AMDの96コアCPU

1個の価格が173万円のCPUチップ AMD threadripper 7995WX はトランジスタ数 79億個で、「5nmプロセス」で作られています。この「XXnmプロセス」というのは、トランジスタの集積度を2次元的に見たときに何nmの配線に対応するか、という値で、実際のEUV(extreme ultraviolet, 極端紫外線, 波長13.5nm)での加工寸法は約13nm以上で、それを3次元方向に積んで作った回路を2次元として見たときの値です。 https://www.techpowerup.com/cpu-specs/ryzen-threadripper-pro-7995wx.c330…

世界の研究所 Intel vs AMD

先週は航空機の2大メーカーについて調べて自分では楽しかったので、今週はコンピュータのCPUのメーカーを見てみましょう。2大メーカーはIntelとAMDです。一部Arm関連やNVIDIAに言及することもあると思います。 Intelの株価は最近すごく下がっています(泣)。長期的にみると70ドル~20ドルの上下があり、最近は底値か、これからまだ下がるのか、といったところですね。 https://www.macrotrends.net/stocks/charts/INTC/intel/stock-price-history CPUのシェアはAMDに猛追されましたが、下げ止まっています。Intel:AM…

SETI @ home

1999年から2020年までSETI@homeというプロジェクトが動いていました。これは、カリフォルニア大学(UC)バークレー校のBerkley SETI Research Centerが電波望遠鏡の観測データを切り分けて参加するボランティアにインターネットで送り、参加者は自宅のコンピュータのバックグラウンドで解析プログラムを走らせるというものです。 520万人が参加していたそうですが、2020年に一般参加を休止し(hybernate)、たまった解析結果をまとめる作業に入ったということです。 https://en.wikipedia.org/wiki/SETI@home これだけのプロジェクト…

Enterprise resources planning システム とプッチンプリン

プログラミング言語には命令型プログラミング言語(その中に手続き型プログラミング言語(C,Java, Python等)、関数型プログラミング言語(LISP, Haskel等)・・・)と宣言型プログラミング言語(SQL等)がありますが、宣言型プログラミング言語は私には難しく思えます。そのためか、最近ではいろいろなソフトとSQLをつなぐインターフェースが作られています。 それでも、ある程度のSQLの知識は必要です。 下記は文系でよく使われる統計解析ソフトRとSQLの連携システムですが、有料のサブスクになっていると思います。Oracle社はMySQLを無料公開していますが、こういうところで儲けているの…

SQLと三値論理

SQLの一つの特徴は昨日紹介したように宣言型言語であることですが、もう一つは、「真」「偽」のほかに「不明」を許す3値論理を使用していることです。これは、SQLの原理を提案したE.F.Coddがこだわったそうですが、不評です。 「不明」は、情報不足で真偽を決められないか、データそのものが一部欠落しているときに使う設定です。”null”(ヌる、日本語でもヌルといいます)という他の言語でもよく見る単語で表します。 「真」と「null」の論理和(or)をとると「真」ですが、「偽」と「null」の論理和は「null」になります。このように、論理演算を繰り返すと「null」が増殖し…

「SQL」の発音

SQLの読み方はいくつかあるようです。Structured Query Language 「構造化問い合わせ言語」の略だそうです。 https://www.dbvis.com/thetable/sql-or-sequel/ もともとsequel という言語として始まったので、「スィークエる」と読むのが玄人で、「エスキューエる」は素人だという説もweb掲示板には出ていますが、 上記によればどちらでもよいようです。が、「スィークエる」「シークエル」と言われてもわかるようにする必要があるでしょう。web掲示板には”squirrel(りす、スク「ワ」レラる)” と発音している変…

世界の研究所:IBM Thomas J Watson Research Center と SQL

今週は、データベースの標準として使われているSQLを解説したいと思います。 https://en.wikipedia.org/wiki/SQL SQLとして使われているソフトは4~5種類くらいありますが、IBMの研究者Edgar F. Codd博士による数学の集合論を使ったデータ処理システムの提案を受けてD.D.Chamberlin博士とR.F. Boyce博士がIBM Yorktown Hightsの研究所で開発しました。この研究所は今はThomas J. Watson Research Centerと呼ばれています。この研究所はまだ取り上げていませんでした。江崎玲於奈博士が勤務していたこと…

分子動力学における温度の設定

分子動力学の醍醐味は、「温度」を設定できることです。温度は、各粒子のエネルギーの揺らぎの幅と考えていいと思います。温度を扱う体系は「熱力学」とか「統計力学」と呼ばれていて、「熱力学」は確立された古い学問だと思われていましたが、確率に関することも密接にかかわってくるので、最近のコンピュータの発達に伴う情報の予測などでアナロジーの元となってまた面白くなっています。 これらを学ぶには、分子動力学シミュレーションをやりながら教わるとわかりやすいと思います(もちろん、学生側が分子に関心がなければついてこないでしょう)。なかなかその講義をする機会はないですが、1学期16回分を組み立てるのは面白そうです。 …

ReaxFFによるシミュレーション結果

昨日は午後数時間をかけてReaxFFでやりたかったことができるようになりました。化学式MoS2の層状構造をもった無機物のReaxFFパラメータが論文で公開されていたのを解読して314個のパラメータを取り込ませて分子動力学エンジンLammpsで計算できます。これでいろいろ実験結果の理解が深まります。 例えば、この物質を閉鎖空間で強熱すると融解すると思われますが、第一原理計算では計算時間がかかりすぎて再現が難しいです。動画にしたのが下記です。これでいろいろモデルを設計できるようになります。 https://youtu.be/_D32aIu8oW4 パラメータの記述の形式がわからずエラーを多発しまし…

分子運動のシミュレーション

分子動力学計算をすると例えば下記のような動画が得られます。これは私が計算した有機分子(フタロシアニン)の蒸着過程です。これは12コアの計算機で数時間で終わりました。 https://www.youtube.com/watch?v=87oRvq8zmUA 原子がピョコピョコ動いているのが分子振動で、10^-12秒(1ps)の桁の時間です。 分子をバネと質点であらわすのが古典分子動力学で、上の動画はそれです。粗い近似で、化学結合の組み換えは扱えません。 例えば、CO2が水に溶けて炭酸水になる過程などの計算はできません。 一方、量子力学を使って分子の電子状態をちゃんと考えてから復元力を求めて行うこと…