分子動力学計算をすると例えば下記のような動画が得られます。これは私が計算した有機分子(フタロシアニン)の蒸着過程です。これは12コアの計算機で数時間で終わりました。
原子がピョコピョコ動いているのが分子振動で、10^-12秒(1ps)の桁の時間です。
分子をバネと質点であらわすのが古典分子動力学で、上の動画はそれです。粗い近似で、化学結合の組み換えは扱えません。
例えば、CO2が水に溶けて炭酸水になる過程などの計算はできません。
一方、量子力学を使って分子の電子状態をちゃんと考えてから復元力を求めて行うこともできます。本当にちゃんとやると第一原理分子動力学と言いますが、古典分子動力学の1000倍以上の時間がかかります。
例えば、下記の計算は動力学ではなく、硬い微小物体が3層のグラファイトを突き破る様子を硬い物体の位置を変えながら最安定配置を求めて動画にしたものです。ごく低温で非常にゆっくり貫通させる過程の近似と言えるでしょう。これは小さい系ですが100コアの計算機で3日かかりました。
https://www.youtube.com/watch?v=Z5OGY–mTbU
ReaxFFは、古典分子動力学の中に電荷の再配置や結合次数の変化をうまく取り入れた方法で、古典分子動力学より10倍遅いが、第一原理よりは100倍速いと言われています。
youtubeに動画があがっています。一部の物質系以外のパラメータは有料のようです。小さい系の第一原理計算を機械学習させて自分でパラメータを求めることもでき、本家以外の研究者でやっている人もいます。
https://www.youtube.com/watch?v=7nP1YJ2MWZU
英語は、DeepLで英訳をさせてみました。
ピョコピョコ動く twitching around twitch ぐいと引く、ひったくる、意識しないでピクピク動く、引きつらせる
moving nimbly というのもありかもしれません。 nimbly は「ひらりと」 He nimbly dodged the blow. 一撃からひらりと身をかわした。
本家以外 outside of the original developers ※ DeepLは original family と訳しましたがこの文脈ではダメです。
粗い近似 crude approximation
復元力 restoring force
第一原理計算 first-principles calculation
古典分子動力学 classical molecular dynamics
CO2が水に溶けて炭酸水になる過程 the process of CO2 dissolving in water to form carbonated water
電荷の再配置や結合次数の変化をうまく取り入れた方法 a method that successfully incorporates charge rearrangements and bond order changes
パラメータは有料のようです there seems to be a charge for parameters