計算機シミュレーションは時間をステップで区切り(昨日の動画は0.5fsを1ステップにしています。蒸着速度は1秒間に数cmという非現実的なものです)、速度や位置を運動方程式を解いて更新していきます。温度を扱うには、粒子のエネルギー分布が熱平衡分布と同じになるようにします。化学結合は距離や角度によって復元力を与え、ファンデルワールス力もLennard-Johns式などに各原子固有の定数を入れて簡易的に計算します。
温度制御の手法としては熱浴を2変数としてハミルトニアンに取り込むNosé-Hoover法と運動エネルギーが温度に対応した一定値になるように速度に全体に数値をかけて更新する速度スケーリング法、さらに各粒子の速度に時々乱数を加えるLangevin dynamicsがよく使われます。Noséは故 能勢修一教授(1984, 慶応大)で、それを改良したのがHooverです。
https://physicstoday.scitation.org/doi/10.1063/1.2186290
ハミルトニアンに熱浴の変数を追加することによって自動的に温度一定条件が満たされる素晴らしい考案です。
下記説明が分かりやすいです。(https://wiki.fysik.dtu.dk/ase/ase/md.htmlから)
In Nosé-Hoover dynamics, an extra term is added to the Hamiltonian representing the coupling to the heat bath. From a pragmatic point of view one can regard Nosé-Hoover dynamics as adding a friction term to Newton’s second law, but dynamically changing the friction coefficient to move the system towards the desired temperature. Typically the “friction coefficient” will fluctuate around zero.
実際の式は下記が分かりやすいです。
http://phycomp.technion.ac.il/~phsorkin/thesis/node42.html
別の有名なソフトウェアGROMACSのマニュアルの第3章もよくまとまっています。
https://manual.gromacs.org/documentation/
速度スケーリング法はBerendsen法が温度制御が速いためよく使われますが、等分配則が満たされないので flying ice cube 現象のようなartifactが生じます。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%96%E5%8A%B9%E6%9E%9C
これを避けるアルゴリズムが2007年に発明されましたが、LAMMPSにはまだ入っていません。
https://arxiv.org/abs/0803.4060
LammpsもGROMACSも無料です。Amberというもう一つのは有料です。他大学を交えて昨日の動画の作り方の講習会を計画中です。
今日はartで始まる単語です。goo辞書から
artifact 本物ではない、人工的な効果。考古学で人工的遺物
an article 記事
arterial 動脈の arterial bolod 動脈血
arteriosclerosis 動脈硬化 アーテリオスク「れ」ロシス sclerosisは硬化症 ALS(amyotrophic lateral s..)のSです。
artery 動脈 アーテリ
artful 巧妙な、狡猾な
arthritis 関節炎 arthr- は関節です。 articul-も関節。関節炎はarticular nflammationとも
arthropod 節足動物 podは足です。
articulation 接合部
artificial 人工の artificial intelligence 人工知能
an artificial person 法人
an artisan 伝統工芸の職人
artless 無邪気な
※ 試験等でart- で始まる知らない単語があったら、1.人工・巧妙・芸術(例 artful)、2.関節(例 arthropod)、3.動脈(例 artery) の3つを検討してみてください。