クライオ電顕像に原子を当てはめるアルゴリズム

クライオ電顕では、初期では10Å、現在は2Å以下の分解能で3次元の像が得られますが、原子よりは大きいので、そこに何の原子があるかということはコンピュータと人間による推測になります。 生体分子で重要な炭素、窒素、酸素は原子番号が近いので、クライオ電顕で区別するのはたいへんです。一方、単結晶X線回折では分解能が原子よりも小さいので(回折像の位相問題があるのでまた別種の問題がありますが)原子種の区別はほぼ自動でできるので、クライオ電顕よりは信頼性があります。 そこで、クライオ電顕では分子の一次構造(アミノ酸や核酸塩基の配列)の情報も使ってコンピュータに推測させる方法が開発されています。 その結果、き…

多数の画像から3次元像を再構成するには1つの軸に関して傾ける

クライオ電顕で、タンパク質分子のいろいろな方向からの2次元画像をたくさん集めて3次元構造を復元するFrankのソフトウェアの本人による解説は下記で読めます。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2844734/pdf/nihms180050.pdf 透過電子顕微鏡は少し色がついた透明な物体に上から平行光をあてて、その半透明の影を2次元画像として撮影するようなものなので、2次元投影図がたくさんできます。 粒子がどっちを向いているかを決めるには、同じ物体に対して照射方向を傾けた画像をいくつか測定すればいいというのがミソです。傾けることで照射方向…