新型脳磁計

金曜日は本を読むことにしていますが、今回は準備が間に合わないので、今週出てきた脳磁計の話のつづきです。 (「小説という表現形式の頼もしさは、マヨネーズをつくるほどの厳密さもないことである」司馬遼太郎、「今日の英語」は小説ではないですが、言い訳です。) 脳波測定では全体の活動しかわかりませんでしたが、脳のシナプスの電流が作る磁場を測定することでどこが活動しているかが頭蓋骨の外からわかります。 脳磁計は日本ではリコーが販売しています。 https://jp.ricoh.com/release/2018/0709_1.html 使用料は下記一時間740ドルです。fMRIよりは安いようです。 http…

拍子の脳による認識

音楽の拍子(ひょうし、beat)の脳による認識についても研究がおこなわれています。やはり、超伝導脳磁計(MEG)をつかってどこが働いているかを見ています。人間で実験するにはそれしかないでしょうね。一時期、日立が開発した光トモグラフィーが 流行っていましたが、感度が足りないのでしょう、脳磁計の独壇場のように見えます。この装置は恐ろしく高価だと思います。下記論文ではいろいろな拍子を聞かせて、周期的な刺激に感じる部分とその応答波形を見ています。反応する部分は耳の上の両側の側頭葉にあるみたいです。短調・長調の区別は前頭葉左側の言語中枢の一つ(音⇔単語、ブローカ野。もう一つはウェルニケ野で単語⇔意味。)…

短調と長調の認識

短調と長調はおそらく人類に普遍的に同様の感情をひき起こすと思います。 和音を聞くと納得できると思います。 https://autochords.com/ 脳のブローカ野 (Broca’s area,前頭葉左側にある言語中枢の1つ。イメージ⇔単語・文の機能)が長調と短調の認識の際に活動していることが脳磁計での計測から報告されています。 https://www.nature.com/articles/nn0501_540?foxtrotcallback=true https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%8…

映画音楽 John Willams

Julliard の卒業生の有名人は日本人を含めたくさんいますが、映画音楽作曲のJohn Williams(1932-)は よく知られた映画音楽をたくさん作っています。 Superman, Jaws, Close Encounters of the Third Kind, Star Wars, Indy Jones, Jurassic Park, Harry Potterなど、耳に残るよく知られた音を一人で作っていてびっくりします。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82…

世界の研究所 The Julliard School ジュリアード音楽院

今週の「世界の研究所」は、The Julliard School ジュリアード音楽院 を取り上げます。 https://www.juilliard.edu ここは、世界でも指折りの音楽・舞台芸術の学校で、アメリカのニューヨークにあります。皆さんが知っている有名な現代の演奏家・作曲家を多数輩出しています。 下記ビデオを見る限り、しっかり勉強できそうですね。生徒も教員もいい顔をしています。 https://www.youtube.com/watch?v=v1k_18-NOB0 ※ 研究所というよりも教育機関ですが、新しいことも当然教えているので、研究もしています。そろそろ研究所が尽きてくるので、徐…

武士道 大尾(たいび)

今週の「武士道」は、最終17章「武士道の将来 The future of Bushido」の末尾です。大尾(たいび)は本などの終わりを指す古い言葉です。 … Bushido as an independent code of ethics may vanish, but its power will not perish from the earth; its schools of material prowess or civic honor may be demolished, but its light and its glory will long survive their ruin…

AIの能力差

AIを勉強するための無料のサイトがいくつかあります。自分で作ったプログラムでコンピュータの中のロボットや将棋の駒等を簡単に自律的に動かすことができます。OpenAI GymはテスラのEalon Maskが出資しています。 https://gym.openai.com/envs/#mujoco いろいろなアルゴリズムのAIがありますが、上達速度や、学習後のゲームの腕にかなり差があって、AIも人間と同じか・・・とちょっとしんみりしてしまいました。 https://www.kdnuggets.com/2020/04/deepmind-agent57-atari-games.html https://…

暴走、ガリウム

昨日の集中講義では、ノートパソコンが熱暴走で落ちてしまい、他のコンピュータを使うまで少し中断になってしまいました。暑い中でzoom, Chrome, パワーポイントその他たくさん使っていたためストライキを起こしたみたいです。 さて、熱暴走は下記によるとリーク電流が増えることによるそうです。これは熱的にバンドギャップを超えて励起されるキャリアが電流を運ぶためだと考えられます。バンドギャップが広い半導体だと使用可能な最高温度が高くなり、放熱は温度差に比例するため、放熱器が小さくて済みます。いまは電気自動車で小型で大電流の制御が必要なので、バンドギャップが大きいGaN, Ga2O3などが注目されてい…

Kullbach-Leibler Divergence

Kullbach-Leibler Divergenceの動画を見ましょう。 https://www.youtube.com/watch?v=ErfnhcEV1O8 日本ではKL情報量と略されます。現象の起こる確率を考慮した情報量です。ある確率分布を持つ現象を情報として送信するときに、何ビット必要かを与えるため、情報圧縮の下限値の見積もりに使える重要な概念です。統計力学のエントロピーと同じ形をしているので交差エントロピーと呼ばれる量と関連していて面白いです。 オッカムの剃刀(かみそり)の定量化の一種としても使えます。 logarithm 対数 Bayesian inference ベイズ推定 D…

世界の研究所 統計数理研究所

今週の「世界の研究所」は、文部科学省傘下の「統計数理研究所」です。これは東京の立川にあります。 専任の研究員が約50人(教授、准教授、助教、特任助教)、客員が同じくらいで構成されています。 コロナ等感染の解析、最近のinformatics、機械学習の研究も盛んにおこなわれています。創立75年で、長らく地道な活動を続けてきましたが、最近のブームで脚光を浴びています。 1970年代に情報量基準Akaike Informatics Criterion (モデルに含まれる変数を何個にしたらよいかを決める関数)を提唱した故 赤池弘次教授が有名です。今週は今日から機械学習の集中講義をしますので、関連した話…