アポトーシスの分子機構

WEHI.tvの動画の続き、今日はアポトーシス apoptosisです(つづり注意)。 https://www.youtube.com/watch?v=DR80Huxp4y8 https://www.youtube.com/watch?v=tzwaPWElklo ここに出てくる抗がん剤 venetoclax はスイスの製薬会社ロシュ(Roche)傘下のGenetech社の製品のようです。 https://en.wikipedia.org/wiki/Venetoclax 英語は昨日のassume の解説です。これは「仮定する」だけではわからない文章が出てきます。 LDOCEから 1 to thi…

ミトコンドリア中の電子輸送系、「まねする、ふりをする」の英語

WEHI.tvというyoutube チャンネルは昨日のオーストラリアの研究所が作っています。いろいろありますが、今日はミトコンドリアの中の電子輸送系を見ましょう。酵素の動きは分子動力学計算でしょうね。動きが硬いのと柔らかいのがあって面白いです。 https://www.youtube.com/watch?v=nmoLoiFakxY 日本語の図が http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/~bc1/Biochem/oxidphos.htm にあります。 最初の方にでてくるquinone はubiquinone = 最近のサプリにある Coenzyme Q10 でしょうか。昔々ユ…

さらに高速の光シャッターはできるか?

昨日紹介した市販品は30μ秒の開閉スピードの液晶シャッタでした。いい技術ですが、さらに速くすることはできるでしょうか?下記、研究者のQ&A掲示板に情報がありました。 https://www.researchgate.net/post/Where-do-I-find-Liquid-Crystal-Optical-Shutters-faster-than-10us 電気光学効果の一種であるポッケルス効果を使うと、液晶と同様に偏光方向を回転させることができます。wikipedia英語版は駆動回路のトランジスタの型番まで書いてあってマニアックです。昔のビデオディスク関連に使われていたそうです。…

高速液晶シャッターの特許

昨日の訂正です。「クロスニコル」はcrossed Nicolsで、Nicolは、昔の偏光素子Nicol prismから来ています(1828年に William Nicolさんが発明)。下記によると、用語には残っているが現在はNicol prismは使われていないとのことで、日本だけで使っているガラパゴス言葉になるかもしれません。英文ではcrossed polarizers のほうが多いようです。 https://en.wikipedia.org/wiki/Nicol_prism さて、昨日紹介した高速液晶シャッター(LC-Tec社)の特許を見ましょう。米国特許はUS Patent Office…

臨界磁場の最高値

超伝導体を強い磁場中に入れると、超伝導でなくなります(超伝導が「破れる」という)。その限界となる磁場の大きさを臨界磁場と言います。臨界磁場には2つあり、微視的に超伝導が破れた部分ができて、そこに磁場が入り込み始める「下部臨界磁場Hc1」と、全部が超伝導でなくなる「上部臨界磁場Hc2」です。元素単体など一部の超伝導体はHc1=Hc2となり、第1種超伝導体と言います(臨界磁場は小さい)。Hc1≠Hc2となる大部分の超伝導体を第2種超伝導体と言います。昨日の話のように超伝導体を磁場中冷却して超伝導にすると「磁化」して強い磁石と同様にふるまいますが、Hc1とHc2の間の大きさの磁場を使うことになります…

第二種超伝導体による超強力磁石

超伝導磁気軸受は、超伝導体の内部に磁場が入らないように反発する「完全反磁性」(Meissner effect マイスナー効果)を使っていますが、逆に下記のように超伝導体を強い磁石として使うことができるのは面白いです。 https://www.riken.jp/pr/news/2021/20211208_1/index.html これは、穴の開いた板状の超伝導体を作って、超伝導転移温度以上で磁場をかけてから冷却して板を超伝導にすると、板の内部に磁場を入れないように各所に小円状の電流が流れ、合計すると穴の周に「押しのけられた」磁場をつくるような円電流が流れます。超伝導のまま、外部の磁場をきっても穴…

超伝導リニアモーターカー

超伝導で浮上といえば超伝導リニアモーターカーです。 リニアモーターカー自体は、超伝導である必要はなく、例えば名古屋のリニモ(時速100km)や、上海の磁浮(時速430km)等実用化されています。超伝導磁石は車輛の側だけにあり、浮上(10cm)は線路側にある「浮上・案内コイル」に強い磁石が接近した時に反発するように設計されています。「浮上・案内コイル」は閉回路で、電源は不要だそうです。うまく設計されています。車輛の磁石だけ冷却なので、寒剤(現在は液体ヘリウムを考えているようです)の量も莫大にはなりません。高温超電導車両も開発されているとのことでビスマス系銅酸化物高温超電導体(Tc=110K)でコ…

flywheelの空気抵抗

Amber Kinetics 社のflywheel式のエネルギー貯蔵装置M32の「自己放電」=維持のために使用するエネルギーはカタログによると100W以下だそうです。超伝導を使っているとするとその維持のために冷凍機が必要です。冷凍機は数十Wは必要でしょう。空気の摩擦抵抗が問題になるとすると排気用のポンプが要るかもしれません。必要な真空度によりますが、真空ポンプは電気を食いそうです。どのくらいの真空が必要か見積もってみましょう。直径1mの円盤を回転させるとして、周速度が空気の音速(≒気体分子の運動速度)を超えるとよくないことが起こりそうなので、そのくらいにしましょう。半径50cmで外周の速度が3…

flywheelの磁気軸受

永久磁石を使った磁気軸受はNとN、SとSの反発力を主に使っていますが、Nの裏にはSがあるので引力が生じる場合もあるため、完全に安定ではなく、大きく動くと磁石同士が密着してもっとエネルギーの低い状態になってしまいます。そうなっては回転体のエネルギーが一気に放出され、大破壊をもたらします。昨日の動画 https://www.youtube.com/watch?v=yhu3s1ut3wM は、板と針を使って安定位置から大きくずれることを防止していました。 他の方法としては、手のひらに棒を立てて倒れないように手を動かす「倒立振子(とうりつしんし)」と同じように、電磁石を用いてアクティブに制御して安定を…

希ガス化合物の発見者

たまには化学を扱いましょう。Xeは、RamseyとMorrisが大気を液化・分離して発見しました(1898年)。大気中には0.05ppmしか含まれていないので、高価です。麻酔作用があるそうです。18族元素は長らく化合物は作らないと思われていましたが、Neil BartlettがPtF6がO2を酸化できることを発見し、さらにO2とXeがほぼ同じ第一イオン化エネルギーを持つこと(1165と1170kJ/mol)に気づいて、XeとPtF6(赤い気体のようです)を混合することによりXeの化合物(オレンジ色をした結晶)を初めて合成しました(1962年)。これは教科書:シュライバー無機化学にも載っている話…