個人がLED照明を使って家で育てる植物とは?

オランダはLED照明を用いた植物工場を欧州で最初に商用化したようです。 https://www.led-professional.com/project_news/general-lighting/europes-first-all-led-industrial-plant-opens-in-the-Netherlands 世界で最初に行ったのがどの国かは調べきれていません。どこが最初か?という質問を生成AIに投げると適当な情報が返ってきて、こっちの方が先でしょう、と手持ちの情報を出すと、実はその通りです、と言って追加情報を出してくるのであてになりません。おそらくこちらの手持ちの情報を学習して…

養殖キノコは日本名のものが多い

キノコの栽培は家庭でもできるようで、菌やキットを売っています。下記の会社はヨーロッパ、多分オランダにあるようですが、どこにあるか書いてありません。日本に輸入するのは農水省から制限がありそうです。 https://toshifarm.com/en/collections/lions-mane 上の写真は変わったキノコですが、日本語ではヤマブシタケというようです。食用で、漢方薬(猴頭)にもなるそうです。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A4%E3%83%9E%E3%83%96%E3%82%B7%E3%82%BF%E3%82%B1 社名や扱っているキノコから…

オランダの農業技術とFood Valley構想

Wageningen はオランダの内陸部にあります。鉄道は近くを通っているようですが、大都市からは遠いです。大学と研究所の町です。Food Valleyという産学官の農業・食品研究機関の集積地ができていますが、なぜこの立地なのか気になります。ちなみに、ingenという語尾はオランダの地名にたくさんありますが、「○○族に向かう/ともにある(土地)」という意味だそうです。 https://en.wikipedia.org/wiki/Wageningen_University_%26_Research によると、1876年に国立農学校ができてそれが次第に整備されたようです。小さい国なので、1か所に集…

世界の研究所:オランダ Wageningen University and Research

先週の月曜日のキノコの話を追いかけようと思って調べていたら、オランダの Wageningen University & Reseach(読み方はワーヘニンゲン)がひっかかりました。 https://www.wur.nl/en/value-creation-cooperation/join-us-on-campus.htm ここは、大学と官民の研究所が合体して運営されているようで、農業分野での大学世界ランキングでは1位です。 https://www.topuniversities.com/university-subject-rankings/agriculture-forestry 「…

落葉のときのマンガン回収に使う輸送分子はわかっていない

落葉の前の金属元素回収の例としてマンガンを見てみましょう。マンガンは、地殻中の元素としてはクラーク数12位で、存在比900ppmと比較的多いですが、欠乏することがあります。 https://minorasu.basf.co.jp/80107 にあるように、欠乏すると葉緑体が作れなくなります。 Mnは、水を分解(water splitting、H2O→ 1/2 O2 + 2H+ + 2e-)して酸素を作る酵素(Photosystem II,別名water-plastoquinone oxidoreductase) に不可欠です。 Mn4CaO5クラスターとして入っているそうです。構造は下記が参考…

落葉と紅葉のメカニズム

紅葉と落葉のメカニズムについてはよくわかっています。日照の低下等によってスイッチが入り、遺伝子発現パターンが変わります。まず葉緑体を分解する酵素が働き始め、それから一連の過程が起こります。習っているかもしれませんが、葉緑体は自身の遺伝子を持ち、別の生物(藍藻)が真核細胞に取り込まれたものだとされています。この説を唱えたマーギュリスはノーベル賞をもらってもよかったと思いますが、すでに亡くなっています。1800年代からある忘れられた説の補強なので、オリジナリティが低いと思われたのかもしれません。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3%E3…

落葉とオーキシン

落葉について調べていて最初に出てきたのがシカゴの造園会社のブログです。 https://digrightin.com/blog/why-leaves-do-and-dont-fall-from-trees/ それによると、秋になって葉緑体が減る→葉で作られるauxinが減る→葉柄の付け根に流れてくるauxinが減る→植物ホルモンであるエチレン(C2H2)への感受性が高まる→付け根の細胞が変化→切れて落葉 だそうです。紅葉については、葉緑体が減るとともに赤い色素ができているはずですがそれについては書いてありません。 auxin(オーキシン)は植物の成熟に関係した植物ホルモンで、天然には5つの分子…

世界の研究所:中国科学院昆明植物研究所

先週、高校の出前授業で遠くに行っていました。車窓から見える山がまっ黄色で、針葉樹らしいのに黄色になっているのが不思議でした。1960年代から植林したカラマツだそうです。 今週は、紅葉や落葉について、現在わかっていることを調べてみましょう。冬に葉があっても低温で化学反応は遅い上に凍ったりすると壊れてしまうので、寒いところでは落葉は合理的です。紅葉(黄葉)は、植物もせっかく合成した物質を再組立て可能な形で回収したいのではないかと思います。また、光合成や酵素の活性中心である金属元素も貴重で回収したいのではないでしょうか。分子メカニズムに興味があります。 カラマツについて調べていたら、「イグチ(猪口)…

マイクロRNAと疾病

マイクロRNAはあいまいさと複雑さをもったタンパク質合成の制御機構ですが、血流や組織液で運ばれ、細胞間のコミュニケーションにも使われます。ここが不調になる病気はいろいろあって、 わかりやすいのは細胞が暴走する がん です。血液や尿中での多種のマイクロRNAの濃度が異常になることが知られていて、診断に使おうとする会社もあります。 問題は、個人差や年齢による違いがあると考えられるので、統計的にパターンから異常を検出しないといけません。これはAIの応用先としてなじみがよいと思います。 https://www.ncc.go.jp/jp/information/event/50th_event/scie…

RNA干渉とsiRNAおよびmiRNA:あいまいさを許すことにより複雑さが飛躍的に増大する

今週の話は短いRNA分子によるタンパク質合成過程の制御に関するもので、「RNA干渉 RNAi」の一種です。RNA干渉を起こす短いRNAにはmiRNAのほかに、siRNAというのがあります。miRNAがmRNA(メッセンジャーRNA)の相補配列と完全には一致しないため結合の強さや相手に「あいまいさ」が存在するのに対し、siRNAは完全に相補的なため、特定のmRNAと一対一に対応し強く結合します。それを見つけた酵素によってRNA誘導サイレンシング複合体(RNA-induced silencing complex, RISC)が形成され、最後には切断・分解されてmRNAが失われます。一方、miRNA…