森林火災をヒントとしたワクチン接種戦略

前田・後藤「プロジェクト譜」本のエピソードから。 森林火災をヒントとしたナイジェリアでの天然痘の撲滅戦略 https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/100800583/ https://en.wikipedia.org/wiki/William_Foege から William (Bill) Herbert Foege (/ˈfeɪɡi/;フェイギと発音するようです born March 12, 1936) is an American physician and epidemiologist who is credited with “…

コブラ効果

前田・後藤著「プロジェクト譜」の本をいくつか読みました。プロジェクト譜、は定型業務ではない創造的な業務「プロジェクト」の各段階を「棋譜」のように記述して管理・意識共有に役立てるというものです。 https://www.sbbit.jp/article/cont1/33718 本の中で紹介されていたエピソードで面白いものを紹介します。社会に出たらその手の研修に出させられることもあるでしょう。「それ知ってる」になってしまって感動が薄れるかもしれません。その場合は申し訳ありません。 コブラ効果: コブラを減らそうとして死骸を買う制度を作ったら、コブラの養殖をして却って(かえって)増えた。 https…

渡り鳥の方位磁石

渡り鳥や伝書鳩が磁場を感じる機構は興味深いです。視界が悪い時に方向を定めるために地球磁場を使っているのは間違いないようです。 https://en.wikipedia.org/wiki/Magnetoreception そのしくみについては、渡り鳥はマグネタイト(磁鉄鉱、Fe3O4)を内包するタンパク質であるフェリチンなどの強磁性体を使っているのではなくて、分子の光励起→電荷移動によって生じたラジカル対が磁場に敏感なことを使っているとされています。地球磁場による磁気エネルギーは非常に小さく、室温ではほぼ無視できますが、2つのスピンの向き(一重項か三重項か)は化学反応に影響を与えます(例:水素原…

AIによるタンパク質立体構造の予測

ちょっと前の話ですが、アミノ酸配列からタンパク質の立体構造を計算機で予測するめどが立ったというニュースがありました。 https://deepmind.com/blog/article/AlphaFold-Using-AI-for-scientific-discovery https://www.technologyreview.com/2020/11/30/1012712/deepmind-protein-folding-ai-solved-biology-science-drugs-disease/ https://www.nature.com/articles/s41586-019-19…

世界の研究所 イナゴ対策(FAOとCIRAD)

今週の世界の研究所は、今年大発生したイナゴの研究をしているところを探しました。 若手研究者のベストセラー(「バッタを倒しにアフリカへ」)で日本では「モーリタニア国立サバクトビバッタ防除センター」が有名になりましたが、その研究所のweb site は見つかりませんでした。ただ、1.によると今年はMauritaniaでの被害は少なかったそうです。 蝗害の防除には国連のFAO (United Nations Food and Agricultural Organization; 2は責任者のインタビュー)が活躍しているようで、下記が詳しいです。フランスの機関CIRADがかかわっているためか、フランス…

orexin

睡眠発作 narcolepsy ナルコレプシ は神経ペプチドorexinの不足で起こるそうです。過剰だと不眠症insomniaになります。orexinはアミノ酸33個(一部修飾)でできていて、食欲や睡眠をコントロールする重要な物質です。両方に効くのが意味深ですね(要調査)。 https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%AA%E3%83%AC%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%83%B3 Orexin A Pyroglu-Pro-Leu-Pro-Asp-Cys-Cys-Arg-Gln-Lys-Thr-Cys-Ser-Cys-Arg-Leu-Tyr-Glu-Le…

偽化石

偽化石(pseudofossil)というのがあります。windowsの立ち上げ画面で出てきたオーストラリアのストロマライトを見て思い出しました。 https://en.wikipedia.org/wiki/Stromatolite ストロマライトはシアノバクテリアとそれが夜間に集める泥でできた層状構造を持つ岩で、現生する生物と対応がついていますが、昔は似たような構造がいろいろ古生物化石として提唱されました。Steven Jay Gouldの「パンダの親指 the panda’s thumb」で読みましたが、すべての固体が自分が発見した微生物化石(eozoon)に見えてしまった(18…

ノーベル化学賞 CRISPER/cas9

ノーベル化学賞はCRISPER/cas9でした。数年前からもうすぐ受賞するといわれていた画期的な技術ですね。発明は7年前ですか。もともと細胞が持っているファージの攻撃を防ぐ免疫の仕組みを利用したもので、原理は下記の動画が分かりやすいです。 https://www.cosmobio.co.jp/product/detail/crispr-cas.asp?entry_id=14354 cas9は生物ごとにいろいろ種類があるみたいです。タンパク質データベースでCAS9と入れるといろいろ出てきます。切りたいところのRNAをくっつけたcas9を用意するとそこで切ってくれるのですね。下記は、どうやって結晶…

赤とんぼ

農場で赤トンボが水路だけでなく、道路の水たまりに産卵していますね。かわいそうですが、昆虫の生き方は大量に子孫を作り、生き残ったもので遺伝子プールを維持するというものなので、仕方ないですね。研究も似たところがありますが、「これをやってもできない」という記録が残せれば後世には役立ちます(→できない論文は書きにくいですが、何とかして論文を書くべし!)。「丸山・養老・中瀬 昆虫はもっとすごい 光文社文庫」は対談形式ですが中身が濃いです。リンクをたどると、アリの巣キットだけでなく、アリ、シロアリのつがい(!)の通信販売が載っていてびっくりしました。 http://www.antroom.jp/antma…

タンパク質データベース

タンパク質データベース protein database は見て楽しいです。タンパク質の英語名を入れると論文や構造が出てきます。下記は、磁性の酸化鉄をため込むferritinというタンパク質の構造です。空洞にマグネタイトがたまります。内側のNHやCOの配置が特殊で、Fe2+かFe3+の親和性が高いのと、マグネタイトのどれかの面とエピタキシーも起こっているはずだと思います。フェリチンは鉄の濃度調節のために人間も持っていますが、渡り鳥が方向を決める磁石としても使っているとのこと。渡り鳥についてはかなりわかってきているので、詳細はいずれ解説します。このスケールで原子を好きなように配置できれば楽しいこ…