海馬とタツノオトシゴ属 は英語では同じ単語

今日は、韓国とイタリアで行われる2つの国際会議に両方オンライン参加します。リモートのおかげでたいへん便利になりましたが、ハイブリッド会議の主催者側の苦労は先月の学会をお世話して痛感しました。ところが、昨夜、イタリアの方から、私の座長のスケジュールが20分早まったプログラムが最終版として送られてきました。韓国の学会での自分の発表時間と重なってしまい、慌てました。韓国側をずらしてもらうことで対応できましたが、運営の心構えが開催国によって違うのかな、と少しあきれています。 さて、月曜に紹介したマックスプランク発達教育学研究所ですが、乳児の発達の部門等の他、 脳波の精密計測の部門と https://w…

世界の研究所 Max Plank Institute (MPI) for Evolutionary Anthropology, MPI for Human Development

今週の世界の研究所は、先週ノーベル医学生理学賞を受賞した研究者(Prof. Dr. Pääbo)のいるMax Plank Institute (MPI) for Evolutionary Anthropology(ライプツィヒ)と、ちょっと似ている名前の MPI for Human Development(ベルリン)を取り上げます。前者は人類学、後者は教育学で、どちらも日本では文系に近い領域ですが(人類学は理学部)、ドイツは理系の側にかなり振っているので興味深いです。他にも MPI for Evolutionary Biology(プレーン市)があり、紛らわしいですね。 どちらも写真を見る限り…

ノーベル化学賞

2022のノーベル化学賞は”about snapping molecules together” に与えられました。click chemistry(クリックケミストリー)は、複雑な分子に特定の官能基をつけておき、その反応だけが確実に起こることを利用して、副産物無しに狙った分子だけを共有結合で結合させる概念で、いずれ受賞するだろうと言われていました。Meldal教授が最初の汎用的な反応を発見し、Sharpless教授が体系化しました。Sharpless教授は2001年に野依教授と一緒にすでに受賞しているため、2回目受賞があるかどうか、という話題がありましたが、今回受賞しま…

ノーベル医学生理学賞

2022年のノーベル医学生理学賞は、スウェーデン生まれ、ドイツMax Plank InstituteのSvante Paabo(ペーボ)博士に授与されました。DNA人類学の創始ということですが、成果はポピュラーサイエンスとして広く知られています。例えば本人による解説も和訳されています。 https://www.amazon.co.jp/dp/416390204X ネアンデルタール人と人間が交配した証拠がDNAから見つかったという報告が出たのは2010年ころで、衝撃的でした。アフリカ人はネアンデルタールと共通遺伝子がないのに、他の人種は1.5-2.1%あるということは、アフリカで誕生した現生人類…

セレン含有酵素 グルタチオンペルオキシダーゼ

今週はSeleniumの話から始まりましたが、確かにセレンは水銀の解毒剤(antidote)として最近も論文が出ています。ただし、無機水銀と無機セレンを動物の体内で混ぜると不溶性になり毒性が無くなると言った初期の研究の後は、長期の微量暴露については、水銀濃度の高い環境下で仕事をしている人の血中セレン濃度が低い、という測定結果の他は推測が多いように見えます。セレンは人間にとって必須元素で、グルタチオンペルオキシダーゼという活性酸素を分解する酵素の活性部位です。これについては https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%…

水銀に関する水俣条約

話は飛びますが、2017年に「水銀に関する水俣条約」が発効し、加盟国は水銀使用量の削減や輸出入の規制が義務付けられています。2019年時点で109か国が締結しているそうです。これにより、研究で使用する水銀についても将来は廃棄に高額の費用を要するようになるから今のうちに処分するように、というような指示が来たりします。 ・鉱山からの水銀産出の禁止 ・小規模の金採掘における水銀使用の禁止(水銀で砂や石から金を溶かしだし、水銀を蒸発させることによって金を得る古い方法の禁止) ・蛍光灯などの使用を最小限にする規制 ・歯科用のアマルガムの使用は縮小するように、保険制度や教育をするという項目もあります。日本…

グリホサートの訴訟と論争

除草剤グリホサート(N-ホスホン酸メチルグリシン (HO)2PO-CH2-NH-CH2COOH)は、最近週刊誌などで取り上げられ、農薬工業会が反論を発表したりして、ちょっとした論争になっています。その経緯について下記が良くまとまっていました。 https://wedge.ismedia.jp/articles/-/26627?page=1 話はアメリカの訴訟が発端のようですね。 https://agrifact.jp/roundup-not-prohibited-flow-what-truth-about-glyphosate8/ グリホサート耐性作物は、土壌にいる2種類の菌から別々の機構をも…

除草剤、遺伝子組み換え作物、シキミ酸サイクル、八角

遺伝子組み換え作物は除草剤と組で使うことが多いそうです。除草剤に耐性があるように遺伝子を組み替えます。対応する除草剤は、グリホサート系(glyphosate)(商品名ラウンドアップ)です。1970年に開発されてからもう50年過ぎています。最近、雑草に耐性種が現れ始めているとのことで、かなり時間がかかっていますね。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%A2%E3%83%83%E3%83%97 遺伝子組み換え品は綿、大豆、トウモロコシ、アルファルファ等が広範に栽培されているとのこと。スリラ…

有機農業政策の破綻

https://foreignpolicy.com/2022/03/05/sri-lanka-organic-farming-crisis/ によると、スリランカの旧政府は肥料や除草剤の輸入でお金が流出することを嫌い、また、北部で多発する腎臓障害が除草剤の影響ではないかと疑って、化学肥料と除草剤を禁止したそうです。 その結果、主力輸出作物のお茶の収穫が30%減、主食のコメは20%減少して輸入が必要になり、肥料の金額以上に外貨が流出してしまったそうです。コロナに加えてロシアの戦争で観光が壊滅したのもダメージが大きく、為替レートをみると、今年の3月からスリランカルピーが暴落しているのが分かります。…

海に鉄塩を撒くと本当に植物プランクトンが増えた

マーチンの鉄仮説の実験結果は下記に良くまとまっています。 https://ippjapan.org/archives/1265 まとめると下記です。 ・鉄散布の有効性は認められ、1990年代当時のCO2排出量の25%を吸収するポテンシャルがあることが分かった ・2週間で植物プランクトン数に顕著な効果があるという即効性 ・CO2吸収効果のためには、最終的に炭素が沈降して出てこなくなる必要があるが、動物プランクトンの数などに左右されるので不安定 ・植物プランクトンは増えすぎると「赤潮」「アオコ」なので、制御できない場合は危険。特に漁業への影響。 ・関連実験は、海洋への廃棄物投棄に関するロンドン条約…