今週の碧巌録は、第82則(Case # 82)大龍堅固法身 です。本文解説によると、これは簡単そうに見えて難しいそうです。
問答の原文は
僧問大龍、色身敗壊、如何是堅固法身?
龍云、山花開似錦、澗水湛如藍。
英語は
A monk asked Ta Lung, “The physical body rots away: what is the hard and fast body of reality?”
Lung said, “The mountain flowers bloom like brocade, the valley streams are brimming blue as indigo.”
私の解釈では、「命のあるものは壊れますが、壊れない実体とはなんですか」「山の花が咲くと錦のようで、谷川の流れは満々と藍のようである」で、例によってイメージに訴えていますが、言葉の通り「美しい自然界?」「流転する内容豊富な現象?」だと思いました。ところが、解説文では
If you go to the words to search for this thing, it’s like trying to hit the moon by waving a stick.
Ta Lung’s tongue is very subtle. だそうです。こういう風に読者を惑わせるのがこの本の教育方針のようです。実は前の方に類似の問答(第39則)があり、そこでは自然の花ではなく木の花壇(flower hedge)に例えているので、それを踏まえているとのことです。難しいですね。
rot 腐る、朽ちる 活用は rotted-rottedです。 rottenは形容詞として独自の単語になっています。rottener-rottenest, rottenly 腐敗した(物として、また道徳的に)rotten to the core 骨まで腐った
hedge 生垣、垣根
fast には、速いの他に、壊れない、譲らないという意味があります。
He stand fast on his convictions. 彼は信念を曲げない。
conviction 信念
brocade ブロ「ケ」イド level 17は「錦」の訳ですが英英辞典では
thick heavy decorative cloth that has a pattern of gold and silver threads
で、たしかに「錦」「金襴(きんらん)」に対応しますね。
subtle 精妙な 「サ」トる
brim は、知らなかったのですがlevel 6の日常用語で、コップや皿などくぼみのある器の縁(ふち)、へり、帽子のつば、動詞で「器にいっぱいにそそぐ」だそうです。to fill a cup to the brim なみなみと注ぐ という言い回しがあります。
rim が類義語で、丸いもののふち、タイヤのリム