昨日の調査と試算で、世界のGDP合計が1京4400兆円で、CO2の大気からの直接回収(DAC)でカーボンニュートラルを実現しようとすると建設費を除き1416兆円、GDPの10%という結果が出ました。GDPは、おおざっぱには国民の給料の合計と思ってよいので給料の10%を召し上げて使えばよい、という話になりました。CO2の話からは外れますが、10%を召し上げて大丈夫かどうか、「国民負担率」という数値を基に考えてみましょう。
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/a04.htm
によると、日本は48.1%です。この数値は、税金と社会保障負担を合わせたものです。高齢化が進んでいるので、社会保障負担は増大の一途をたどっています。稼ぎの半分を「お上(おかみ)」にもっていかれているわけで、江戸時代の「五公五民」とほぼ同じです。CO2回収のために「六公四民」になってもよいか、ということになり、賛成する人が多数派になるかどうかは疑問です。しかも、日本は社会保障負担を国債で先送りしていて、本来は54%であると書いてあります。
各国の国民負担率を比べると、下記資料がみつかりました(pdf注意)
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/238.pdf
ルクセンブルクは86.8%を国に上納していて、13.2%で暮らしています。知り合いのフィンランドの先生は60%をとられるといっていましたが61.5%であっていますね。
フランスが68%と大きいのは意外でした。yellow vest運動など国民負担増大の提案が政府からなされるたびに暴動が起こっていますが、納得ですね。
旗振り役のBill Gatesは払うお金はあるでしょうが、国民負担率の高い国の一般人はたいへんです。少しでもCO2回収コストを下げる技術開発が急務ですね。
いよいよとなれば、以前「今日の英語」でも取り上げた「Martinの鉄仮説」の出番があるかもしれません。
https://www.sekaiken.com/?p=1506
これは、鉄塩を海にばらまくと植物プランクトンが増えてCO2が減るはず、という、海水中の鉄の分布や南極の氷などの分析から得られた説で、正しいと考えられていますが、現時点では実験は国際条約で禁止されています。「タンカー一杯の鉄塩で氷河期がくる」、というセンセーショナルなメッセージです。
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00393-x
英語は国民負担率関連の用語です。
national burden rate 国民負担率 national をつけると日本のwebpageばかり出てきます(経団連、厚労省、財務省、公益財団法人nippon.com …)。これを気にしているのは日本だけ? 理由は、政府がここ数年で上げようとしていたためだと推測します。
”The ratio of taxes and social security contributions like health insurance and pension premiums to income, commonly referred to as the “national burden rate,” in Japan is estimated to be 44.3% in fiscal 2021. This leaves households with less than 60% of their income at their disposal.” (https://www.nippon.com/en/japan-data/h00998/)
pension premiums 年金保険料
at their disposal 好きに使える(お金など)
※ 財務省の数字とはずれがありますが、今年はちょっと下がっているようです。 https://www.mhlw.go.jp/content/12600000/001209474.pdf
burden rates は会社が従業員を一人雇うために必要な間接費のことだそうです。意味が違います。
burden 重荷、と習いますが、ここでは「負担」と訳します。
income tax 所得税
consumption tax 消費税
payroll taxes 支払給与税 (雇用者側が負担)
employer エンプ「ろ」イヤー 雇用者
employee エンプろ「イ」ー 従業員、被雇用者
social security burden 社会保障負担
social security number は日本のマイナンバーに対応する英語です。
social security expenditure 社会保障支出
yellow vest movement フランスの黄色いベストを着てデモをする抗議行動