心が折れた犬の話

就職未定の博士課程学生のころ、落ち込みが激しかった時期がありました。そのとき流行っていた本(いまもいろいろ派生品が出ていますが)に、使う言葉の種類を解析すると人の心理状態が分かり、言葉に気を付けると心理状態を変えられるというのがあり、やってみたらある程度改善しました(また、時間がいちばんの薬でした)。
そのやり方は、言葉を数珠繋ぎ(じゅずつなぎ)に連想して100個並べてみてpositiveかnegativeかの点数をつけて統計解析するというものです。演説や書物から単語を拾って解析すると、昔の人の気質や心理状態を調べることもできるということでした。その時の単語の分け方はpositiveとnegativeの2分法だったと思います。今のAIになじむと思いますが、SNSが広告を出すのに当然使っているでしょうね。使い方によってはユーザーの心理状態をいじることもできるかもしれません。その本の著者が下記です。
https://en.wikipedia.org/wiki/Martin_Seligman
Seligmanの業績は2つあり、一つは上記の単語解析から発展したpositive psycology で、現在の自己啓発ブームの一潮流を作っています。もう一つは learned helplessness の発見です。

数珠繋ぎにする string (ひもでつなぐという意味、これだけでは通じないかも)
数珠つなぎになった lined up in a sequence / in a row, tied in a row, connected in series
flourish フ「らー」リッシュ 繫栄した
learned helplessness 学習性無力感: Seligmanが1967年に犬の実験で、装置の故障かなにかで、なにをやっても苦痛から脱出できない状況が続くと犬の「心が折れて」しまって無気力化することを見つけたのがきっかけだそうです。当たり前のようにも思いますが、動物実験で検証可能にして、正式に用語を与えたという意味で「大発見」と言えるでしょう。人間の集団では伝染も起こるとwikipedia(日本語版)には書いてあります。また、脳のどこが関与しているかも特定されているそうです。
quite by accident, 全くの偶然で
depression うつ
summa cum laude スンマ・クム・ラウデ 成績首席で卒業すること(最優等、最近は乱発により1人とは限らないとのこと)  cum laude 優等 こういう、履歴書関係の用語もそのうちまとめてみましょう。
adverse situation うまくいかない環境、逆境 アクセントは米「ヴァー」英「ア」したがってどっちでも通じると思います。
attributional style 心理学用語です。和訳が見つかりません。帰属スタイル? 解説は下記。 https://positivepsychology.com/explanatory-styles-optimism/
temperance 「テン」ペランス 節制 (禁酒、節酒という意味も)
transcendence 超越、卓越、神の超越性 トラン「セン」デンス
 Transcendence refers to the moment when artificial intelligence (AI) surpasses human intelligence.
 量子計算機が普通の計算機を超える「量子超越性」の訳はこれではなく、quantum supremacyです。
mnemonic ニー「モ」ニック 記憶術の、簡略記号の
 (業界では、アセンブラ言語で、二進数の命令を数文字のアルファベットに訳したもの mov add sub mul jnz など)

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