水銀に関する水俣条約

話は飛びますが、2017年に「水銀に関する水俣条約」が発効し、加盟国は水銀使用量の削減や輸出入の規制が義務付けられています。2019年時点で109か国が締結しているそうです。これにより、研究で使用する水銀についても将来は廃棄に高額の費用を要するようになるから今のうちに処分するように、というような指示が来たりします。 ・鉱山からの水銀産出の禁止 ・小規模の金採掘における水銀使用の禁止(水銀で砂や石から金を溶かしだし、水銀を蒸発させることによって金を得る古い方法の禁止) ・蛍光灯などの使用を最小限にする規制 ・歯科用のアマルガムの使用は縮小するように、保険制度や教育をするという項目もあります。日本…

グリホサートの訴訟と論争

除草剤グリホサート(N-ホスホン酸メチルグリシン (HO)2PO-CH2-NH-CH2COOH)は、最近週刊誌などで取り上げられ、農薬工業会が反論を発表したりして、ちょっとした論争になっています。その経緯について下記が良くまとまっていました。 https://wedge.ismedia.jp/articles/-/26627?page=1 話はアメリカの訴訟が発端のようですね。 https://agrifact.jp/roundup-not-prohibited-flow-what-truth-about-glyphosate8/ グリホサート耐性作物は、土壌にいる2種類の菌から別々の機構をも…

除草剤、遺伝子組み換え作物、シキミ酸サイクル、八角

遺伝子組み換え作物は除草剤と組で使うことが多いそうです。除草剤に耐性があるように遺伝子を組み替えます。対応する除草剤は、グリホサート系(glyphosate)(商品名ラウンドアップ)です。1970年に開発されてからもう50年過ぎています。最近、雑草に耐性種が現れ始めているとのことで、かなり時間がかかっていますね。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%A2%E3%83%83%E3%83%97 遺伝子組み換え品は綿、大豆、トウモロコシ、アルファルファ等が広範に栽培されているとのこと。スリラ…

有機農業政策の破綻

https://foreignpolicy.com/2022/03/05/sri-lanka-organic-farming-crisis/ によると、スリランカの旧政府は肥料や除草剤の輸入でお金が流出することを嫌い、また、北部で多発する腎臓障害が除草剤の影響ではないかと疑って、化学肥料と除草剤を禁止したそうです。 その結果、主力輸出作物のお茶の収穫が30%減、主食のコメは20%減少して輸入が必要になり、肥料の金額以上に外貨が流出してしまったそうです。コロナに加えてロシアの戦争で観光が壊滅したのもダメージが大きく、為替レートをみると、今年の3月からスリランカルピーが暴落しているのが分かります。…

海に鉄塩を撒くと本当に植物プランクトンが増えた

マーチンの鉄仮説の実験結果は下記に良くまとまっています。 https://ippjapan.org/archives/1265 まとめると下記です。 ・鉄散布の有効性は認められ、1990年代当時のCO2排出量の25%を吸収するポテンシャルがあることが分かった ・2週間で植物プランクトン数に顕著な効果があるという即効性 ・CO2吸収効果のためには、最終的に炭素が沈降して出てこなくなる必要があるが、動物プランクトンの数などに左右されるので不安定 ・植物プランクトンは増えすぎると「赤潮」「アオコ」なので、制御できない場合は危険。特に漁業への影響。 ・関連実験は、海洋への廃棄物投棄に関するロンドン条約…

鉄を含むインクとお歯黒は同じもの

鉄を含むインクは、ポリフェノールと鉄の不溶性の錯体からできています。 植物ポリフェノールとしては、お茶のタンニンがありますが、植物が昆虫に寄生されてできる「虫こぶ」である「五倍子(ごばいし、ふし)」や「没食子(もっしょくし)」に多く含まれています(植物の防衛機能)。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%A1%E9%A3%9F%E5%AD%90%E9%85%B8 https://www.youtube.com/watch?v=WP1Hu2oQ_0I によると、五倍子は画材屋で買えるそうです。五倍子を煮出した液に鉄さび+酸を加えるというレシピはインクと共通です…

micro LED の移送用高分子基板

micro LEDのチップ移送・ミクロン単位で狙って貼り付ける技術について、レーザーの会社COHERENTがyoutubeで装置を紹介しています。 https://www.youtube.com/watch?v=f7oe-BEhCzI 信越化学の装置は下記の図から見ると大きそうです(2階建ての家くらい?)。 https://www.shinetsu-microled.jp/product_multi_laser_lift_off_equipment.html 部材の特許を見つけました。 https://ipforce.jp/patent-jp-B9-6842404 微小な凹凸のある表面に粘着剤…

海の青は水分子の振動のオーバートーンによる吸収が作っている

空の青はレイリー散乱で説明できましたが、海の青はどうか、と考えたのがラマンです。レイリーは「空の青が映っているからだ」と説明し定説になっていました。ラマンはイギリスからの帰国の船の中で偏光子(Nicol prism)を入れて空からの反射光を遮断したところ色が濃くなったため、海の色は海水自身から来ていることがわかったという論文を書きました(Nature 108,36(1921) 101年前です)。実験の結果、水分子のOHの伸縮振動のオーバートーン(非調和ポテンシャルによる多重振動量子吸収)が赤色領域(例えば693nm, OH対称伸縮+3×反対称伸縮)にあり、その吸収のため深い水が青く見えることを…

量子もつれを発生する方法

量子もつれを起こした2つの光子が昨日の量子暗号鍵配付には必要です。どうやってつくるかというと、非線形光学結晶(KTP, KTiOPO4等)にレーザーを当てます。そのときにspontaneous parametric down conversion (SPDC)という効果で絡み合った2つの光子が発生します。これは数式で書くと出てくるのが分かるのですが、イメージしにくいですね。 https://arxiv.org/pdf/2007.15364.pdf  (英語のpdfです) https://www.youtube.com/watch?v=5Iv6dJD4q4A 下記は、違う目的(光検出器の感度校正…

PET分解酵素の仕組み

PETの加水分解酵素の仕組みはいろいろ調べられているようです(下記はpdf)。 https://febs.onlinelibrary.wiley.com/doi/pdf/10.1111/febs.14612 これを作る細菌Ideonella salaiensisは、堺市のリサイクル工場で京都工繊大の小田教授のグループによって2005年に発見されました(命名は2016)。素晴らしい成果ですね。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%87%E3%82%AA%E3%83%8D%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%82%AB…