1個の価格が173万円のCPUチップ AMD threadripper 7995WX はトランジスタ数 79億個で、「5nmプロセス」で作られています。この「XXnmプロセス」というのは、トランジスタの集積度を2次元的に見たときに何nmの配線に対応するか、という値で、実際のEUV(extreme ultraviolet, 極端紫外線, 波長13.5nm)での加工寸法は約13nm以上で、それを3次元方向に積んで作った回路を2次元として見たときの値です。
https://www.techpowerup.com/cpu-specs/ryzen-threadripper-pro-7995wx.c3301
96コア192スレッド、ブースト時のクロックが5.1GHz(インテルとクロックの定義が違うので注意)、チップ(dieという)面積388㎜2(2.4㎝角に相当)というお化けです(私の居室にあるサーバー10台のコア数の合計が200余なのでこのCPU2つ分ですね)。チップ1つの中で大規模計算が行われるのでチップ間通信の遅れが不要で、高速計算が期待できます。発熱が心配ですが、通常使用では350Wとのことで、何とか放熱が可能です。ただし、CPU温度はすぐ100℃に近づくはずで、高くなりすぎないように制御がかかるようになっています。外部信号ピンは144本だそうです。作っているのは台湾のTMDCです。CPUの設計もそうですが、マザーボードの設計もかなり面倒です。私は自分ではできる気がしません。マザーボードも台湾・中国製品がほとんどになっていると思います。GHzの信号が飛び交う(メモリ信号は5200MT/sだそう)のでマザーボードもたいへんで、日本の半導体産業を復活させるには裾野を広げるためこのへんも勉強するのは有意義だと思います。鍵は電気信号を2本で±を入れ替えながら受け渡す高周波回路の基本(昔のUHFテレビでアンテナにつないでいた平衡フィーダーケーブル、若い人は知らないかも。こうすると空中電波として漏れない)です。USB(ver 1, 2)の線は4本ありますが、電源2本と信号2本で、この原則にのっとっています。ちなみにUSB3の線は9本(ver2も使えるように4本+あと5本)だそうですが、どうなっているかはまだ調査していません。マザーボードは多層基板なので、上下に平衡ケーブルを配置していると想像しますが、どうでしょうか。
インテルの最新14世代のCPUは発熱を抑えるための制御が不完全という設計ミスがあり、高温になりすぎて破壊したり性能が落ちたりする問題が発生しました。対策として基本制御プログラム(BIOS)の書き換えインストールが推奨されていますが、これも不完全(←後付けではどうしようもない)で、カタログの最高性能は出ないということです。私は幸い該当CPUを持っていませんが、焦って失敗したBoeing社と似た雰囲気を感じます。経営陣による行き過ぎた技術者のリストラのせいである、という指摘がなされています。インテル、お前もか、というところです。
https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2408/29/news066.html
英語は適当に拾ってみます。
Et tu Brute? ブルータス、お前もか。(Shakespeare: Julius Caesar のせりふ)
“Hardware virtualization is available on the Ryzen Threadripper PRO 7995WX, which greatly improves virtual machine performance. Programs using Advanced Vector Extensions (AVX) will run on this processor, boosting performance for calculation-heavy applications. Besides AVX, AMD has added support for the newer AVX2 and AVX-512 instructions, too.”
virtualization 仮想化
advanced vector extensions 先進ベクトル化拡張 ・・・ 数値計算のための拡張命令(少ないクロック数で同時に一気に計算する。ハードウェアが対応していないと使えない)
AVX…はインテル発の技術だと思います。
boosting performance 性能を一気に上げる
calculation-heavy application 計算が重い応用 これは日本語と一対一対応します。 ハイフンの使い方に注意。名詞で形容詞を修飾するときにはハイフンが必要。
instructions コンピュータの機械語レベルの命令をこういいます。
instruction set summary CPUの命令一覧表。私は高校生の時はモトローラのCPUの命令を16進数で暗記していましたが、いまは脳内に影も形もありません。実はこれを理解するために英語の勉強に熱が入りました。