半導体加工技術の最先端

昨日の東京エレクトロンの投資家用資料(pdf注意)から面白いところを1つ解説します。 https://www.tel.co.jp/ir/policy/mplan/cms-file/IR_Day_20211012_J.pdf の76枚目~90枚目が現在の半導体微細加工の最先端だと思います。 GAA(Gate-All-Around)トランジスタは、flash memoryだけではなく論理回路にも使われるようですが論理回路では電子の高速移動が必要なので、結晶性が良くなければならないため、シリコン基板上にエピタキシャル成長したSi/SiGe超格子を作っています。それぞれの厚みは数nmでそれは蒸着源を切…

現在のflash memoryの構造

昨日の円筒型のトランジスタはGate-All-Around型と呼び、GAA-FETというそうです。同心円筒状にフローティングゲートがあるのが現在のフラッシュメモリの1セルで、昨日のように電荷の量でトランジスタのon/off閾値を動かすことにより1セル当たり3ビットの情報を記憶できるというものです。 ベルギーの研究機関 IMECのレポートが分かりやすかったです。 https://www.imec-int.com/en/articles/role-3d-nand-flash-and-fefet-data-storage-roadmap FETのチャネル(半導体)は多結晶シリコンを多分SiH4からC…

flash memory

頓挫(とんざ)したIntel Optaneは結局フラッシュメモリに勝てなかったわけです。フラッシュメモリについて調べましょう。 フラッシュメモリは東芝で発明されました。 https://www.youtube.com/watch?v=r2KaVfSH884 仕組みも上記で説明されていますね。金属が薄い絶縁膜にくるまれている構造です。読み出しのときは電荷の出し入れが起こらず、書き込み(1または0)の時に10V程度の高電圧をかけるとトンネル効果で絶縁物を介して電荷が出入りできることを利用しています。 アモルファスのシリコンが金属としてふるまい、取り巻くシリコン酸化物がアモルファスでありながら非常に…

Intel Optane メモリの中身

Intel のOptaneはいわゆる抵抗変化型メモリ ReRAMを使うというのが7年前の発表①②を見たときの私の理解でしたが、下記③wikipediaと④の分解レポートには相変化メモリPCMと書いてありますね。相変化メモリについては来週説明します。 ① https://www.youtube.com/watch?v=Wgk4U4qVpNY&t=2s ② https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/semicon/714157.html ③ https://ja.wikipedia.org/wiki/3D_XPoint ④ https://pc.…

世界の研究所 Intel Labs と Intelの Optane メモリ撤退

今週の世界の研究所は、米国Intel社のIntel Labsです。 https://www.intel.com/content/www/us/en/research/overview.html 下記116人のっているのは役付きの人でしょうか。ソフトウェアだけでなく回路の人もいます。日本人はいないですね。 https://www.intel.com/content/www/us/en/research/researchers/overview.html Intelは最近コンパイラをみんなに無料公開してくれてたいへん助かっています(これまではバージョンアップのたびに10万円くらいずつ必要で面倒でし…

シェールガスはなぜ流行らなくなったか:温室効果ガスであるメタンが漏れるため?

米国のシェールガス(シェールオイル)開発はバイデン政権になってからぐっと下火になったように見えます。理由は私の理解では、民主党政権は環境問題に敏感で、界面活性剤を含む高圧水を地中に入れるのに抵抗があるようです。昨日の60minという番組( youtubeで2010年の録画を公開)では、水道水のトラブルや地震について言及がありました。去年の大統領選挙の時のテレビ討論でやりあっていました。 https://www.youtube.com/watch?v=f8isArC7hCg シェールガスに力を入れている石油掘削業者Halliburton社の会長が共和党ブッシュ政権のの副大統領だった関連もあるかも…

シェールガスは石の微小空隙に入っている

今週はシェールガスについて調べています。シェール(頁岩 けつがん)に炭化水素系のガスや石油が入っているということですが、岩石は多孔質なのでしょうか?下記は数年前の論文ですが、3次元画像が出ています。採掘する深さや場所によりますが、12-15%の空隙率ということで、思ったより隙間が多いですね。 https://www.nature.com/articles/s41598-019-56885-y 調べても岩石の種類と空隙率の関係の表が見つからなくて不思議に思いましたが、下記によると岩石ができる条件でだいぶ変わるためのようです。特に気体が発生しながら冷える火成岩などは差が大きそうです。 http:/…

玄武岩との化学反応による二酸化炭素の固定化

アイスランドのカーボンニュートラルは、水力と地熱発電の他に、いろいろな活動で出てくるCO2を地中に埋めて処理する技術が鍵となります。日本の場合は、圧力をかけて液体にして二酸化炭素を通さない岩盤の下の砂岩層にため込みますが(例:苫小牧の実験施設)、 アイスランドでは昨日出てきた「洪水玄武岩」を使おうとしています。 https://phys.org/news/2016-10-co2-stone.html https://www.carbfix.com/how-it-works 等に概略の紹介がありますが、玄武岩と二酸化炭素と水が反応して二酸化炭素が固化(鉱物化)するそうです。 反応の詳細は下記の論…

セレン含有酵素 グルタチオンペルオキシダーゼ

今週はSeleniumの話から始まりましたが、確かにセレンは水銀の解毒剤(antidote)として最近も論文が出ています。ただし、無機水銀と無機セレンを動物の体内で混ぜると不溶性になり毒性が無くなると言った初期の研究の後は、長期の微量暴露については、水銀濃度の高い環境下で仕事をしている人の血中セレン濃度が低い、という測定結果の他は推測が多いように見えます。セレンは人間にとって必須元素で、グルタチオンペルオキシダーゼという活性酸素を分解する酵素の活性部位です。これについては https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%…

水銀の応用、代替品

水銀は融点が-39℃、常温で液体の金属です。古くはトリチェリの真空を作るために使われ、その後比重が重い液体としていろいろの目的に使われました。最初の走査トンネル顕微鏡(STM)装置は資金潤沢なIBMの研究所(スイス)で除震のため水銀の上に浮かべられ、その結果原子像が得られてノーベル賞につながりました。同じことを長年やろうとした大学の先生(米国)は資金が足りずそこまでできなくて先を越されてしまったという話があります。できるとわかったあとはバネで吊るなど様々な安価な除震法が開発されましたが、最初にやるのはたいへんです。しかし水銀は蒸気圧が高いので、現在は開放系で使うことはほぼ禁止されています(空間…