nBn構造による暗視カメラ

HRL Laboratoriesのセンサー部門は、赤外線による暗視カメラに力を入れているようです。もちろん、自動運転の物体認識など民生用途もありますが、おそらく研究費の出どころは軍事用(US Department of Diffense; DoD)です。中~遠赤外線を画像としてリアルタイムで出せれば、照明無しで熱源(人や戦車など)を見ることができ、またミサイルの追尾にも使えます。争いごとは嫌ですが、技術として存在するものを直視して正確に評価することは我々専門家の責任でしょう。 https://www.hrl.com/laboratories/sel これまで水銀カドミウムテルル(Hg_1-xC…

セラミックスの3D印刷

今日はセラミックスの3D印刷を見ましょう。 陶芸に使うものは初期からあります。これは粘土やセメントの押し出し機を使って、土台をXY方向に走査して層を作っていきます。 乾かしてから焼いて陶器にします。 https://www.youtube.com/watch?v=gpt0ItCLr-k どのくらい縮むかは原料によるでしょう。これは樹脂のバインダー(糊)などは入れないで水と粘土の絡み合いや無機酸化物のゲル化で粘着性が出ていると思われます。 どうしても層状構造が見えてしまうと思うので、それを生かすか、あとでヘラなどで表面をなでて平らにするのだと思います。 スケールアップして家を作っている動画もあり…

金属の3D印刷

金属の3Dプリンティングの例は下記です。動画があります。 https://www.youtube.com/watch?v=RlbzBVlAZ6g ステンレスの粉80%樹脂20%のフィラメントを使ってプリントし、焼結するようです。焼結は業者に送るのでしょうか。 焼結時の縮み方がxy方向とz方向で違うというのが興味ぶかいです。xyが1.20倍、zが1.26倍になるように作れということです。この異方性は重力のせいでしょうか。 焼結条件がwebにありました。 https://ultrafusefff.jp/basf3d/wp-content/uploads/2022/04/Process-Guidel…

光硬化型3Dプリンター

初期の3Dプリンタは光硬化型のものでした。ステージを下ろした状態で下からレーザーや紫外光を操作したりマスクを介して当てて光が当たったところだけを固化させます。ステージがあるので、固化したものはくっついています。それからステージを少し持ち上げてからまた別の位置に光を当てます。これを繰り返して3次元物体を作るという仕掛けです。これは3D Systems社の創業者のCharles Hullの発明で、3Dプリンタ用のデータファイルの規格も作ったため、3Dプリンタの発明者とされています。 https://www.youtube.com/watch?v=b-sIcYo8isI https://www.yo…

世界の研究所: 3Dプリンタ専業メーカー5社

いま、3Dプリンターで実験用の部品を作りたくなっています。いい機会なので、3Dプリンターの現状について調べてみます。 https://www.investopedia.com/articles/investing/081515/three-biggest-3d-printing-companies.asp によると、3Dプリンターの上位5社は以下の通り: 1. Stratasys, Ltd. 年間売上 $659.2M=920億円 1998設立, 米国 社員2062人 ← よく使われる、熱可塑性樹脂の線を溶かしてくっつける方式(FDM方式)を発明した会社です。 2. 3D Systems Cor…

Google Translateで英語のスピーキング教材を作れるか?

Google Translate/speech recognition を使って英語の教材を作れるかな、と思って調べました。下記インドで演説を配信するサービスに使われていますが、発音練習ではないようです。 https://cloud.google.com/customers/joshtalks Google Translate は料金は1か月に60分の音声まで無料、それ以降はお金がかかるようです。通常翻訳で1時間100円、医療用翻訳で1時間500円くらいです。 https://cloud.google.com/speech-to-text/pricing?hl=ja Google cloudや…

Google Translateの教師無し学習

Google tranlate のAIの訓練に使った方式(Bert-RQ)をもう少し見てみましょう。1200万時間という大量の音声をAIに聞かせて、違う声や速度で話された同じ単語が同じであると認識できるようにしたわけです。意味や文字との結びつきは全くなく、ただ音声を分類しただけです。こういう方法を「教師なし学習」と言います。分かりやすい例なので、今後の講義に使いたいと思います。もとになっているのはBERTという方法、さらにもとになっているのはTransformerという方法です。下記が日本語でわかりやすいです。 https://qiita.com/omiita/items/72998858ef…

Google TranslateのAIはどのように訓練されたか

Google Translate の音声認識に関する今年の論文を見つけました。 https://arxiv.org/abs/2303.01037 arxiv(アーカイヴと発音する)に提出されたプレプリントです。 以下の3種のデータから300言語に対する音声認識の機械学習を行ったとのことです。 1) 音声のみ  YT-NTL-U youtubeにある1200万時間の音声。300言語がある           Pub-U 公共データベースにある42.9万時間、51言語の演説。 2) 文章のみ  Web-NTL webに落ちている1140言語にわたる280億の文 3) 音声と文章の組  YT-SUP…

真っ青なバラはインクなので注意(800年の歴史がある)

今日はサントリーが2004年に発表した青いバラについて。開発開始から14年かかっています。 https://www.suntory.co.jp/sic/research/s_bluerose/story/ パンジーの青色色素の遺伝子(アントシアニンの水酸化酵素)を入れて成功しました。 -OH基が一つついただけで赤から青に変わるのは有機色素の面白さですね。 クロマン環の酸素原子に+がついたりラジカルになったりしているのが不思議です。環境による激しい色の変化はこれに関係していると予想します。あとで計算してみます。 上記の記事の写真は紫色に見えますが、通販では本当の青色や水色のバラを売っています。変…

意識のハードウェアのしっぽ

今週取り上げている論文は、「意識」のハードウェアの実体のしっぽを捕まえた画期的なものだと思いますが、米国でもメディアは少ししか取り上げていません。日本のメディアではまだ見ていません。個人的には、哲学や心理学が理系の実験科学に変わる流れの1つのマイルストーンとして位置づけられると考えます。 私は購読しているMIT technology reviewで見つけましたが、調べるとNew York Timesがプレスリリース(5月1日)の当日とりあげています。これを転載した地方紙がいくつかあります。しばらく前に金曜日の読書で読んでいた”You are not listening”…