微弱信号を測定するときに重要なのはノイズ(雑音)の低減です。例えば、天体写真撮影を都市で行おうとすると「光害」によって暗い星が見えませんが、雑音の少ない「冷却CCDカメラ」を使って積算し、平均値を差し引くことによって空の一様な明るさを消去することができます。ノイズがあると背景がザラザラしてしまって一様な引き算ができません。以前、昼間に数時間追跡露光して星が見えるデモがあったのですが今日は見つかりませんでした。下記は英国BBC関連のアマチュア天文家向けのサイトにある解説です。
https://www.skyatnightmagazine.com/astrophotography/astrophoto-tips/how-capture-astrophotos-light-polluted-city/
冷却CCDカメラは、ラマン分光の検出器に使うような(宇宙線にも感度がある)仕様ですと下記カタログNewton 920のようにダイナミックレンジ94dBくらいあります。 (dynamic range = 測定可能な一番弱い信号と一番強い信号の比が51000で、log10(51000)÷20=94。デシベルは比のlog10をとって10か20で割る。振幅の時は10、強度の時は20) この仕様だと値段は200万円~ではないかと思います。
https://andor.oxinst.com/learning/view/article/dynamic-range-and-full-well-capacity
冷却CCDは、液体窒素を入れるものやペルチエ素子で-30℃程度に下げるものなどいろいろなグレードがあります。検出器がシリコンフォトダイオードだとすると、バンドギャップEa=1.1eVを超えて熱励起されるキャリアの数はexp(-Ea/kBT)でT=20℃(298K)とT=-30℃(248)の比をとるとexp(-11000/298)/exp(-11000/248)=1700 となり、バンドギャップ励起由来の暗電流(雑音)が1700分の1に減ります(1eV/kB≒10000Kを使った)。77Kにすると、数十桁の減少になります。ドーパント深さはEa=20meVくらいなので、-30℃ではあまり影響はないです。冷却CCDは安い普通のカメラユニットを使って自作もできますが、霜が来ないように気密にしながら断熱する必要があり、反射など光学的な配慮も必要でやや面倒です。
天体写真 astrography, astrograph, astrophotograph(y) yをつけると「写真術」
光害 「こうがい」と読む人が多いと思います light pollution
雑音 noise
消去する eliminate エ「り」ミネイト
背景 background
ザラザラする noisy, rough ラフ, coarse コース=粗い, gritty グリッティ=砂の入った, sandy, granularグ「ラ」ニュら=粒状の
追跡露光 tracking exposure
熱励起される thermally excited
霜 frost
気密 air-tight エア タイト
断熱 thermal insulation
光学的な配慮 consider optical issues
やや面倒です needs efforts くらいか?
訳例(「てにおは」はおかしいと思いますが、ぎりぎり通じる例として): You can make cooled CCD from a cheep camera unit, but you probably need some efforts because it is required to make it air-tight with thermal insulation to prevent frosting, and you must consider optical issues such as reflection.