空の青はレイリー散乱で説明できましたが、海の青はどうか、と考えたのがラマンです。レイリーは「空の青が映っているからだ」と説明し定説になっていました。ラマンはイギリスからの帰国の船の中で偏光子(Nicol prism)を入れて空からの反射光を遮断したところ色が濃くなったため、海の色は海水自身から来ていることがわかったという論文を書きました(Nature 108,36(1921) 101年前です)。実験の結果、水分子のOHの伸縮振動のオーバートーン(非調和ポテンシャルによる多重振動量子吸収)が赤色領域(例えば693nm, OH対称伸縮+3×反対称伸縮)にあり、その吸収のため深い水が青く見えることを解明。 さらに深く調べた結果、入射光から分子振動のエネルギー分が減少した光が物質から放出されるというラマン効果を発見しました(1928)。ラマン分光は、レーザーや光学部品の発達により汎用化され(といっても~1000万円の高価な装置です)、様々な分析に使われるようになっています。
http://inside.mines.edu/fs_home/dwu/classes/CH353/study/Why%20is%20Water%20Blue.pdf (pdf)
はD2OとH2Oの可視~近赤外分光の結果で、D2Oは赤成分の吸収が弱いことを示しています。D2Oの海は青が薄いということになりますね。また、水素結合の効果で、氷では赤外側にシフトするようです。雪の青色はその効果と散乱の波長依存性や、散乱と周囲の色の効果で青緑~青の変化が生じるという説を紹介しています。
実際の色の動画が下記です。アメリカの公共放送のようです。こういう番組をテレビでやっているとしたらいいですね。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E5%85%B1%E6%94%BE%E9%80%81%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B9
curiosity 好奇心 キュリ「オ」スィティ
glacier 氷河 グ「れ」イシア
an ice cave 氷の洞窟 「ケ」イヴ
incredible blue 信じがたい青
bazzilion ものすごい数(俗語的表現)
overtones オーバートーン 倍音 と訳しますが、上記 水の場合は倍音の和周波も入ります。
harmonic potential 調和ポテンシャル U=A(x-x0)^2 の形
harmonic oscillator 調和振動子