天保の飢饉は大被害をもたらしましたが、明るい話題もあります。米沢藩では、1802年に、「かてもの(糅物)」というパンフレットが配布(1575部)されました。これは、飢饉のときに使える山野の代用食糧の解説書で、天明の飢饉の後、名君と呼ばれる上杉鷹山公(1751-1822)と有能な家老・莅戸善政(のぞき よしまさ1735-1804)により作成されたものです。備蓄を含めた事前の対策のおかげで、天保の飢饉(1833-39)では米沢藩では餓死者がでなかったとのことです。また、「かてもの」は後の屯田兵も活用したそうです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8B%E3%81%A6%E3%82%82%E3%81%AE
現在に伝わっており、国会図書館webで見ることができます。正しい思考と知識により、自分がいなくなったあとにも人助けができるというのは、元気がでますね。
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1183113
天候不順だけではなく、作物の病虫害もあります。イナゴ(蝗害)はアフリカや昔の中国ではしばしば起こっていますが、作物病害の例で悲惨なのはアイルランドのジャガイモ飢饉(1845-49)です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%A2%E9%A3%A2%E9%A5%89
これは、主食のジャガイモに原産の南米から病気が入って、収穫の多い品種のみを単作していたため全滅したものです。イギリス本国の対応の悪さが加わって、800万人の人口で100万人以上の餓死者を出したと言われています。また、北米への脱出(移民)が100万人単位で行われ、劣悪な船旅でも犠牲が出ました。イギリスとアイルランドが仲がよくない理由の一因ではないでしょうか。悪口は言いたくありませんが、このころのイギリスは、アヘン戦争(1840-42)、セポイの乱(今はインド大反乱というようです。1857-58)など禍根を残す行いが多いと言えるでしょう。
代用 alternative
重商主義 mercantilism マーカンティりズム
帝国主義 imperialism
作物 crops
主食 staple food ; stapleは主要産物という意味で、主食のぴったりの英訳はこれです。
stapler ステイプラー ホチキスのこと。ホチキスは日本への輸入品を作っていた会社の名前が日本語になったもので、英語では通じないと思います。ホチキスの針のことも英語でstapleといいます
副食(副菜) side dish
イナゴ(既出) locust
ジャガイモ potato
原産 native to: The potato is a root vegetable native to the Americas, a starchy tuber of the plant Solanum tuberosum. and the plant itself is a perennial in the nightshade family Solanaceae.
starchy でんぷん質の
tuber 塊茎、(病気の結節の意味もある)
tuberculosis チュバキュ「ろ」ウシス 結核
perennial ペ「レ」ニアる 多年草の、永久の
annual 一年草の、単年の
nightshade family ナス属
禍根を残す to create a breeding ground for future problems
禍根 source of calamity (=惨事の元)