世界の研究所 Meta Research

今週の世界の研究所は、Meta (旧facebook)の研究所 Meta Researchです。 https://research.facebook.com/ 写真では、夢のような研究環境ですが、本物でしょうか? 研究員も全員?紹介されています。また、博士課程学生のサポートプログラムもあります($42000/year)。分野はmetaverseに関係はしますがかなり広く、一次選考は500語の作文と推薦状で申し込むようです。私が学生なら応募を考えたかもしれません。 https://research.facebook.com/fellowship/ “metaverse”を…

ポリネシア人の移動・拡散

ポリネシア人は漢民族の移動に押し出されてBC2500ころに台湾を出発し、BC950年ころにサモア、トンガに到達。さらに東に進み始めるのは紀元1世紀ころ、さらにイースター島に到達したのはAD1200年ころだそうです。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E5%B3%B6 移動が停滞していた間なにがおこなわれていたのか、またモアイ像が作られなくなったのはなぜなのか、等の疑問に答えている本が、Jared Diamond (2005) “Collapse: How Socie…

電波天文学で何がわかるか?

たいへんな装置で宇宙からの微弱な電波を測定して何が面白いのか、という疑問があると思います。私の理解では: ・マイクロ波領域にある分子の回転スペクトル放射から、宇宙空間の分子が同定できます。例えば、ボリソフ彗星でCO分子がたくさんあることが分かった。 https://public.nrao.edu/gallery/comet-2i-borisov-has-an-unusual-composition/ レモン彗星のHCN分子の分布を測った https://public.nrao.edu/gallery/rotating-3d-map-of-comet-lemmon-releasing-hcn-m…

超伝導ギャップを使った検出器 kinetic inductance detector

遠くの天体からの微弱な電波や光を検出するためにいろいろな方法が開発されていますが、雑音エネルギーは回路の電気抵抗Rと温度Tに比例するので、抵抗が低いほうがいいのは間違いありません。したがって微弱信号用には超伝導が多用されますが、薄膜超伝導体に電磁波が当たったらどうなるか、という発想から発明された最近の注目株が kinetic inductance detector です。下記に写真つきの簡単な解説がありました。kineticというのは何かが動くわけではなくてクーパー対が壊れて起こる一連の過程を指すようです。 https://web.physics.ucsb.edu/~bmazin/mkids.…

ヘテロダイン方式と超伝導トンネルミキサー

電波天文学では様々な周波数の電波を扱いますが、多いのは分子の回転に対応して星間分子の同定に使えるGHzより上の周波数です。波長がcm以下になると(2.45GHzで12㎝)、電気信号というよりも電波になるので、電線を通すのが難しくなります(インピーダンス整合、定在波比などで調べてみて下さい)。微弱信号を直接増幅するには、高速の半導体や精密な導波路を用意する必要があり、たいへん高価になってしまいます。この辺りの解決には、無線通信の初期に画期的なアイデアであるヘテロダイン(heterodyne)方式が発明されています(1901年,Reginald A. Fessendenによる=ラジオ放送やソナーの…

ノイズの単位 V/√Hz

電気的ノイズの単位が何か知っていますか? V/√Hz です。変な単位なので、質問サイトによくあがっています。なかなかこれはという回答はないのですが、よく見るのが、抵抗から発生する熱雑音(ジョンソンノイズ)を基準として考えるものです。そのエネルギーの理論値が4kBTで、考えている時間当たりのノイズのエネルギー(単位W)がそれに等しいので、周波数帯域Δf(単位Hz = s^-1)で割って一定になるとして、単位はW/Hz=J, 電圧だと電力=(電圧)^2/抵抗なので、平方根になるのでV/√Hz、という説明です。やっぱりわかりにくいです。よく考えると、いろいろ突っ込みどころがありますね。学会直前でとり…

冷却CCDカメラ

微弱信号を測定するときに重要なのはノイズ(雑音)の低減です。例えば、天体写真撮影を都市で行おうとすると「光害」によって暗い星が見えませんが、雑音の少ない「冷却CCDカメラ」を使って積算し、平均値を差し引くことによって空の一様な明るさを消去することができます。ノイズがあると背景がザラザラしてしまって一様な引き算ができません。以前、昼間に数時間追跡露光して星が見えるデモがあったのですが今日は見つかりませんでした。下記は英国BBC関連のアマチュア天文家向けのサイトにある解説です。 https://www.skyatnightmagazine.com/astrophotography/astropho…

宇宙ゴミの光学観測

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。皆様にとって素晴らしい一年であることをお祈りいたします。 新年の「今日の英語」は「宇宙ごみ space debris」のつづきをやってから、天文学で使われる高感度の電磁波検出法について検討しましょう。電波天文学自体も面白いので、この話題は来週に続ける予定です。 さて、宇宙ごみはレーダー以外にも目視で追跡されています。また、専用衛星も開発されています。 https://orbitaldebris.jsc.nasa.gov/measurements/optical.html によると、チリにある光学望遠鏡と、英領アセンション島(大西洋の真っただ中)にある光学望遠鏡…

レーダーによる宇宙ごみの追跡には電波望遠鏡を使っている

地球周回軌道上の宇宙ゴミの監視の一つの方法はレーダーです。 1cm以上のものが約50万個あることがレーダー観測からわかったそうです。 https://www.orbitaldebris.jsc.nasa.gov/measurements/radar.html に写真が出ています。 MITが国防総省との契約で運営するHaystack レーダーは波長3㎝(10GHz)、隣のHAXレーダーは波長1.8cmだそうです。Haystack Radarは分解能25cm(追跡精度0.0005度),距離は40000kmまで見えるそうです。すごい性能ですね。 これは46mの球状の殻でおおわれた37mのパラボラアン…

宇宙ごみの記録追跡

地球周回軌道上の宇宙ゴミは、ソフトボール大(10cm)から記録追跡されているそうです。 下記サイトが面白いです。 https://orbitaldebris.jsc.nasa.gov/ 地上からの光学観測とレーダー、および衛星からの測定があるようです。 https://orbitaldebris.jsc.nasa.gov/measurements/ mitigation (刑の)軽減、緩和、鎮静 amnesty 恩赦、特赦 (犯罪の事実が消え、完全な復権を伴う) 「ア」ムネスティ(アクセント注意、ネにアクセントを置く発音は英語ではないようです) pardon 「パ」ードン 恩赦、減刑(犯罪の事…