トンガ、ポリネシアとZealandia大陸

噴火が起こったトンガは地理的にはポリネシアに属します。ハワイ(Hawaii)、ニュージーランド(New Zealand)、イースター島(Easter Island, Rapa Nui)を頂点とする三角形の内側だそうです。どうやって人類が南太平洋の島々に広がっていったのかは興味深く、考古学や言語学、遺伝子調査等を用いて研究が進んでいます。現在の説は、BC2500年頃台湾から南下していったとのこと。BC1100年ころにフィジーに到達し、その後BC950年ころにサモア、トンガに到達。さらに東に進み始めるのは紀元1世紀ころだそうです。 https://older.minpaku.ac.jp/museu…

世界の研究所 University of South Pacific

トンガで(現代的)観測史上最大かもしれない大噴火がありましたね。衛星写真からは北海道くらいの面積の噴煙が上がっていましたが、被害が大きくないことを祈ります。今週の世界の研究所は、オセアニアの各国にキャンパスがちらばっている University of South Pacific をとりあげます。本部はFijiにあります。 https://www.usp.ac.fj/ https://en.wikipedia.org/wiki/University_of_the_South_Pacific 当然かもしれませんが、オセアニア各国の指導者はここの卒業生も多いです。Tongaには公務員養成の別の機関(…

電波天文学で何がわかるか?

たいへんな装置で宇宙からの微弱な電波を測定して何が面白いのか、という疑問があると思います。私の理解では: ・マイクロ波領域にある分子の回転スペクトル放射から、宇宙空間の分子が同定できます。例えば、ボリソフ彗星でCO分子がたくさんあることが分かった。 https://public.nrao.edu/gallery/comet-2i-borisov-has-an-unusual-composition/ レモン彗星のHCN分子の分布を測った https://public.nrao.edu/gallery/rotating-3d-map-of-comet-lemmon-releasing-hcn-m…

超伝導ギャップを使った検出器 kinetic inductance detector

遠くの天体からの微弱な電波や光を検出するためにいろいろな方法が開発されていますが、雑音エネルギーは回路の電気抵抗Rと温度Tに比例するので、抵抗が低いほうがいいのは間違いありません。したがって微弱信号用には超伝導が多用されますが、薄膜超伝導体に電磁波が当たったらどうなるか、という発想から発明された最近の注目株が kinetic inductance detector です。下記に写真つきの簡単な解説がありました。kineticというのは何かが動くわけではなくてクーパー対が壊れて起こる一連の過程を指すようです。 https://web.physics.ucsb.edu/~bmazin/mkids.…

ヘテロダイン方式と超伝導トンネルミキサー

電波天文学では様々な周波数の電波を扱いますが、多いのは分子の回転に対応して星間分子の同定に使えるGHzより上の周波数です。波長がcm以下になると(2.45GHzで12㎝)、電気信号というよりも電波になるので、電線を通すのが難しくなります(インピーダンス整合、定在波比などで調べてみて下さい)。微弱信号を直接増幅するには、高速の半導体や精密な導波路を用意する必要があり、たいへん高価になってしまいます。この辺りの解決には、無線通信の初期に画期的なアイデアであるヘテロダイン(heterodyne)方式が発明されています(1901年,Reginald A. Fessendenによる=ラジオ放送やソナーの…

世界の研究所 ALMA Observatory (アルマ電波天文台)

今週の世界の研究所は、電波望遠鏡で現在最大の、南米チリのアタカマ砂漠の高地にある ALMA 電波天文台を取り上げます。 https://www.almaobservatory.org/en/home/ https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%9E%E5%A4%A7%E5%9E%8B%E3%83%9F%E3%83%AA%E6%B3%A2%E3%82%B5%E3%83%96%E3%83%9F%E3%83%AA%E6%B3%A2%E5%B9%B2%E6%B8%89%E8%A8%88 高度5000mにあるというので…

冷却CCDカメラ

微弱信号を測定するときに重要なのはノイズ(雑音)の低減です。例えば、天体写真撮影を都市で行おうとすると「光害」によって暗い星が見えませんが、雑音の少ない「冷却CCDカメラ」を使って積算し、平均値を差し引くことによって空の一様な明るさを消去することができます。ノイズがあると背景がザラザラしてしまって一様な引き算ができません。以前、昼間に数時間追跡露光して星が見えるデモがあったのですが今日は見つかりませんでした。下記は英国BBC関連のアマチュア天文家向けのサイトにある解説です。 https://www.skyatnightmagazine.com/astrophotography/astropho…

宇宙ゴミの光学観測

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。皆様にとって素晴らしい一年であることをお祈りいたします。 新年の「今日の英語」は「宇宙ごみ space debris」のつづきをやってから、天文学で使われる高感度の電磁波検出法について検討しましょう。電波天文学自体も面白いので、この話題は来週に続ける予定です。 さて、宇宙ごみはレーダー以外にも目視で追跡されています。また、専用衛星も開発されています。 https://orbitaldebris.jsc.nasa.gov/measurements/optical.html によると、チリにある光学望遠鏡と、英領アセンション島(大西洋の真っただ中)にある光学望遠鏡…

レーダーによる宇宙ごみの追跡には電波望遠鏡を使っている

地球周回軌道上の宇宙ゴミの監視の一つの方法はレーダーです。 1cm以上のものが約50万個あることがレーダー観測からわかったそうです。 https://www.orbitaldebris.jsc.nasa.gov/measurements/radar.html に写真が出ています。 MITが国防総省との契約で運営するHaystack レーダーは波長3㎝(10GHz)、隣のHAXレーダーは波長1.8cmだそうです。Haystack Radarは分解能25cm(追跡精度0.0005度),距離は40000kmまで見えるそうです。すごい性能ですね。 これは46mの球状の殻でおおわれた37mのパラボラアン…

宇宙ごみの記録追跡

地球周回軌道上の宇宙ゴミは、ソフトボール大(10cm)から記録追跡されているそうです。 下記サイトが面白いです。 https://orbitaldebris.jsc.nasa.gov/ 地上からの光学観測とレーダー、および衛星からの測定があるようです。 https://orbitaldebris.jsc.nasa.gov/measurements/ mitigation (刑の)軽減、緩和、鎮静 amnesty 恩赦、特赦 (犯罪の事実が消え、完全な復権を伴う) 「ア」ムネスティ(アクセント注意、ネにアクセントを置く発音は英語ではないようです) pardon 「パ」ードン 恩赦、減刑(犯罪の事…