セメントを構成する物質

セメントはCa, Al, Siの酸化物、硫酸塩に結晶水があるものです。水を加える前の酸化物(等)のことをクリンカー鉱物と言います。 エーライトAlite 3CaO・SiO2 ビ-ライトBelite 2CaO・SiO2 アルミネート相 3CaO・Al2O3 無水石膏(gypsum) CaSO4 フェライト 4CaO・Al2O3・Fe2O3 等があり、これらの微粉末を混合したものに水を加えて反応させます。水は結晶水となって固化セメントに取り込まれます。その際、体積が膨張します。また反応熱で発熱することもあります。 セメントの結晶水を含む固体化合物のことを「水和物」と呼びます。 https://co…

世界の研究所:世界一のセメント会社 スイスHolcim社

ここ数日気温差が激しいです。最高気温が10℃以上変化しています。体調管理に気を付けてください。 ふと、建物は気温差があっても大丈夫なのか気になったので調べてみました。セメントと鉄筋の熱膨張率はほぼ同じなので、熱膨張で壊れることはなさそうです。 セメントは 7-13×10^-6 /℃、鉄 11.7×10^6 /℃ です。私の経験では、固体に温度差をかけて膨張率が10^-4台に入ると破壊の危険があります。室温で硬化させているのでまず大丈夫でしょう。 https://www.jci-net.or.jp/j/concrete/kiso/VolumeChange.html セメントに似たものは古代からい…

冷却水はなぜ水か?

個人用冷却器の続き。より低温の熱捨て場があることが前提ですが、熱を輸送するには「冷却水の循環」という方法があります。なぜ循環させる流体として水が使われるのでしょうか?もちろん安く大量に存在することもありますが、室温1気圧で体積当たりの比熱が最も大きい流体であることも重要でしょう。 https://www.apiste.co.jp/pcu/technical/detail/id=4059 ポンプでパイプを通して循環するわけですから、体積あたりの熱容量(体積比熱)が重要です。1㎝3あたりの比熱は、水4.184J/cm3/K, 水銀1.9J/cm3/Kです。 氷は2.1J/cm3/Kで、液体であるこ…

ペルチエ効果と新材料開発

個人用の冷房器具と言えば首にかける扇風機で、私も買いました。本当に暑い時はダメですが、非力な冷房でも我慢できる範囲が広がった感じはあります。 首を冷やすタイプのペルチエ素子もあり、まだ買っていませんが、脳に行く血流を冷やすという意味では効果があるかもしれません。評価コメントもまあまあです。 https://www.amazon.co.jp/dp/B093WJDHYJ ただ、首は1つしかないので扇風機型とペルチエ型の両方をつけるわけにはいきません。合体したものもありますが、2万円以上の高額になります。 ペルチエ素子は熱を輸送するだけではなく電気抵抗による発熱(Joule heating)もしてし…

vortex tube の冷却機構

昨日のvortex tubeによる冷却の原理を見てみましょう。 https://en.wikipedia.org/wiki/Vortex_tube 下記の動画、5分くらいからvortex tubeを自作しています。おもったより簡単に動きます。14分くらいから原理の説明です。分子を粒粒で描いた動きが動画になっています。 https://www.youtube.com/watch?v=syu6SM7X8yU 速度が速いものは外周を回っていて、遅いものが内側に入ってくるように見えます。 上記wikipediaによると、オイラーのタービン方程式で説明できることが2012年にわかったそうです。80年かか…

世界の研究所:フランス Conservatoire national des arts et métiers 国立工芸院

暑いですね。個人用冷却具を調べていたところ、下記を見つけました。 https://www.sts-japan.com/products/catalog/pdf/vt-7k_series.pdf 35℃、5気圧の圧縮空気から5℃の冷風を作れるそうで、webの評判も上々です。圧縮空気は工場には機械の駆動力として常備されているので広く使えると思います。ただ、圧縮空気のホースをつないだまま動くのでちょっと不便ですね。また、効率も他の装置より悪いようです。 原理は1931年に特許申請されています。実際に作ってみないと存在すら気が付かない、実に素晴らしい発明です。Ranque効果、Ranque-Hilsh…

三相界面

燃料電池の難しいところは、触媒原子の上で燃料供給・電子引き抜き・プロトン拡散の3つの過程が同時に起こる必要がある所です。それぞれ異なる物質(燃料、導電体、プロトン伝導体)の3つが同時に存在するので、「三相界面」と呼ばれています。大きさはナノメートルレベルで、これを高密度かつ制御して大面積に作りこまないといけないので、難易度は高いです。 https://en.wikipedia.org/wiki/Triple_phase_boundary しかし、燃料効率や取り出せる電流密度が三相界面の作りこみで大きく変わるため、がんばる甲斐はあります。付加価値の高い技術だと言えるでしょう。メタノール燃料の燃料…

低温型燃料電池の固体電解質

低温型の燃料電池では、触媒で燃料からプロトンを作り、そのプロトンを酸素と反応させる触媒が載った電極まで輸送する必要があります。そこで必要となるのが固体電解質で、プロトンは溶かして輸送するが燃料やその酸化物は溶かさない物質が必要となります。また、大電流を取り出すにはプロトンの移動度(伝導度)を高くする必要があります。 水素ガス以外の燃料、例えば炭素を含むものを使う場合には必ずアルコール、アルデヒド、カルボン酸が生じ、それが対極まで拡散してしまうと効率が下がります。wikipediaによると、メタノール燃料の場合は理論効率が97%のところ、実際は30-40%しか得られないとのことで、おそらく燃料が…

燃料電池の触媒とその他の要素

ハクキンカイロは炭化水素(燃料)と酸素を白金触媒を用いて低温でゆっくり反応させ、化学反応のエネルギーを熱として取り出しています。 しかし、燃料電池にしようとするとずっと複雑な構造が必要になります。 (1) 燃料→燃料由来の陽イオン(プロトンとCO2まで分解されることが多い) + 電子(導電体で外部回路に取り出す)    例えば、メタノールの場合は CH3OH + H2O → CO2 + 6H+ +e- (2) 酸素+プロトン(等) +電子(外部回路から) → 水 の反応が必要です。 燃料が水素ガスの場合はH2Oだけしか出ません。燃料としては様々なものがあり、糖類(組成式 CH2O)も可能です。…

世界の研究所:ハクキンカイロ

今週は低温型の燃料電池について調べたいと思います。最初の燃料電池は、英国のSir William Robert Groveが1842年(天保13年)に発明しています。 https://en.wikipedia.org/wiki/Fuel_cell それから実用的には顧みられなかったようですが、約100年後の1932年にケンブリッジ大学の技術職員のFransis Thomas Baconが実用化しました(Bacon cell)。この人は哲学者のFransis Baconの一族です。さらにさかのぼって哲学者Roger Bacon(1214-94)の子孫の可能性もあるそうです。 https://en…