世界の研究所 xerox Webster Research Center

今週来週の2週間でアモルファス半導体の応用について紹介しようと思います。広く応用されているのはコピー機などの感光ドラムですが、今週はその発展形のレーザープリンターも調べてみましょう。月曜の世界の研究所は、レーザープリンターが発明されたxerox Webster Research Center(ゼロックス、米国ニューヨーク州ウェブスター)にします。 https://xeroxnostalgia.com/2020/04/06/xerox-webster-campus/ 普通紙の複写機を発明したのは、米国のChester F. Carlson(1906-1968)で、光伝導という現象をコピーに使えな…

カルシウムやマグネシウムは鉄の不純物を吸収してスラグになる

溶鉱炉からは「スラグ」というのが出ます。調べたところ、鉄鉱石由来の成分もありますが、後から加える生石灰(CaO)や苦土石灰(CaMg(CO3)2)由来のものが多いと思われます。CaやMgを加える理由は、下記に説明されています。 https://www.tochigi-lime.com/%E3%80%8C%E7%9F%B3%E7%81%B0%E3%80%8D%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%81%AB%E4%BD%BF%E3%81%86%E3%81%AE%EF%BC%9F/ https://www.slg.jp/slag/process.html 鉄鉱石中のシリコン、硫黄、リンなどと反…

電炉による製鉄

製鉄は奥が深いです。色々調べていると疑問点がたくさん出てきます。さて、「電炉」というのがあり、鉄スクラップから鉄を再生するのに使われます。 http://www.fudenkou.jp/about_04.html 原料は鉄鉱石と違ってすでにほぼ還元されているので、融解することと不純物を除去することが主要な機能になります。溶接に使う「アーク放電」を使って温度を上げて鉄を溶かします。アーク放電は、ほとんど接触している金属同士の間に大電流を流そうとすると隙間の空気を介して放電が起こること。身近には、電池を導線で負荷に接触させるときに「パチッ」と火花が散るのがそれです。電灯のスイッチの火花や、突入電流…

Boston Metal は溶融塩電解で鉄を作ろうとしている

Boston Metalが追究している方法は、「溶融塩電解」と呼ばれるもので、加熱して融けた無機物に電流を流して電気分解します。古くはNaClを溶融したものに電流を流してナトリウム金属を得るなど、Hunphry Davy(1778-1829)が開発した方法です。鉄鉱石についても1810年に実験しているそうです。さらに、例えば氷晶石(Na3AlF6)を加えて融点を下げたボーキサイトを電気分解するとアルミが得られる方法はHeroult-Hall法として実用化されています。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83…

世界の研究所 Boston Metal

先週は炭素税の話をしていましたが、今週は下記によるとCO2排出源の11%を占めるという製鉄について調べてみます。思ったより多いですね(年次はわかりませんが8%という記事もあります)。 https://www.sustainable-ships.org/stories/2022/carbon-footprint-steel その理由は鉄の酸化物(鉄鉱石)を炭素で還元するためです。以前(2021-10-20)、Swedenの会社が水素による鉄鉱石の還元で製鉄をするプロセスに成功したという話を紹介しました。 https://www.ssab.com/en/fossil-free-steel 今週の世…

製品ごとのCO2排出総量(life cycle management)を計算するソフトウェア

Sphera社(米シカゴに本拠)の子会社であるthinstep AGというソフトウェア会社が開発したGaBiというソフトウェアの試用版を見てみました。 https://sphera.com/life-cycle-assessment-software-ppc/ 同社は1970年代から環境、健康、安全、リスクマネジメントなどをビジネスにしていたとのことで、現在はsustenabilityを全面に出してきていますがどうやって収益を上げてきたのか興味があります。下記youtubeではよくわかりません。 https://www.youtube.com/watch?v=-9ONjKqAxFM GaBiは…

炭素排出コンサルタント

炭素税を考えるときには製品をつくる時にCO2をどれだけ排出するかの算定が重要になります。専用のソフトウェアも開発されているようです。例えばこの会社のGaBiというソフトウェアがあります。 https://www.sphera.com/ 1回払い買い切りで$1500-とのことで、思ったより安いですが、どの程度のことができるかを知りたいです。free trialを試してみたいですが、今週はいろいろ立て込んでいるので可能かどうか。 https://sphera.com/scope-3-value-chain-carbon-accounting/ にあるScope3 というのは、GHG protoco…

シャープレー値による貢献度解析

World Baseball Classic で日本が優勝してよかったですね。野球のようなチームで行うゲームで、各選手がどのくらい勝利に貢献したかを定量化できれば、たとえば年俸を決めたり、他チームに移籍したりするときに有用なデータになると考えられます。こういう分析も機械学習の守備範囲に入ります。会社の人事課などでも使えるのではないでしょうか。 ちょっと検索したら下記が見つかりました。 https://www.nutanix.com/theforecastbynutanix/industry/how-machine-learning-and-ai-can-predict-player-outco…

digital twinとマルコフ連鎖モンテカルロ法

植物工場や自動車の設計においてコンピュータの中に作られる実物を模擬する正確なモデルのことをdigital twinと言います。digital twin をどう作るか、が問題です。自動車の設計など、関与する現象が理詰めで分かる(流体力学(空力 くうりき)、エンジン出力、発熱、燃費など)ものは、寸法や材料のパラメータから必要な方程式を立てていけばよく、エンジンの発熱などは実験から「この出力のときは発熱が何ワット」「放熱器の特性はこう」という関数関係のグラフを導いて組み合わせればよさそうです。植物工場も実験から関数関係を導くのだと思いますが、生物は個性があるので、多数の個体についてばらつきを均した(…

data-centric-engineering

The Alan Turing Instituteの研究分野の一つに”data-centric-engineering”というのがあります。いわゆるDXをエンジニアリングに応用しようというものですが、その対象は参考になります。 https://www.turing.ac.uk/research/research-programmes/data-centric-engineering 下記は凝った動画ですが、私は文字で見たほうがわかりやすいです。 https://youtu.be/uFyHd4Sz0bY “Impact”(影響、効果)の欄には (1…