideと呼ばれるもので、日本語のwikipediaがないですが、おそらく強心配糖体とよばれるものの一種です。 https://en…

世界の研究所:Lewis-Sigler Institute for Integrative Genomics, Princeton University,USA

先週出張していて蚊にかまれましたが、あまりかゆくありません。地域によってかゆみが違うような気がします。これは蚊の種類が違うためではないかと疑っています。花粉症などと同じで細かい種類によって蚊が血を吸うときに注入するかゆみの原因物質やその量が違うのかもしれません。 蚊としてもかゆくなければこれほど憎まれることはないでしょうから、かゆくしない方向に進化してもいいのかもしれません。昆虫の進化は世代交代が速いので速いのではないか?メカニズムはわかっているのか?という疑問でしらべたところ、下記が見つかりました。 https://journals.plos.org/plosbiology/article?…

ドン・キホーテ(7) 公爵夫人と出くわす

ドン・キホーテは当てのない旅をしています。旅をする物語はエピソードを好きなように配列できるメリットがあり、水戸黄門の時代劇のように無限に続けることも、フリーレンの漫画のように緊密に構成することもできます。 後編では、ライオンとの冒険、富農の家での歓待、貧乏な羊飼いが策略で幼馴染と結婚する話、深い竪穴の洞窟に命綱をつけながら降りて幻覚を見る話、詐欺師の人形遣いの話、漁師の小舟に勝手に乗って水車に突っ込みそうになる話、ロバの鳴き真似をめぐり村同士が争う話(ドン・キホーテが仲裁しようとするが追い払われる)など、細部に味はありますが脈絡がない話が続きます。 その後、鷹狩をしている公爵夫人と出くわすこと…

砂漠に安定な構造物を作るには、風化していない砂と入れ替える必要がある

今週月曜日に紹介したNEOMのLineと呼ばれる900万都市計画(計画は大幅に縮小)は、よく調べてみると鏡のように反射する200m幅の壁の中に高さ500mの高層の都市を作る計画のようです。 https://www.youtube.com/watch?v=3xPac81D4Kw 宇宙船の中の暮らしのようになるでしょう。確かに、砂漠の昼の高温や夜の低温は避けられるでしょうが、子供の時から居ると独自の感性をもつようになるかもしれません。 計画は大幅に縮小されて171kmの長さが2.4kmになりましたが、高さ500m、幅200m、長さ2400mのビルと考えると壮観ですね。 https://greekr…

太陽熱発電

太陽電池による太陽光発電が日本では主流ですが、日射が強いところでは太陽熱発電も実用可能性があります。構造が単純で壊れにくいのが利点です。 地面に角度をつけて敷き詰めた鏡をつかって太陽光を塔の先端などの一か所に集中させます。塔の先端に水のタンクがあれば昇温して蒸気に変わるでしょう。それでタービンを回せば発電ができます。最近の蒸気タービンの効率は良いので、太陽電池と勝負をしても勝てるかもしれません。 イスラエルのものが有名です。下記2つ目の下の方にきれいな写真があります。 https://en.wikipedia.org/wiki/Ashalim_Power_Station https://www…

ルブアルハリ砂漠に太陽電池を敷き詰めれば世界のエネルギー問題は解決する

サウジアラビアの西側は高原及び山地ですが、南東のほうにあるルブアルハリ砂漠の面積は25万km2で、日本の陸地面積37万km2と近い桁です。 https://www.saiyu.co.jp/special/mideast_asia/oman/midokoro/rub_al_Khali/ ここに太陽電池を敷き詰めたらどのくらい電力がつくれるでしょうか? 地球が受ける太陽光のエネルギーである太陽定数は1366W/m2で、これは大気による散乱や緯度の効果は含んでいません。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E9%99%BD%E5%AE%9A%E6%95%B…

世界の研究所:サウジアラビアの未来都市NEOM

今週の世界の研究所は、サウジアラビアで計画されている新都市”NEOM”を取り上げます。ここは2017年の国家戦略Saudi Future Investment Initiative 2030で提唱されたもので、紅海の奧、アカバ湾に面したヨルダンとの国境の砂漠を改造しようとするものです。コロナなどがあって計画は遅れており、まだあまりできていません。 計画としては、グリーン水素の供給工場が目玉で、砂漠の強い継続的な日射と安定した風力を使ったエネルギー供給が期待されます。 https://en.wikipedia.org/wiki/Neom 下記が公式webですが、未来都市の…