企業会計 その3 balance sheet (1)とPolaroid社

今日の企業会計は、「貸借対照表 balance sheet, B/S」を扱います。いきなりですが、今は存在しないPolaroid holdingsのもの(2002,2003年)を見ましょう。 http://getfilings.com/o0001047469-04-011980.html#di1376_item_8._financial_statements_and_supplementary_data 字が小さいのでbrowserの設定で拡大する必要があるかもしれません。38ページが貸借対照表(consolidated balance sheet と書いてあるところ)。 教科書では左と右にな…

乱数発生アルゴリズム、量子的乱数発生器の値段、ubuntuの由来

分子動力学(molecular dynamics, MD)計算では、しばしば乱数を使います。昨日の温度制御でも、Langevin dynamicsという方法では速度を乱数で変化させます。乱数の作り方は、通常は疑似乱数を作るサブプログラムを呼びます。疑似乱数は、初回のみ人間が数値(“random seed”)を与えて、呼び出すたびに一定規則で値を計算して返し、その値を次の呼び出しの計算に使うことにより、箱の中に手を突っ込んで数字の書いた紙を毎回取り出すような感じで使えます。 計算法が興味深いですが、4桁の数字を二乗してできる8桁の数字の真ん中4桁を取り出す、というのを繰り…

分子動力学シミュレーションの温度制御

計算機シミュレーションは時間をステップで区切り(昨日の動画は0.5fsを1ステップにしています。蒸着速度は1秒間に数cmという非現実的なものです)、速度や位置を運動方程式を解いて更新していきます。温度を扱うには、粒子のエネルギー分布が熱平衡分布と同じになるようにします。化学結合は距離や角度によって復元力を与え、ファンデルワールス力もLennard-Johns式などに各原子固有の定数を入れて簡易的に計算します。 温度制御の手法としては熱浴を2変数としてハミルトニアンに取り込むNosé-Hoover法と運動エネルギーが温度に対応した一定値になるように速度に全体に数値をかけて更新する速度スケーリング…

分子動力学シミュレーションの動画

昨日分に訂正があります。プログラムLAMMPSを製作管理しているのはLos Alamosではなくて、米国の Sandia 国立研究所とTemple大学でした。おわびします。Sandia国立研究所については来週紹介しましょう。 LAMMPSは、分子動力学と呼ばれる計算を行います。私が最近行った蒸着のシミュレーション例を示します。 700Kに設定 https://www.youtube.com/watch?v=F0Hi9NkacY8 100Kに設定 https://www.youtube.com/watch?v=-FVRxe3D5pM 実際と比較すると蒸着分子の速度はだいたいこれくらい、新たな分子…

世界の研究所 米国 Los Alamos National Laboratory

今週の世界の研究所は米国のLos Alamos 国立研究所(1)です。ここは、機密を要する原爆開発のマンハッタン計画(2)の最終段階のためにNew Mexico州の人里離れた場所に1943年に建設されたものです。同計画は、1939年からのべ40000人を投入して、連鎖反応が起こるという情報だけから5年で原子爆弾の開発にこぎつけました。ウランの同位体濃縮、核反応断面積の精密測定、爆弾の設計など、短期間で越えた技術的ハードルは驚くべきものがありますが、日本人としては複雑な感情を抱かざるを得ません。水爆もここで開発されました(Jahn-Teller効果やBET吸着式のE. Tellerが指揮, 19…

企業会計 その2 CAPM

金曜日はしばらく企業会計の解説です。略語がたくさん(数十)あるので、当面、それを知識ゼロから説明していく方針でやってみます。 今回は、前回出てきた企業が資金を株式市場から調達するときにかかる「株主資本コスト」に関連するCAPM(キャップエム: capital asset premium model、資本資産価格モデル)です。読み方が変な略語が多いです。 皆さんが大発明をしたとしましょう。それを使って製品を作って売りたいとして、工場を建てる資金をどう調達するか。銀行から借りるか、株を発行して株式市場で売る(審査に通って上場したとして)かという選択肢があります。銀行のお金は期限が来たら返す必要があ…

CO2還元反応

CO2を電気で還元する方法は研究途上ですが、過電圧や反応速度、選択性の問題があります。個人的には高分子電解質(米国3M社、下記CRDSレポートを参照)が面白いと思います。 太陽光・太陽熱発電で得られた電力を貯めるために、水の電解で水素を作る方法が先行しているので、水素とCO2を反応させて還元する方法が有力視されています。既存のプロセスの改良でできることも利点です。各段階でいろいろな反応があるので覚えておくといいでしょう。 逆シフト反応 CO2+H2 → CO+H2O Fischer-Tropsh reaction (FT反応)nCO+(4n+2)H2 → C_n H_2n+2 + nH2O 触…

大気CO2還元に必要なエネルギー総量

CO2の海底貯留は数十年の一時しのぎにすぎません。還元して燃料に戻すのが理想です。 そのためには、エネルギーが必要です。見積もってみましょう。 地球大気の100ppmのCO2は、1.8×10^16 molに相当。 熱化学方程式が簡単です。 C(黒鉛)+O2(気)=CO2(気)+ 394kJ/mol なので、 394*1.8E16=7.1E18 kJ=2E18 Wh =2000 PWh Eは”10^”の意味です。Pはpetaで1E15 (ギガの6桁上 G(giga), T(tera), P(peta))。 (※4電子還元で炭素にしなくてもいいかもしれませんが、今回は簡単な…

大気の総量と回収すべきCO2量

大気の総量の計算法について。 昨日は対流圏の厚さを使いましたが、上の方は圧力が低い(上端で約0.1気圧)ので正しくありません。昨日は気圧が対流圏全部1気圧として計算していたところが間違っていました。頭のいい方法が下記に載っていました。大気圧そのものから、大気の質量を求めます。 https://www.s-yamaga.jp/nanimono/taikitoumi/taikiatsu.htm 地表は1気圧 = 1013 hPaです。P=m g/S , g=9.8ms^-2 なので、 1m^2の上の大気の質量は m = PS/g= 1.03323×10^4kgとなります。海の中の圧力と同じですね。…

世界の研究所 CO2海底貯留実験施設(苫小牧)

今週の世界の研究所は、北海道苫小牧にあるCO2海底貯留実験施設です。これは資源エネルギー庁がお金を出してつくった民間企業が運営しています。二酸化炭素排出に国際的に課金されるようになると、それを引き取るビジネスが成立するはずです。 https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/ccs_tomakomai.html https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/ccs_tomakomai_2.html CO2は、25℃でも67気圧で液体になります。(臨界点は31℃73気圧…