Git

最近、git(ギット)を使うようになりました。便利な仕組みで、多数のファイルの同期や、共同作業の場合に威力を発揮します。 https://ja.wikipedia.org/wiki/Git 現在のgitの責任者は日本人(濱野氏)で、gitはLinuxの開発のためにLinus Torvalds氏を中心に作られたもののようです。下記インタビューは仕事ぶりの一端が書かれていて面白かったです。Linuxが社会に与えた影響は大きいと思います。なぜ彼の名前がついているかが分かる気がしました。 https://xtech.nikkei.com/it/article/COLUMN/20130418/47189…

世界の研究所 米国研究公正局

今週の世界の研究所は、アメリカのOffice of Research Integrity(米国研究公正局)をとりあげます。これは、研究所ではなく行政機関です。研究上の不正に対応する専門の政府機関で、ORIと略されます。アメリカでも1980年ころ、捏造、改竄、盗用などが相次ぎ、NIH (National Institute of Health 国立公衆衛生局)の下にOffice of Scientific Integrity という組織が作られ、それが他局と合併独立したものです。 最近の米国の事件が実名で公開されています。 https://ori.hhs.gov/case_summary ストー…

孫子 彼を知り己を知れば、百戦してあやうからず

今週の孫子は、第3章 謀攻篇(Attack by stratagem) から有名な言葉「彼を知り己を知れば、百戦してあやうからず」です。箇条書きにすることで文章にリズムと力が出ているのがわかると思います(私が言う「ピリッとしている文章」)。これは言語にかかわらず使える文章法です。 「故知勝有五。知可以戦与不可以戦者勝。識衆寡之用者勝。上下同欲者勝。以虞待不虞者勝。将能而君不御者勝。此五者知勝之道也。  故曰、知彼知己者、百戦不殆。不知彼而知己、一勝一負。不知彼不知己、毎戦必殆。」 17.Thus we may know that there are five essentials for vi…

ヘリウム資源

ヘリウムの値段が高騰して、日本物理学会が要望書を出したニュースは見たことがあるのではないでしょうか。 https://www.jps.or.jp/information/2019/12/helium.php ヘリウムは100%輸入です。主な産出地は、米国、カタール、アルジェリアと限られており、米国土地管理局が備蓄していたヘリウムの国外販売終了(2018年)や、中東の情勢不安定により、日本国内へのヘリウム輸入量が大幅に減少しています。価格がここ数年で4倍に上がりました。ヘリウム風船をほとんど見なくなりました。 輸入価格で1g 2円から8円になっています。1モルは4gなので、32円ということですね…

超伝導送電プロジェクト

3年生の講義で今年は超伝導を3回分やるつもりで、導入として応用の現状を調べました。 石狩市の直流送電プロジェクトは、1kmのケーブルで実証に成功しています。 http://benri.i-eris.tv/chodendo/chodendo05.html#channel 液体窒素で-196度にする。真空断熱。外は鋼管、内側はステンレス。超伝導ケーブルの太さは250mm。明らかに銅系高温超電導体を使っていますが、具体的に何を使っているかは書いてありません。 市販品には住友のBiSrCaCuO系を銀に埋め込んだもの、イオンビーム配向法(IBAD)でステンレス箔に蒸着した酸化物の上にPLDでつけたYB…

世界の研究所 ドイツ ヴァルター・マイスナー研究所

今週の世界の研究所は、ドイツの Walther-Meißner-Institut (WMI), Bayerische Akademie der Wissenschaften (バイエルン州科学アカデミー ヴァルター・マイスナー研究所)です。ここは、低温電子工学の研究所です。この分野は日本では各大学の研究室として散在して苦労しているところが多いようですが、ここはまとまっています。超伝導のマイスナー効果のマイスナーが初代所長、生誕100周年で「低温研究所」から名前を変えたようです。 https://www.wmi.badw.de/aboutus/portrait.htm 小さい研究所ですが、講義の…

孫子 百戦百勝は善の善なるものに非ず

今週の孫子は、第3章 謀攻篇(Attack by stratagem) から有名な言葉「百戦百勝は善の善なるものに非ざるなり」です。目的は敵の支配であって敵を破壊することではない、それならば戦わないで目的を達成できるほうがよいではないか、という主張です。その通りですね。 「1.孫子曰、凡用兵之法、全一国為上、破国次之。全軍為上、破軍次之。全旅為上、破旅次之。全卒為上、破卒次之。全伍為上、破伍次之。2.是故百戦百勝、非善之善者也。不戦而屈人之兵、善之善者也。故上兵伐謀。其次伐交。其次伐兵。其下攻城。攻城之法、為不得已。・・・ 6.故善用兵者、屈人之兵、而非戦也。拔人之城、而非攻也。毁人之国、而非…

ヒンデンブルク号の爆発

久しぶりに事故の分析です。講義で水素分子の回転ラマンを使って量子統計(フェルミオンとボゾン)を説明しました。雑談用に、ヒンデンブルク号の爆発について調べたところ、wikipediaは動画付きでした。web講義でリンクのみ示しましたが、見た学生には衝撃があったようです(感想から)。 https://en.wikipedia.org/wiki/Hindenburg_disaster_newsreel_footage 最近の説として: ・Alの船体にAlと酸化鉄を混ぜた塗料を使っていて、静電気による火花(static spark)でテルミット反応が起きたという説(焼夷性塗装仮説 incendiary…

スピン・統計理論

ボーズ粒子はスピンが整数、フェルミ粒子はスピンが半整数であることは習ったと思います。 講義の質問で、その理由が気になる人が多いようなので正月休みに調べました。 Pauliが相対論と場の量子論を組み合わせて導いたという話は聞いていましたが 現在もまだ議論があるようです。wikipediaによると微視的因果律、エネルギーの正値性を用いるWightmanの理論というのがあるそうですが、相互作用する場合はそれだけでは不足とのこと。 http://faculty.poly.edu/~jbain/Talks/ExpSSC.pdf  (pdfがダウンロードされます) がよくまとまっていると思います。この人は…

物質波の干渉実験

10年やった1年生向けの講義を若い先生に引き継ぐことになりました。これまでの質問をまとめていたところ、物質波の干渉で、C60分子が干渉するという教科書の記述に質問が集まっていました。これは、1999年の論文 https://www.nature.com/articles/44348 です。ボーズ粒子とフェルミ粒子の区別には使えないかと思って調べてみたら、下記に質問・回答があり、二重スリットによる干渉は使えないそうです。一粒子による自己干渉だから、だそうです。 https://physics.stackexchange.com/questions/249066/do-bosons-and-fer…