世界の研究所 量子医科学研究所 & QST病院(旧:放射線医学総合研究所)

今週の世界の研究所は、千葉にある量子医科学研究所を取り上げます。少し前までは、放射線医学総合研究所とよばれていましたが、最近、国立研究開発法人・量子科学技術研究開発機構(QST)の傘下に入りました。ここは付属病院(QST病院)があり、加速器で作った粒子線によるガンの治療法を開発しています。他にも、PETやfMRIを用いた脳研究もやっているようです。放射線の生物への影響や応用および被ばく治療を担当する放射線医学研究所と、基礎から農業応用まで含む量子生命科学研究所が併設されています。 https://www.nirs.qst.go.jp/index.shtml 今週はこの研究所関連の技術を見ていき…

Kharkiv Institute of Physics and Technology (ウクライナ・ハリキーウ物理工学研究所)

今週の世界の研究所は、最近攻撃された Kharkiv Institute of Physics and Technology (ハリキーウ物理工学研究所)です。報道では無事とのことですが、同所のweb サイトはつながらなくなっています。調べてみるといろいろ歴史があります。 ・Shubnikov-de Haas 振動のシュブニコフが低温グループを率いていたが、1938年に粛清された。Shubnikovは優れた実験家で、第二種超伝導体という概念の発見もしています。教科書のLandauとLifshitzも在籍していて同時に逮捕された。 https://en.wikipedia.org/wiki/Le…

世界の研究所 Institute Carnort Chimie Balard Cirimat (フランス)

今週の「世界の研究所」は、フランスのInstitute Carnort Chimie Balard Cirimatを取り上げます。 http://www.carnot-chimie-balard-cirimat.fr/en/our-institute/who-are-we/ フランスやドイツの研究所は先人の名前を付けることが多く、しばしば名前が変わるのでややこしいです。今回の研究所の由来は見つけられませんでしたが、 Carnot = Nicolas Lernard Sadi Carnot, 1796-1832 熱力学第二法則 Chimie = Chemistry Balard = Antoin…

世界の研究所 JOGMEC(独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構)

今週の世界の研究所は、日本のJOGMEC(独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構)をとりあげます。wikipediaによると、所管は資源エネルギー庁、職員は637人、年間予算は1兆円余という巨大なものです。国家石油備蓄なども仕事なので、お金がかかるのではないでしょうか。webに各種鉱産資源(Li, Niなど)に関するリアルタイム情報が出ていて、面白いので私はちょくちょく見ています。 https://mric.jogmec.go.jp/ 生物選鉱や装置の特許も持っているようです。千葉市(石油・天然ガス関連)、秋田県小坂町(金属関連)、新潟県柏崎市(油田技術教育)など研究設備もあちこちにあり…

世界の研究所 空飛ぶ自動車のJetson社(スウェーデン)

生物系の話が2週続いたので、今週はニュースに出ていた空飛ぶ自動車について調べましょう。世界の研究所は、スウェーデンのベンチャー企業 Jetson です。 https://www.jetsonaero.com/ 一人乗り、重量86kg, 搭載重量95kg(体格が良いと厳しい?)、2.48×1.50x1.03 m 時速102kmで20分飛行可能。出力88kWのリチウムイオン電池、充電1~2時間です。土地利用が密集している日本では使用は難しいかもしれませんが、実用性はありますね。 Jetson is a Swedish company with a mission to change the way…

世界の研究所 独・ランゲルハンス研究所 Paul Langerhans Institute Dresden

今週の世界の研究所は、Paul Langerhans Institute Dresden (独 ドレスデン工科大学付属の研究所)をとりあげます。 https://tu-dresden.de/med/mf/plid?set_language=en ランゲルハンス(1847-1888)は、解剖学に様々な細胞染色試薬が使われるようになった時期に活躍した学者で、結核で若くして亡くなりましたが、皮膚の免疫システムにかかわるランゲルハンス細胞と、糖尿病にかかわるすい臓のランゲルハンス島の発見に名前を残しています。 先週、東大医科研等のグループからランゲルハンス島のβ細胞の増殖に成功したというプレスリリース…

世界の研究所 WEHI (オーストラリア Walter and Eliza Hall Institute of Medical Research)

今週は年度末行事や各種会議で時間が切迫することが予想されるので、youtube鑑賞で楽をしようと思います。世界の研究所は、細胞内現象の分子レベルの動画を多数公開している、オーストラリアのWEHI (Walter and Eliza Hall Institute of Medical Research)をとりあげます。 https://en.wikipedia.org/wiki/WEHI メルボルンにあって、1915設立、以前の所長(Sir Burnet)は免疫のクローン選択説でノーベル賞を取っています(1960)。動画というのは、例えば下記です。 https://www.youtube.com…

世界の研究所 Institute de Pierre-Gilles de Gennes

今週の世界の研究所は、フランスのInstitute de Pierre-Gilles de Gennesをとりあげます。 https://www.institut-pgg.com/ ここはマイクロ流体デバイスを主に扱っているようです。分析や合成のためのデバイスとしていろいろ使われていますね。 P.G. de Gennes(1932-2007)は 液晶の理論で1991年のノーベル物理学賞を受賞しています。液晶の他にも、汚い超伝導体や高分子など、乱れと秩序が共存する系の理論を徹底的に構築しました。来日時に講演を聞いたことがありますが、接着がどうして起こるかという話でした。その時に提示された未解決問…

世界の研究所 Meta Research

今週の世界の研究所は、Meta (旧facebook)の研究所 Meta Researchです。 https://research.facebook.com/ 写真では、夢のような研究環境ですが、本物でしょうか? 研究員も全員?紹介されています。また、博士課程学生のサポートプログラムもあります($42000/year)。分野はmetaverseに関係はしますがかなり広く、一次選考は500語の作文と推薦状で申し込むようです。私が学生なら応募を考えたかもしれません。 https://research.facebook.com/fellowship/ “metaverse”を…

世界の研究所 University of South Pacific

トンガで(現代的)観測史上最大かもしれない大噴火がありましたね。衛星写真からは北海道くらいの面積の噴煙が上がっていましたが、被害が大きくないことを祈ります。今週の世界の研究所は、オセアニアの各国にキャンパスがちらばっている University of South Pacific をとりあげます。本部はFijiにあります。 https://www.usp.ac.fj/ https://en.wikipedia.org/wiki/University_of_the_South_Pacific 当然かもしれませんが、オセアニア各国の指導者はここの卒業生も多いです。Tongaには公務員養成の別の機関(…