溶鉱炉からは「スラグ」というのが出ます。調べたところ、鉄鉱石由来の成分もありますが、後から加える生石灰(CaO)や苦土石灰(CaMg(CO3)2)由来のものが多いと思われます。CaやMgを加える理由は、下記に説明されています。
https://www.slg.jp/slag/process.html
鉄鉱石中のシリコン、硫黄、リンなどと反応してスラグになるとのことです。これらは石灰を入れていない場合にはFeに不純物として入ってしまいますが、石灰があるとその酸化物に取り込まれるということのようです。昔の人は良くこれをみつけましたね。たたら製鉄には使う場合と使わない場合があるようです。
http://www.tcp-ip.or.jp/~amano-ta/tatara_sougyou/tatara-manual-02.10/tatara-manual02.9.21.htm
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11149752666
不純物が入ると鉄の性質が変わってしまいます。特に、鉄はfccとbccの結晶構造の境界付近にある元素なので、不純物によって結晶構造が変わります。例えば日本刀は温度と炭素濃度を制御して作った異なる性質の鉄を接合して硬くて粘り強い構造を作っています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/hamon/25/1/25_3/_pdf
昨日紹介した「棒溶接」でも、スラグを作って鉄を保護するように棒に被覆がされています。被覆材には4種類あるそうですが、石灰が使われているものもあります。Tiは必ず入っているようですね(イルメナイトはFeTiO3でチタン鉄鉱)。Tiは酸素濃度と温度の違いでTi3+とTi4+があるので、酸素濃度を低めに制御するのに適しているのでしょう。Feの強度には水素も重要です。これはまた機会を作って解説します。
slag スラグ=鉱滓(こうさい)
slug なめくじ、のろのろしたもの
lime 石灰 らイム
hydrogen embrittlement 水素脆化(すいそぜいか) エンブ「リ」トるメント
brittle 脆い(もろい)
crisp 脆くてパキパキであるようす crispy パキパキの(お菓子など)
frail 病弱な、もろい
fragile こわれもの
shivery シヴァリ 震える、ぞくぞくする level 29
vitreous 「ヴィ」トリアス ガラスの、ガラス製の、ガラス質の ビードロと同語源でしょう。 level 17
frangible 折れやすい、壊れやすい
friable フライアブる 砕けやすい、脆い level 22
inelastic 弾性がない インエ「ら」スティック
elastic 弾性がある
elastic band ゴム紐、輪ゴム(← rubber bandもOK)