スマホ表示型 超音波撮像装置

Butterfly Network社のスマホ表示型 超音波撮像装置(20万円、通常診断装置は2013年に200万円という広告がありました)について調べました。驚いたことに、Butterfly Network社の創業者 J. Rothberg(技術者兼起業家で、DNA配列解読装置で有名)を筆頭著者として今年の5月にPNASに論文が公開されています(open access、タダで読めます)。 https://www.pnas.org/content/118/27/e2019339118 この論文は分野外でも一読に値します。従来、圧電素子で造られていた多数の超音波発生装置をシリコンチップ上のMEMS…

永久磁石を使わないモーター

日産工場の動画の続きです。 https://www.youtube.com/watch?v=djcWCrFXQFs で、9分0秒くらい13分までモーターの説明です。永久磁石を使わないモーターにはびっくりしました。続いて出てくる自動コイル巻き付けロボットがすごいです。これも設計と作りこみが大変でしょうね。一時間に36~72台分が作れるとのことです。1日24時間稼働させると864~1728台、月産2.5~5万台、まあ最初は十分ではないでしょうか。 永久磁石は希土類(特に、高温での減磁をさけるためディスプロシウム添加)が不可欠なので、国際情勢と希土類市場価格に依存します。これがいやなのでしょうね。そ…

Industry 4.0 の無人組み立て工程

今日は祝日ですが、オンライン学会があるので「今日の英語」送ります。昨日の動画 https://www.youtube.com/watch?v=djcWCrFXQFs で、6分30秒くらいから車体の組み立てです。完全自動化できていますね。黄色いロボットはFANUCのロゴがあります。 テスラの下記工場と比べても進んでいます(テスラは組付け時に人が居る)。ここも黄色いロボットがいますね。 https://www.youtube.com/watch?v=C_Fj1n9YViY これだけ自動化が進むと、少子化でも心配ないですね。 これがIndustry4.0だとすると、システムやプログラムを作る人はめち…

Industry 4.0 の塗装検査

日産の新型アリアの工場がwebに載っています。Industry 4.0を頑張っていると思います。 https://www.youtube.com/watch?v=djcWCrFXQFs 2分38秒頃からの塗装ロボットは人間の腕のような動きをしますね。 3分42秒頃からの塗装自動検査装置が面白いです。縞々を動かすと埃(ホコリ)が検出できるのはなぜでしょうか? https://www.takano-kensa.com/kensa/technical/zebbra/ が本家のようです。 https://www.j-platpat.inpit.go.jp で「タカノ株式会社 画像検査」で検索したところ…

風力発電機の構造

風力発電の風車のタイプにはいろいろありますが、大型のものは細い3枚羽のことが多いです。下記に詳しい解説があります。日本語の風車のweb解説や本は少ないのが不思議です。 https://en.wikipedia.org/wiki/Wind_turbine_design 風力エネルギーの16/27=59.3%以上は発電に使えないというBetzの法則(Albert Betz 1919)が最大効率を与えています。下記はオランダのデルフト工大の講義。 https://www.youtube.com/watch?v=BQI7AwKDQXk https://en.wikipedia.org/wiki/Fil…

風力発電設備販売のランキング

GWECが発表した2020年の風力発電設備販売のランキングです。 https://gwec.net/gwec-releases-global-wind-turbine-supplier-ranking-for-2020/ 1 Vestas (デンマーク)16,186 MW - 2019から変わらず 2 GE Renewable Energy(米国) 14,135 MW 2順位上昇 3 Goldwind (中国 金風科技) 13,606 MW 変わらず 4 Envision (中国  远景能源) 10,717 MW 1順位上昇 5 Siemens Gamesa (スペイン) 8,678 MW 3…

世界の研究所 GWEC (Global Wind Energy Council 世界風力エネルギー協会)

今週の世界の研究所は、風力発電の業界団体であるGWEC (Global Wind Energy Council)を取り上げます。業界団体なので、意見は割り引いて聞く必要がありますが、データは使えるでしょう。 風力の寄与は2020年の発電量の5.9%だそうです。 現在、風力発電設備の日本勢のシェアはほとんどありません。今週は風力発電の周辺について調べたいと思います。 今年の風力発電の年次報告書の説明が下記ですが、報告書も含め、背景の説明がないのでわかりにくいです(70分)。 https://www.youtube.com/watch?v=_dHABzVuWQU その中では、ベトナム、南アフリカが…

がんばれEAGLE炉褐炭水素化プロジェクト!

良い石炭はとりつくして減ってきているので、質の悪い石炭(褐炭:炭化が進んでいない)ものを利用したくなります。こういう絞った雑巾(ぞうきん)をさらに絞るような仕事は我々の国民性に向いていると思います。みみっちいと言われても胸を張って、豊かになりましょう。下記は経産省のプロジェクトです。 http://www.hystra.or.jp/project/ https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/kattansuisoproject.html どうやって褐炭から水素をつくるかというと、2002年から開発されてきたEAGLE炉技術を使…

石炭由来のコークスを使わない水素製鉄の各国の取り組み

昨日のドイツの2030年 CO2削減目標 1990年比-65%と日本の目標「2030年に2013年の-46%」のどちらが厳しいか比較するデータを見つけました。ドイツの目標は2013年比にすると-52%ですね。現在人口一人当たりのCO2排出は日・独ほぼ並んでいます。いずれにしても高い目標だと思います。 https://www.de-info.net/kiso/atomdata11.html 石炭は、今の使用量なら、まだ100年分はあるとのことですが、質の良い無煙炭や瀝青炭はとれなくなっています。 とくに、製鉄用のコークス(燃料兼還元剤)の消費量が大きいです(日本全体の14%のCO2を排出)。コー…

石炭火力発電の気になる動向

日本の発電における石炭の割合は27.6%(2020年)のようです。エネルギー源の多様性を確保するためにいろいろな資源を使う方針です。現在、風力は1%以下ですが、太陽光が8.5%まで増えているのに驚きました。 https://www.isep.or.jp/archives/library/13188 欧州では石炭火力発電が効率が低くCO2を多く出すことから、2038年までに禁止する方向で動いていて、その影響で天然ガスの消費量が増えて需給がひっ迫し、電力料金が上昇しているようです。このままいくと大規模停電の可能性もあるという警告もあります。特に原発を止めながら野心的なCO2削減目標(1990年の6…