金曜日の「知識創造企業」3回目は2章の後ろ半分です。古代からの哲学における「知識」の扱いを踏まえて、20世紀からの経営学研究における「知識」について解説しています。
いま、締切に追われているので、節の見出しだけ拾っていきましょう。Marshall, Hayek, Schupenterの比較、Penrose, Nelsom, Winterらが論じる「知識の蓄積場所」としての企業、
経営・組織理論における「知識」、科学的経営と人事の理論、およびその統一の試み、Simonの経営を情報処理パラダイムとしてとらえる理論、ゴミ箱モデル、
ビジネス戦略の科学、企業文化研究、Drucker(ドラッカーは有名ですね)における知識社会、学習する組織、資源に基づく戦略(1990年代)、組織における知識創造の理論の必要性
となっていて、従来の経営学では知識は貯めるもので、組織的に知識を創造する集団としての企業という側面がなかったことを強調して、3章に続きます。経営学には詳しくないのでどこまで新しかったのかわかりませんが、確かに研究開発型のメーカーの場合は知識を創造する集団としての側面が強いので、重要な視点だと思います。
ゴミ箱モデルというのが気になったので、本文から説明を抜き出してみましょう。
“They argued that an organization is a collection of choices looking for problems, issues and feelings seeking decision situations in which they may be aired, solutions searching for issues to which they may be the answer, and decision makers looking for work.”
組織は選択の集合体で問題や感情を探している。答が先にあってそれにあう意思決定の状況を探している。意思決定者は仕事を探している。
“In this model, selection opportunities are equated with “garbage,” and problems, solutions, and decision makers with “garbage can.”
選択の機会がゴミ、問題や答や決定者がゴミ箱、に例えられているそうです。上と合わせて考えると、意思決定の答をストックしておいて、問題ごとに適当に放り投げるという感じでしょうか。
“This model also characterizes the organization as a system of perception that assigns meaning to what happened retrospectively, rather than as a system of planing and deductive decision making.”
このモデルでは組織は起こったことを後付けで説明する知覚システムで、計画や演繹による決定をするところではない、ということです。これは良くない組織だと思います。1978年ごろの論文だそうです。1章で批判的に取り上げられていた、米国企業をダメにした経営学、というのはこういうやつかもしれません。
他に重要な単語:
corporate strategy 「コ」ーポレート スト「ラ」テジー 企業戦略
resource 「リ」ソース 資源
core competence 「コ」ア「コ」ンピタンス はそのまま日本語でも使います。中心となる優位性(他と比較して優れた点)
“Canon’s core competencies in optics, imaging, and microprocessor controls have enabled it to enter, even dominate, markets as seemingly divese as copiers, laser printers, cameras, and image scanners.”
enter markets 市場に参入する
dominate markets 市場を支配する
※ これだけでは「後知恵 retrospect / hindsight」で解説しているだけですね。どうしたら有効な core competence を作れるか、を教えて欲しいです。3章で教えてくれるかどうか来週見てみましょう。