世界の研究所:Max Plank Institute of Sustainable Materials, renamed from “Iron Research”

いま二次元物質の劈開のシミュレーションをやっています。物質の破断の原子レベルの過程の一種なので、関連してどのような研究が行われているか調べてみました。 ChatGPTに聞くと、一番有名な研究機関は デュッセルドルフのMax Plank Institute of Iron Researchとのことでしたが、この研究所は2024年の8月27日からMax Plank Institute for Sustainable Materials と改名されました(日本なら新年度に変えると思いますが、奇妙な日付ですね)。計算、界面化学、合金設計、微細構造力学の4部門があります。 https://www.mpi…

世界の研究所:CSC – IT Center for Science, Finland

先週説明した半導体のCMP(化学機械研磨)のシミュレーションでは、流体力学(スラリー)と粘弾性(研磨パッド)のシミュレーションが必要です。フリーソフトとしてOpenFOAMが有名ですが、Elmerというのもあるのを見つけました。 これは、フィンランドの公的機関であるCSC - IT Center for Science が国内の大学を結集して作っているようです。 https://en.wikipedia.org/wiki/CSC_%E2%80%93_IT_Center_for_Science https://csc.fi/en/ 流体および材料力学の計算のほかに電磁気や熱も扱えるようです。これ…

世界の研究所:IBM Yorktown Heightsの信頼性部門とCMP

最近私は半導体産業向けの教育だけでなく実際の技術面の手伝いも始めています。化学ということでCMP(chemical mechanical polishing/planarization, 化学機械研磨(または化学機械平坦化))という技術について勉強しています。これは1983年にIBMが本格的に導入したそうです。同社(おそらくYorktown Heights, NY)の信頼性部門にいたDr.Klaus D. Beyerが発明者とされています。 https://ecs.confex.com/ecs/245/meetingapp.cgi/Paper/184168 https://nccavs-use…

世界の研究所:Caltech Chen NeuroScience Research Center, USA

ゴールデンウィークなので少し休みがちになります。今週と来週を使って、まだとりあげたことがなかったDNA origamiの話をしましょう。 先週出版された論文で、すい臓がんの細胞をDNA origami複合体で光らせて検出する方法を開発したというのがありました。 https://advanced.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/advs.202410278 がん細胞は外科治療の場合には残さず切除する必要があり、飛び地を見落とさないように、手術中にがん細胞だけ光って見えるようにする方法がいろいろ開発されています。そこにDNA origamiを使うという話です…

世界の研究所:University of Cambridge, Institute of Astronomy

なかなか明るい話題がないので、浮世離れした地球外生命体の話にしましょう。先週(4月17日)、ジメチルスルフィド(CH3-S-CH3)、ジメチルジスルフィド(CH3-S-S-CH3)が120光年離れた惑星(K2-18b)に大量に存在することが報告され話題になっています。 https://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8213/adc1c8 https://www.scientificamerican.com/article/what-is-dimethyl-sulfide-the-chemical-found-on-exoplanet-k2-18…

世界の研究所: X-energy社

トランプ関税で経済指標が乱高下していますが、原油価格もその一つです。中期的には関税で不景気がくること、脱炭素の動きが逆回転することからエネルギー価格は下がるのではないかと予想されていますが、短期的にはガソリンの価格が上がったりしています。先週は米国のDow Chemicalの工場敷地内に小型原子力発電所を建設するための認可を米政府に申請したというニュースが入ってきました。以前紹介したヘリウムを700℃に加熱する高温ガス炉で、「たどん」型の燃料を使って空冷で動かせるような原子炉です。作っているのはベンチャー企業のX-energy社です。”X”とつくのでElon Musk氏が絡んでいるのではないか…

世界の研究所:国際珪藻学会

先週、エイプリルフールのネタがいくつか流れてきてそこから手繰って下記の驚きの実験を見つけました。 https://www.youtube.com/watch?v=y9lwkhSs5VA 対称的な形できれいですね。パイプユニッシュ処理で残ったものは珪藻と放散虫のように見えます。 過去の記事で珪藻はケイ素やCO2の関係で言葉だけ2回登場していますが、詳細な解説はまだでした。 https://www.sekaiken.com/?p=1277 https://www.sekaiken.com/?p=1506 調べてみたら、国際珪藻学会というのがありました。 https://isdr.org/dom/ …

世界の研究所:Cambridge Univ. Library’s Cultural Heritage Imaging Laboratory

先週気になったニュースは、英国ケンブリッジ大学図書館のチーム(Cambrige Univ. Libarary’s Cultural Heritage Imaging Library) が2019年に発見された13世紀のアーサー王物語(the legend of King Arthur)の写本のテキストの復元に成功したというものです。 https://www.cam.ac.uk/stories/merlin-manuscript-discovered-cambridge 羊皮紙に書かれていて、荘園の税務記録の表紙に使われていたそうです。テキストの復元にはX線CTで折りたたまれ綴じられ…

世界の研究所:Univ. of Maryland, Institute for Research in Electronics and Applied Physics (IREAP)

先週、CO2レーザーによって放射性物質を遠隔検出する技術についての論文が業界のニュースになりました。 https://physicsworld.com/a/co2-laser-enables-long-range-detection-of-radioactive-material/ 米国 Univ. of Maryland のInstitute for Research in Electronics and Applied Physics (IREAP)と核を扱う米国の国立研究所(Los Alamos, Brookheaven, Lawrence Livermore)の共同研究です。 http…

世界の研究所:Univ. Bonn, Hausdorff Research Institute for Mathematics

「今日の英語」のネタ探しのために登録しているニュースの複数から「掛谷の針の問題」に進展があった、という通知が来ました。元ネタは下記、先週の米国物理学会のニュースでしょうか。 https://phys.org/news/2025-03-mathematicians-needle-kakeya-conjecture-decades.html わかりやすい解説が下記です。 https://www.quantamagazine.org/new-proof-threads-the-needle-on-a-sticky-geometry-problem-20230711/ 掛谷宗一博士は東北大→東大教授→…