イギリス人の若い時の冒険

昔のイギリス人の冒険について。Winston Churchillは最近も映画になっています。ノーベル文学賞の対象になった「第二次世界大戦」は長いですが、活字が嫌いでなければ、若い時に一読をお勧めします。「方針を提示して皆をまとめる」「苦悩の中で決断する」というリーダーのだいじな責務について、参考になります。Churchillは貴族の家系ですが、早く父親が亡くなったため若い時にCuba, India, Sudan, South Africa等で軍人・従軍記者として戦闘の最前線で勤務したとのことです。現在の価値観では批判されるところもありますが、なかなかまねできない働きだと思います。Churchi…

Charles Darwinの仕事ぶり

進化論のダーウィン(Charles Darwin 1809-1882)の経歴と仕事ぶりは興味深いです。上流の医者の子供で食べるには困らなかったようですが、大学を2つ卒業していて、1831-1836(22才~27才)の間ビーグル号(HMS Beagle)の第二回の世界一周の探査に参加しています。(このころの?)イギリスの裕福な人は若い時に冒険をする文化のように見えます(いずれ取り上げます)。1859年に種の起源(On the Origin of Species)を出版しています。最晩年まで研究を続け、ミミズの研究(詳しい生態と土を作る役割の定量的研究、研究レポートの模範としてよく取り上げられます…

世界の研究所 Institute of Archeology (University Colledge London)

今週の世界の研究所は、University Collage London, Institute of Acrcheology (考古学研究所)です。 ざっと調べたところ、考古学研究所と銘打っているところはここだけのようです(博物館は他にたくさんあります) University College London (UCL)は、ロンドン大学の一部として位置づけられています。30名のノーベル賞(Ramsey, Braggなど)と3人のフィールズ賞を出しています。昔から留学生教育に熱心で、伊藤博文、小泉純一郎氏など日本の首相も留学しているそうです。Charles Darwinは裕福な無所属の学者でしたが、…

Hoffmann  キラリティが炭素四面体由来であることはファントホフが22才で指摘した

今週のHoffmanは第3章”You must not deviate to the right or the left”からです。分子のキラリティから始まって、権威と意見が対立した場合の振る舞いについて、Talmudとキラリティの研究史を使って説明しています。面白かったエピソードは、分子のキラリティが炭素の四面体からできているという論文をかいた若者たちを(van’t Hoffと Le Belが独立に提出)、権威(H.Kolbe、無機物から有機物を合成した業績および有機電解反応で有名)がけちょんけちょんに批判したことです。van’t Hoffは熱…

ブログ小説「火星の人」

火星と言えば、Andy Weirのブログ小説”The Matian”(2011年)が流行って映画(2015年)にもなりました。私の知り合いの先生が映画の化学的側面の助言をしたと言っていました。 https://www.andyweirauthor.com/books/the-martian-tr この話は、事故で一人で火星に取り残された人が工夫を凝らして生還する話で、技術的細部が面白いです。ネットで連載していて、終わるときには読者がたくさんついたということです(今は上記サイトで数ページしか公開されていません)。日本でいうと「100日ワニ」のような感じでしょうか。 上記サ…

熱電式原子力電池

火星探査車 Perseveranceが積んでいる放射性同位体熱電気転換器(radioisotope thermoelectric generator; RTG)について。RTGは原子力電池(atomic battery)の一つの種類です。 RTGは、長い歴史があります。Apollo(月着陸)やVoyager(太陽系の外に向かう)にも使われました。一時期は心臓ペースメーカーの電源にも使われていました。 二酸化プルトニウムの放射壊変の熱を使って熱電発電をします。下記に発熱体の写真が出ています。けっこう高温に見えます。勝手に赤く発熱する物体はちょっと恐ろしいです。また、プルトニウム金属は化学的に活性…

Perseverance号 火星着陸成功

先週発表された火星探査機 Perseverance の着陸ビデオはいいですね。RoverがSkycraneと一緒にパラシュートで降りて行って、Skycraneは逆噴射しながら紐の長さを調節して軟着陸させています。各段階で拍手をして、最後に喜びを爆発させていますが、「こまめに喜ぶ」のはプレッシャーのかかる仕事をチームでやるときの一つのやり方だと思います。 https://mars.nasa.gov/mars2020/multimedia/videos/?v=461 Perseveranceは、火星での太陽光が弱いので、原子力電池(今はradioisotope power sourceと呼ぶようで…

世界の研究所 Jet Propulsion Laboratory

今週の世界の研究所は、Jet Propulsion Laboratory (JPL, ジェット推進研究所, カリフォルニア州パサデナ)を取り上げます。ここは、カリフォルニア工科大学(CalTech)に付属しており、NASAの研究所として運用されています。私も若い時に行ったことがあります。 https://www.jpl.nasa.gov/ CalTechは、理系の小さい私立大学ですが、アメリカでランキング最上位グループで(年によって変わる)、ノーベル賞もたくさん出ています(40人)。 アメリカは政府委託でいろいろな大学(地方大学含む)に特殊な研究機関を付属させて、大きなお金を継続的につけていま…

Hoffmann  奇跡について

今週のHoffmanは先週のLake Marahの奇跡(苦い水が謎の植物を入れたら甘くなった)に関連して、著者たちが奇跡をどう考えているかの手がかりを探ってみましょう。 個人的には、超伝導や磁性は奇跡的な現象だと思います。また、しばらく前のsuper volunteer の話は一種の奇跡だと思います。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%BE%E7%95%A0%E6%98%A5%E5%A4%AB 1.The authority convinced by the miracle that repeats itself so many times - the …

iPS細胞による人工血小板

献血の話の続きです。赤血球や血小板は核を持たないので人工物で代替できそうに思います。私が子供のころから人工血液の研究は行われてきましたが、最近はiPS細胞から血球を大量生産することを目指したベンチャーが立ち上がっています。 http://www.megakaryon.com/technology/ iPS細胞は、がん化しそうなものを取り除く必要がありますが、分化して核を持たなくなったものはその心配がないと素人目にも思えます。放射線を当ててから使う予定だそうです。献血が過去のものになる日も来そうですが、いつごろでしょうか。 細胞 cell 核 nucleus 「ニュー」クれウス 複数はnucle…