異言語間の単語の相関から人間の感情を分類する

昨日紹介した2019年の論文 https://www.science.org/doi/epdf/10.1126/science.aaw8160 は、購読していないと読めないかもしれません。 言語のデータベースから、24の感情にかかわる近い意味の単語を抜き出して相互のつながりを見たものです。 データベースをどうやって作ったかが気になりますが、例えば英和辞典で英単語の意味の説明に出てくる日本語を並べるとお互いの関係が近いかどうかわかるという仕組みでしょうか。 24の単語は英語で hate, anger, bad, envy, worry, sad, gloomy, hope, desire, wa…

世界の研究所: 多言語の単語帳データベース CLICS3

今週はバレンタインデーがあるから、というわけではないですが、愛情を含む感情と言語の関係について調べてみようと思います。 https://www.science.org/content/article/what-love-it-depends-which-language-you-speak 上記の解説が紹介している論文は2019年出版で、2500の言語で24の感情がどうあらわされるかをデータ科学的に分析したものです。 https://www.science.org/doi/epdf/10.1126/science.aaw8160 自動翻訳機の最終的な壁は感情の文化による違いになると思います。こ…

車のサイバーセキュリティ

今日はRUSIのサイバーセキュリティに関する論説を読みましょう。電気自動車はコンピュータ化されているのでサイバーセキュリティが重要になる、という論説です。緊急停止機能(a Big Red Button)がハッキングされるのも問題だが、むしろ大量のセンサー(カメラやマイクを含む)から知らない間に個人情報を抜かれるほうが怖くないか、と述べています。エネルギーインフラのハッキングは例があるようですね。そういえばイランの核物質濃縮設備もハッキング(というよりスパイが制御コンピュータに差し込んだUSBウィルス)で壊されたと聞いたことがあります。 https://ja.wikipedia.org/wiki…

armとintelのCPUの演算性能/消費電力の比較

arm社のCPUは低消費電力で携帯電話で大きなシェアをとっていますが、どのくらい低消費電力なのでしょうか。2014年の記事には下記があります。 https://www.androidauthority.com/arms-secret-recipe-for-power-efficient-processing-409850/ ベンチマーク値としては、我々が計算に使っているintel core i9-13900KSが「61970」なのに対し、arm cortex-A72 16core 2200MHz が「5470」なので、11倍の性能差があります。 https://www.cpubenchmark…

arm社のライバルはopen source RISC-V

arm社はトランジスタ30000個でできた32bitCPUの設計が携帯機器で広く使われることにより超優良企業になりました。30000個は驚くほど少ないという印象です。 現在のライバルと考えられているのは、UCBerkleyが発表したオープンソースRISC-V (Vはfive)です。これはライセンス料が無いので製品は安く作れますが、開発の動機づけが強くないため、超高性能を示す設計ができるとは考えにくいです。したがって、armの安価な古いプロセッサを置き換えるのではないかと考えらています。 https://ja.wikipedia.org/wiki/RISC-V RISC-Vは、Chiselという…

riscとcisc

arm社は、advanced risc machines の略です。 risc (リスク)とは、reduced instruction set computer で、対義語は cisc (シスク) complex instruction set computer です。 risc対cisc論争、というのが私が学生の時に盛り上がっていました。これらが何か、というのは下記がよくまとまっています。 https://edn.itmedia.co.jp/edn/articles/1404/07/news001.html ここでマイクロROM方式(ciscで使う)とランダムロジック方式(riscで使う)と…

ラムダ関数

「ラムダ関数」というのはpython, javaなどいろいろなプログラミング言語に実装されています。 なぜ「ラムダ」というのかはちょっと面白いです。下記によると、最初は変数に「^」をつけていたが印刷の時の活字がなかったので、「^」を変数の前につけていて、いつのまにか「λ」になったという嘘のような話が書いてあります。 https://www.quora.com/Why-is-it-called-lambda-calculus これまで、ラムダ関数は関数名を省略する「無名関数」の仲間だと認識していましたが、違っているようで、オブジェクト指向言語の次の世代の「関数型言語」で中心となる概念のようです。…

Curryのパラドックス

ケプラー予想の証明の概略は下記プレプリントに出ています(査読後出版済み)。 https://arxiv.org/pdf/1501.02155.pdf 証明支援システムは使ったことがないのでわかりませんが、jupyterやgoogle colaboratoryのような、打ち込んで実行した結果が記録されるノート形式の実行環境ではないかと思います。証明は164000行のそういうコードからなるということで、数人のチームで完成に10年かかった、というのは納得できます。上記論文の中には記号論理学で使う記号がたくさん使われています。私は大学1年生のときにゲーデルの不完全性定理を知りたくて記号論理学を履修しま…

ケプラー予想と証明支援システム

フランスの研究所INRIAが開発しているCoqは証明支援システムの一種です。windows,macはインストーラーがあるようです。 https://coq.inria.fr/ 大学院集中講義の機械学習講座の付録で「速習python教室」をやることにしたので準備を始めたのですが、「ラムダ式」を調べていたら、本来の目的からずれてこっちに来てしまいました。面白いですが、いまはCoqには深入りできないので、覚書のつもりで「今日の英語」の題材にしています。 さて、数学のいくつかの問題でコンピュータを用いないと証明できない(現状では)ものが知られていて、有名なものの一つは四色問題(四色定理、数百~数千個の…

世界の研究所 フランス Institut National de Recherche en Informatique et en Automatic

フランスで暴動が起こっているようです。今週の世界の研究所は、フランスから、Inistitut National de Recherce en Informatique et en Automatique (INRIA; 国立情報学自動制御研究所)をとりあげます。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E5%9B%BD%E7%AB%8B%E6%83%85%E5%A0%B1%E5%AD%A6%E8%87%AA%E5%8B%95%E5%88%B6%E5%BE%A1%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6…